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「むぅ、ここからでは湯気が邪魔でよく見えん。よし!!ここはひとつ、わしがひとっ風呂あびがてらー」

「おいジジイ、勝手な事をすんじゃないよ」

岩場に片足のせ、湯船の中心に目をこらしているガンダルガに、ようやく追いついたアリッサが文句をつける。

ブランとミミもすぐに二人の側へ来たが、フェルナンドだけはまだ入口におり、扉を調べている様子であった。

「あれは……大きな石かな??確かに気になりますね」

なるほどガンダルガの言う通り、温泉の中央には人の頭位の大きさの丸い石が、湯気の隙間から見え隠れしていた。

ごつごつとした天然の岩場が広がる中で、人工物めいたその石だけが妙に浮いている。

「きゃっ!!」

その時である、突然ミミの首から下げた木箱がカタカタと鳴りだしたかと思うと、パカッと二つに割れて中から何かが地面にすべり落ちた。

それは、布製の巾着のようなものだった。
アリッサが拾い上げ、袋の中身を確認する。

「なるほどな…」

アリッサはそれだけ言うと、袋を無造作にミミに渡した。

「………これは、粉??」

袋には、白いキラキラとした粉がつまっていた。


ボロロン…


いつの間にこちらへ来たのか、フェルナンドが竪琴を軽やかに鳴らした。

彼は、振り向いたミミが手に持っている袋を指差すと、その指をそのまま目の前の湯船へと移動させた。

「この粉を湯船に入れろってことですか??」

ブランが問いかけると、老詩人は「ボロン」と竪琴で返事をした。

「そうか!!もしかすると、こいつぁ強力な入浴剤かもしれんな。さあ娘、わしがはいる前にささっと入れてくれ」

「ガンダルガさん、そんなわけないでしょう。すでに温泉なんですよ」

ブランがそつなくたしなめるが、ガンダルガは自分の推理に自信満々の様子だ。

「いやぁ、わからんぞ。温泉魔導師の残したものとあらば、温泉の効能をさらに高める伝説の入浴剤ということもあろう。うむ、そうに違いない!!」

「何でそれがヴィシュメイガから街を救う事になるんですか!!」

「温浴効果で力をみなぎらせ、ヴィシュメイガを倒すんじゃよ!!わぁははは!!」

この間、アリッサはもはや相手にするのも時間の無駄とそっぽを向いており、フェルナンドは無言でたたずんでいたのだが、ただ一人、この生産性のないやりとりに好意的な反応を示した者がいた。ミミである。


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