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  王たちの宴 作者:スギ花粉
え~~楽しんでいただけてるでしょうか?スギ花粉です。一応すべて纏め終わりました。神王編・北の王編・読んでいない人は読んでみてください・ではどうぞ~
ギガン族 盗賊王編
「だ~か~ら~…そうじゃないって言ってるだろ!!カイ~~」

「わ、分かんないよ!!メリル!!」

チャングル山への逗留が許されてからすでに1週間がたっていた。

そして今、メリルの部屋でカイが悲鳴を上げている。

「何でだよ!!いいか……もう一回よく見てろよ!!」

とメリルがカイが持っている錠前を取り上げる。そして懐から針金のようなものを取り出す。

そしてスッと入れて、カチャカチャっといじくりまわす。

「こうして…ああして…そうして…ほい!!」

カチっと錠前があく。まさに神業としかいいようがない速度だ。

「どうだ!!さぁ…やってみろ!!」

カチっとまた鉤をしめてズイっと差し出す。だが、まったく分からない。

「ち、ちゃんと教えてよメリル!!」

やれやれっと呆れたように両手を上げるメリル。

「教えてるだろ~~カイ~~。だから…こうして…ああして…」

「分からないよ!!」

数時間前から、盗賊の基本である錠前破りを習っているのだが、まったく要領を得ない。メリルの教え方が感覚的すぎるのだ。

「何でだよカイ~~!!ハァ~~気配を殺す術なんかは俺っちが教えなくてもできたじゃね~かよ~」

「そ、それはそうなんだけど」

数日前からメリルと盗賊の特訓が始まっていた。そこから自分について色々な事が分かった。

まず、確かに自分には武術の心得があるという事だ。それを実感したのはメリルと組み手をしてみた時だった。

自分は覚えていないはずなのに、まるで体がそれを知ってるかのように勝手に動くのだ。

武器も扱ってみたが素手のほうがしっくりくる。おそらく体術専門だったのだろう

また、メリルから気配を殺す術を学んだ時も、それほど時間をかけずにできるようになった。

メリルも凄く褒めてくれた。だけど、試しにメリルの手本を見せてもらった時は驚いた。目の前にいるのに、いないような気がした程だったのだ。

まぁ…メリルと比べるのは酷というものだろう。しかし結構自分も優秀だったのではないか?……などと自惚れていた。

だが……………錠前破りが絶望的だった。何となく自分が捕まった理由が分かった気がした。というより錠前が破れないのに盗みに入るとは自分は何を考えていたんだろうか?

「いいか…カイ。苦手な事から逃げちゃいけね―んだ!!」

「いや…そうじゃなくて、もう少し分かりやすく…」

だが、カイの懇願をまったく聞かずに喋り続けるメリル。

「俺っちだってな……最初から出来た訳じゃねーんだ!!何度も何度も練習したんだ!!だからな?カイ……諦めちゃだめだ!!」

「・・・・・・」

(ハァー……こうなったメリルには、何を言っても無駄か)

数日、メリルの子分として一緒に生活してみて、カイはメリルがかなり変わっているという事を感じ始めていた

彼女なりの筋道とでもいうものがあるらしく、そういう時に相手が理屈をこねるような事をメリルは一番嫌う。

だからカイはそこは黙って聞いていて、少し時間がたってから軌道修正するという方法をとる事にした。時間がたつとメリルの考えが変わっていたりするのだ。

その結果、ギガン族たちはメリルに用事があるときは、まずカイに頼むようになっていた。なぜかカイのいうことには、メリルが理解を示すということに気付き始めたためだ。

カチャカチャっと錠前をいじくっていたカイであったが、ある事を思い出す。

「あ!!ゴメン…メリル!!今日ラグナ―様から部屋に来るように言われてたんだった」

「あん?…う~~~ん…仕方がね~な~カイは。じゃ今日はここまでだ。俺っちは腹が減ってるから早く帰ってこいよ…そして食事を作るんだぞ!!お前の料理の腕は最高だからな!!」

そこまで褒められると自分としても悪い気はしない

「うん。分かった」

メリルはそのまま自分の部屋のベットに横になり、カイはラグナ―の元へと向かった



=============   =================



コンコンっと扉を叩く。

「すいません……カイです」

すると、中からラグナーの声が聞こえてくる

「おう……カイか。ふむ……入ってきなさい」

「失礼します」

とカイは部屋の中に入った。その部屋はかなり狭い部屋だった。家具もなにもなく、メリルの部屋よりも質素だ。もっと豪勢な部屋を想像していたカイは少し驚いた。

その部屋の中央で座禅を組んでいたラグナ―様は、こちらに向き直る。

ギガン族には掟があり、このチャングル山に逗留するうえでは守らねばならない事がある。その他にも様々な事について学んでいるのだ。

「ふむ…カイどうだ?記憶は戻ったか?」

「いえ…それがまだ」

カイの顔に少し陰りがさす。

「……そうか。まぁ…焦ることはない。ゆっくりと思いだすといい……それでメリルとの生活はどうじゃ?根は素直でやさしい娘なのじゃが………メリルは少々変わっておるからの~。大変なのではないか?」

