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  王たちの宴 作者:スギ花粉
え~~~スギ花粉です。楽しんでいただけてるでしょうか?報告です。王たちの宴…fourth…盗賊王編が始まります。ぜひ読んでくださいね。
休暇
現在、魔王城のとある部屋には二人の人物がいる。

魔国第2代魔王………カイ・リョウザンと、魔国第1将軍のリサ・ジェーミソンである。

二人は机の上に置いてある書類を次から次へとチェックしている。今までは二人の執務室は別々のものとして存在していた。だが、例の一件から第1将軍の執務室と魔王の執務室が合併される事となったのだ。

「リサ…それで交易の話はどうなってる?」

それにテキパキと手を動かし続けながら答えるリサ。

「はい…あのセオドリックという男、確かに無礼ではありますが有能と言わざるを得ません。着々と準備を整えています。大陸西部の物品と、魔国の物品を取引しようと考えています。ただ……」

「ただ?」

「はい……スタットック王国を通る事になりますので、かなりの関税がかかってしまいます」

「う~~~ん……そうか…北の王との話し合いも考えなくちゃいけないな。あ!!でもさ…南の大砂漠を通れば運べるんじゃない?」

それを聞き、書類から顔を上げるリサ。

「確かに地図上ですと可能ですが、現在砂漠には多くの盗賊団が存在します。一度に運べる量は限られていますし、その全てに軍を派遣するのは不可能です。それに……砂漠にはギガン族達もいますし」

「ギガン族??」

「はい…彼らは砂漠の民です。他の種族には排他的であり、なかなか交流もないため詳しい事は分かりません。ですが、我らとは異なった慣習・文化を築いています。大砂漠を通るのであれば彼らの協力を取り付ける事が必要不可欠となりますが………」

「何とか話合いはできない?」

それを聞き少し考える素振りを見せる

「……難しいと思います。そもそも彼らがどこでどのようにして暮らしているのか分からないのですよ、彼らを治める王がいるのか?それともいくつかの部族に分かれているだけなのか?それすら分からないのです。」

「そうか……ギガン族については闇の軍に調査を頼んでみよう。それにしても、盗賊団か。確か報告で読んだけど、魔国の南部にかなりの被害が出てるんでしょ?」

「はい…私もそのような報告書を読ませていただきました。一応地方の軍もいるのですが、盗賊共は決して軍とはぶつかろうとせず、警備の手薄な村や街のみを狙うらしいのです。何度か砂漠へと討伐に向かった事があるのですが……」

「なるほど……盗賊団を壊滅させようとしても、軍を差し向けると逃げてしまう訳か」

「その通りです」

「はぁ~~……何かいい方法はないものかね~~~」

ギシっと椅子に深く座り、カイは天井を見上げていた




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それからしばらく、真面目に政務をこなしていたカイであったが

「もう駄目だ…リサ休憩にしようよ」

とカイは机に突っ伏し、駄々をこねはじめる。

それをいつものように、ハァ~~っとため息を吐きながら諌めるリサ。

「陛下…いいですか?これらは魔国にとって、どれも重要なものばかりなのです。私たち上に立つものが模範とならずになんとします。私たちにも決まった休みがございます。それなのにこれ以上休みたいなど、贅沢だとは思いませんか?勝手に休むことで、迷惑を被る部下がいるかもしれないのですよ」

「……………うん。そうだね。ハァ~~リサは本当にすごいよね。尊敬しちゃうよ」

「そ、そんな事は!!まぁ……当然の事ですから」

と少し照れた様子のリサ。

そこにコンコンっと扉が叩かれ、バリスタンの声が聞こえてきた

「陛下……よろしいでしょうか?」

「どうぞ~~~」

とカイが言うと、ガチャっと扉を開けてバリスタンが入ってくる

「フォッフォッフォ……リサ将軍もおりましたか。これは好都合ですな」

「はい?」

と怪訝そうにバリスタンを見るリサ。

「いえ…何でもありません。さて、陛下は魔王に就任してから、よく政務をして下さっていますな。まぁ……逃げ出す事もあったようですが、ギルバート様と比べればかわいいものです。ですが、少し息抜きなどをなさってはどうですか?」

