69
「うちのメンバーが奴の動きを封じている間に、私が強力な雷撃魔法を唱えます。今のうちに後方へ避難してください」
キャトは、相変わらず飄々とした口振りで、太陽の家の面々に指示を出した。
もはやロビーには、彼らと人質となっているニコライしか「生きている」人間はいなかったのだ。
「奴に雷を打ち込むとして、ニコライさんはどうするつもりかね??」
ポッテヌが眉間にシワを寄せて問いかける。
「問題ありませんよ。私の準備がすむと同時に結界を解除させ、私が術を打ち込む数秒の間に、メンバー達であのご老人の周りに局所的な結界…これはもちろん魔力をはじくものですが…を展開させます」
「数秒……ね」
ポッテヌが、何とも微妙な答えを返す。
「確かに、ロビー入口の結界は破られてしまいましたが。あれは、うすく巨大な結界を展開したからです。これ位の空間ならば、我々のつくる結界に問題が生じることはありません」
「ううむ」
「では…」
キャトは、これ以上話す事はないとばかりに、術の準備のため仲間達の方へと行ってしまった。
キャトとポッテヌのやりとりを聞いていたブランは「入口の結界が破られた」と聞き、たまらずポッテヌに問いかけた。
「ポッテヌさん!!今、ここの玄関に結界はないんですよね。それって、外からあの狼たちが入ってくることになるんじゃー」
「いや、どうやら大丈夫なようだよ」
ブランの懸念に、ポッテヌがロビーの入口を指さした。
吹き飛ばされた扉があった部分には何やら魔道の品らしき縄が張られ、外を向き印を切っているアリッサと、傍らで外を威嚇するように大剣をかまえているガンダルガの姿があった。
「あの二人、いざとなるとなかなかにいいコンビなのだな。おお、こちらに戻ってくる。どうやら結界を張り終えたようだ」
ブランたちのところに戻って来た二人は、先ほどまでの連携はどこへやら、眉をつり上げて悪態をつき合っていた。
「全く……人が集中してる隣で汚いうなり声を上げるんじゃないよ」
「何をぉ!!わしの気迫で狼どもを止めたから安心して結界が張れたんじゃろうが!!」
「狼どもはあの化け蜘蛛を警戒して入って来れないだけさ。余計な事をするんじゃないよ」
「さあ、果たしてどうかな。さすがに目の前に獲物が来れば、いくら婆さんとはいえ、ガブッと来たかもしれんぞ!!」
見かねたブランが、間に割って入ったが
「ちょっと!!二人とも今は痴話ゲンカをしている場合じゃー」
「誰が痴話ゲンカだっ!!」
両サイドから同時に同じセリフで怒鳴りつけられてしまった。
しかし、それで区切りがついたようで、二人の老骨は、ムスッと腕を組んでお互いそっぽを向いた。
「……まあいいさ。この続きはあの化け蜘蛛を倒してからだ」
「それもそうじゃな。まずは、あの若僧共のお手並み拝見と行くか」
そう言うと二人の元冒険者は、キャトの方へと目を向けた。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。