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転生女子の異世界生活 作者:リンスイ
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依頼を受けました


「さぁて、今日はどの依頼をしようかなっと」

 いつものごとく、リサが少し遅めに冒険者組合に到着して依頼掲示板を物色していると、横から男性に声を掛けられる。

「あの。すまないんだが……」

 リサが振り返ると、そこには中年の男性が立っていた。身なりはお世辞にも良いとは言えない。肌は陽に焼け真っ黒でガッシリとしている。農民だろうか。前歯が一本、欠けているのがどこかユーモラスな男性。そんな男性に声を掛けられたことにリサは首を傾げる。

「何か用ですか?」

「あー。その何だ。あっちの組合の職員に聞いたんだけど、凄腕だそうで?」

 リサが、男性が指さした方を見ると、そこにはミリアがいて軽く手を振っているのが見えた。

「凄腕かどうかはわかりませんが、まぁそれなりの腕はありますよ?」

 リサの様子に、ほっと胸をなでおろす様子を見せる男性。

「あの。実は依頼を引き受けてほしいんだ。あの職員が言うには、君なら引き受けてくれるだろうって言うから……」

 リサは再度、ミリアの方を見る。そこにはリサに「宜しくね」と呟くミリアの姿があった。リサはため息を一つこぼす。

「とりあえず話を聞かせてもらえますか?」

 リサの言葉に安堵の表情を見せる男性。その男性とギルドに併設されている机と椅子のある所まで移動する。するとそこへギルドの職員が飲み物を差し出してきた。リサのご機嫌取りの為に、ミリアが他の職員にお願いしたのだろう。リサは苦笑い気味にそれを受け取り、男性に話を促す。

「さて、ご依頼の件のお話をお願いします」

「あ、あぁ。あの、実はだな。村の近くの森に、かなりの数のオークが住み着いたようで……」

「オークですか。まぁ秋もまじかに迫ったこの時期は、餌を求めて移動しますからね。オッケーです。引き受けましょう」

 リサは内容を聞いただけで軽く引き受ける。これには男性が唖然としてしまう。

「え! いいのか? あ、あの。報酬……」

「あーあれでしょ? そんなに出せないっていう状況なんでしょ?」

「あぁ確かにそうだが。え! どうして知っているんだ?」

「さしずめ冬に備えている為といったところでしょうか? 他の冒険者には、それを聞いて断られたという感じでしょ?」

 ここまで言い当てられて男性はさらに唖然としている。

「あはは。私に話が回ってきた時点でお察しです」

 男性が不審そうに話を切り出す。

「それってどういう?」

「簡単です。私は組合の不良債権というか、皆があまり引き受けたがらないような依頼を中心に引き受けてきていますから」

 このリサの言葉に、男性は安心した顔を浮かべる。

「良かった。それならそれだけ組合の信頼が厚いということだよな?」

「はい。オーク程度なら問題なく狩れます。大丈夫ですよ」

 そういってリサは、ニコリと笑む。そのリサの笑顔に男性も笑みを浮かべる。

「それでは頼む。俺たち村の者に何か協力できることがあれば、遠慮なく言って下くれ。可能な限り協力する」

 男性がそう言って頭を下げたところで、リサは一つ大事なことを思い出す。

「そう言えば、お互い自己紹介がまだでしたね」

 リサの言葉に男性は笑顔で答える。

「俺はラトリだ」

「私はリサです。よろしく」

 お互いの自己紹介が済んだ後は日程の確認。ラトリがリサに尋ねる。

「出発は明日でも大丈夫か?」

「えぇ。普段から何時でも長期の旅に出られるように準備だけはしてありますから」

 こうしてリサは、この町から三日かけた先の山間の小さな村に向けて、明日の早朝にラトリと出発することになった。

・・・・・

 翌朝。天気は気持ちのいいくらいの快晴で、リサはとても気持ちよく目覚めることが出来た。

「うーん。良いことありそう」

 宿の部屋の窓から、まだ白み始めたばかりの空を眺めて、独り言ちる。

「さて、朝の用事を済ませてラトリさんを迎えに行くかな」

 リサは、トイレや歯磨きを済ませて、宿に併設された食堂で朝食を摂る。朝食はパンに野菜の煮込まれたスープ。それに野菜のサラダが付いている。野菜サラダのトッピングに鶏肉をグリルしたものが乗っている。ソースはトマトベースのもので、リサは満足して朝食を終える。

 そのあと、部屋で装備品を身に着けていく。ダンジョン産の特別な布の服の上下。これはダンジョンに生息するカタルゴというクモの糸で織られたシルクの服で、耐斬性と炎以外の魔法耐性が付いており、そのうえ汚れにくく、汚れても落ちやすいという女性には有り難い服となっている。その上にレザーアーマーを身に着ける。これも一癖ある品でマジロンという魔獣の革で作られている。各種魔法への耐性が高く、しかも対刺突耐性、対衝撃耐性もかなりのものを持っている。レザー系では上位の防具だ。それから魔道具の腕輪を左腕に身に着ける。右腕には肘下までを覆う革製のグローブ。靴もマジロンの革で出来た靴を装着する。右の太ももにはベルトが付いており、そこには棒手裏剣が収められている。腰の後ろには各種ポシェットを装着。最後に帽子をかぶる。こちらもマジロン製だ。ちなみにマジロン製の装備品は色が薄い緑色をしており、森での活動にも優れている。

 最後にマジックアイテムであるショルダーバッグを肩にかける。このショルダーバッグは、見た目以上に物が収納できるマジックアイテムで、リサが持っている各種の装備品の中でも飛びぬけて価値のある代物だ。

「さて、準部も完了したしラトリさんを迎えに行って出発しますか」

 宿を出るときには、店員に十日ほど留守にする旨を伝えて鍵を預けて出発する。時刻はまだ朝の一番の鐘が鳴る前。日がようやく上り始めた時刻。リサはラトリさんの泊まる宿へと顔を出す。

「おはようございます」

 リサが朝の挨拶をすると、ラトリさんも挨拶を返す。

「あぁ。おはよう」

「準備は大丈夫ですか?」

 リサはラトリさんの支度が終わっていることを確認する。

「あぁ。大丈夫だ。それじゃあ行くか」

「はい。案内お願いしますね」

 しっかりと頷くラトリさん。こうしてリサとラトリは、村へと向けて出発する。町の開門の合図が辺りに鳴り響く中を、二人は村へと向けて歩き出した。




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