「息抜き?」

とカイは頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。これは想定外だった。

「はい。根をつめればいいというものではありません。少し気分転換をなさるのもいいと思いましてな」

とその白い顎鬚をさするバリスタン。

「賛成!!超賛成!!」

カイは身を乗り出すようにして賛同する。

「・・・・」

その時、チクチクと…というか突き刺さるような…鋭利な刃物のような視線を感じた

視線で痛みを覚えたのは初めてかもしれない。さすがはリサだ。

(…いや…でもね。リサの言う事も分かるけど…まぁ次からという事で)

それを可笑しそうに目を細めて、笑うバリスタン。

「フォッフォッフォ…そうですか。実は…様々な部族が陛下をぜひ招待したい言っておりましてな。ちょうどいいので、しばらく心身ともに休められてはどうですかな?」

そこで、ちらっとリサの方を見るバリスタン。

「まぁ…陛下もお一人では寂しいでしょうから、リサ将軍と二人でゆっくりしてこられてはどうですか?」

「わ、私もですか?」

と自分を指さすリサ。

「はい……リザードマン族の族長の所へ行ってもらおうと思っておりますが、近くに海もございます。お二人で楽しんでいただければ良いと思いますよ」

それを言いながらバリスタンは意味ありげな視線をカイに向ける。その視線の意味をしっかりと理解しているカイは

「……なるほど…リザードマン族の族長から」

「はい…リザードマン族の族長からでございます」

二人は何やら怪しげな会話をしているが、リサはそんな事にはまったく気づいていない

(へ、陛下とふ、二人っきりで旅行!!前回は北の王との会談のために観光もできませんでしたし・・・そ、それに海に行くなら・水着を用意した方がいいのでしょうか・・あ~それならもう少し運動しておけば・)

とリサは頭を高速回転させて、様々な事を一瞬のうちに考える。

カイはそんなリサの様子に気付かずにバリスタンと喋っている。

「なるほどね。分かったよ……でもねバリスタン」

「はい・・何でございましょう?」

そこでバンっと机をたたくカイ。

「リサも一緒にとは…………リサに失礼だぞ!!」

シ~~~ンっと執務室が静寂に包まれる

「…え?」「はい?」

呆気にとられる二人。カイが何を言いたいのか、まったく理解できないようだ。

そんな二人を余所にカイは熱弁を振るい始める

「リサはな!!常に部下の事を考えているんだ!!自分が急に休んだら、下のものに迷惑がかかるかもしれない!!だから自分勝手な理由で休むなんて事はしないんだよ!!なぁ……リサ!!」

とカイがリサの方に振り返る。

「え?え~~と・・」

っと目を泳がせるリサ。なぜあんな事を言ってしまったのか……だが今さら、撤回など自分にはできない。すでに後に引けなくなってしまっていたのだ。

「そ、そうです!!私は・・私は・・旅行になど行きませんからね!!」

それを聞き、バリスタンは何ともいえない表情でハァ~~っとため息を吐く。

「そうですか…ではどうするのですか?お一人はやはり寂しいものですぞ」

それを聞き、腕を組んで考えるカイ。

「う~~ん。じゃあ………レンは?」

ぴくっとリサが反応する。それにバリスタンはしっかりと気付き、さらにため息を吐きながら続ける

「レン殿は今アゴラスにはおられません」

「あ、そうか。確か伝説の鳥人族の戦士がドルーン山脈に隠遁してるとかで、闘いを挑みに行ったんだっけ?う~~ん。闇の軍の隊長達には任務があるし……他の将軍は正直あんまり親しくないんだよね」

「ゴ、ゴホン…陛下、私も無理をすれば行けない事もないというか…何というか」

「いや、リサに無理はさせられないよ」

「・・・・」

(陛下のやさしさが、うっとおしく感じる!!)

「う~~~ん…うん!!仕方がない…今回は一人で行くよ」

「……そうですか。ではそのように手配いたします」

「うん…よろしく~~」

バタンっとバリスタンが執務室から出て行った。

「・・・・・」

カキカキ……ペタンペタン…カキカキ……ペタンペタン……

(な、何だろう……何か寒気を感じる。ただ静かに仕事をしてるだけなのに…)

カイは、恐ろしく無表情で仕事をし続けているリサに話しかけてみた

「リ、リサ?何か怒ってない?」

それを聞き、リサがゆっくりと一言

「あん?」

と睨みつけられた。もはや、リサではなかった。口調すら変わっている。

「!!!何でもないです!!!」

(何故だ………何故リサは急に機嫌が悪くなってるんだ?分からない…まったく分からない!!)

カイはその後、戦々恐々としながら仕事をこなしていった
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