それに、苦笑するしかないカイ。

「まぁ……時々困ることもありますが、今の所大丈夫です。メリルは盗賊としての自分に色々と教えてくれますし、感謝しています。

それに……メリルの奔放さをみてると、何か懐かしいような気持ちになるんです。依然どこかで会ったような、よく分からないのですが何かを思い出しそうになるのです」

「・・・・・」

(ワシはどうもこの青年が盗賊には見えんのじゃが……特にメリルが断言しているという点がワシの不安をさらに掻き立てる。)

そんな事を考えていたラグナ―であったが、今考えても答えでないと結論づけ。カイに話しかける。

「さて…カイ。今日はギガン族について話そうか。お前さんは、ワシらギガン族についてどれだけ知っておるかの?」

「え~~~と……すいません。まったく知らないのです」

と少し申し訳なさそうなカイ。

「ふむ……それも仕方があるまいよ。我らは排他的な種族じゃからな。さて……ではまずギガン族について軽く説明しておくかの」

「お願いします」

ラグナ―は腕を組んで語り始める。

「ワシらギガン族は砂漠の民じゃ。太古の昔からこの地で暮らしておる。そしてギガン神を信仰する唯一の種族でもある。

 ワシらの神は厳しい神なのだ。ワシらをこの砂漠から一生出ることができぬようにお創りになった。この赤黒い肌を見なさい。何人ものギガン族が砂漠から出ようと試みた。だが、他の環境では1カ月もせぬうちに死んでしまうのだ。この灼熱の大地から逃れられぬ運命なのだよ

さらにじゃ……ワシらは魔法というものが使えぬのじゃ。その代わりといってはなんじゃが強靭な爪と肉体を兼ね備えておるがの。

寿命も人間族に比べればはるかに長い、その間ずっと砂漠と戦い続けなくてはならぬ。残酷じゃとは思わんか?辛くても逃げる事は許されぬ。ここで誇り高く生きるしかないのだ

そしていつしか……ギガン族には滅びの時が訪れるといわれておる

だが、もしワシらが掟を守り誇り高く生きたなら神は助かる道を用意して下さる。

それが神託じゃ。

それを神より受ける役目を負ったもの……それが神官なのじゃ。長い年月……多くの神官がいたが神託を受けたものはいない。だが・・それでいいのだ。神託を受けるという事は滅びの試練を受けるという事じゃからな」

「でも……確か掟では、他の種族をこの聖なる山に入れてはいけないはずですよね?自分のせいで掟を破る事になるんじゃないですか?」

それを聞き、にっこりと笑うラグナ―。

「安心しなさい……病であれば話しは別なのだ。病魔はギガンの神の敵である悪魔の化身とされておるのじゃ。じゃから、その悪魔を退治する行為……つまり治療じゃが……は例外的に許される。そしてカイの記憶喪失は、族長の会議で病魔の仕業と決まった。だから掟を破ることにはならん」

そうですかっと安堵の表情を浮かべるカイ……だがある疑問を抱く

「え?……じゃあ、メリルも何か病を患っているんですか?すごく元気そうに見えるんですけど」

それを聞き、少し困ったような表情を見せるラグナ―。

「……………メリルは病を患ってはおらんよ。確かにこれは掟を破っている形になっておる。それは間違いない。じゃが、これにはワシらの事情も絡んでくるでな……さてどこから話せばよいのか」

っとラグナ―がその白い顎鬚をなでる。

ふむっとラグナ―が考えを纏め、話しだそうとした時………

ドンドンっと扉が叩かれ、バンっと乱暴に開けられた。

そこにいたのはメリルだった。

「カイ!!もう我慢できねー!!俺っちはお腹が減ったんだ!!早く作れ!!」

「い、いや…部屋を出てから、全然時間たってないんだけど……」

ラグナ―が許可してないなにもかかわらず部屋に入り、カイの肩をつかんで早くしろ~っとガクガク揺らすメリル

そんな二人を可笑しそうの見守るラグナ―

「ほっほっほっほ。まぁ…メリルにかかればギガン族の神官もかたなしじゃ。カイ…行ってやりなさい。この話しの続きはまた今度じゃ」

「はい……分かりました」

それを聞きメリルが嬉しそうにカイの腕を掴んで部屋の外に連れ出してしまう。カイは引きずられるように出て行った

先ほどまでとはうってかわり部屋には静寂が訪れる、

そして………………

「………メリルは本当に楽しそうじゃな。同じ人間族としてだけでなく、互いに気を許しているようじゃし……よい傾向じゃ。メリタ―ザが望んだように、メリルがこのチャングル山から出ていくきっかけとなってくれるやもしれん」

ラグナ―が少し寂しそうに入口の方を見つめてから、神に祈りをささげるために静かに座禅を組んだ
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