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「うわ、おいしい!!」

「俺、正直ミートパイに苦手意識あったんだけど、これはヤバいわ」

パート介護士であるメディナの差し入れの中身は、手作りのミートパイであり、二人の若者からの評価は上々であった。

「そうかいそうかい!!そう言ってもらえりゃ、作った甲斐があるってもんだよ」

そう言いながらメディナは、豪快な笑い声を上げた。
朗らかさと頼りがいが同居した、なかなかに愛すべき人物である。

「すみません、こんな遅い時間に」

「大丈夫よ、どうせすぐ近くなんだし」

そう言うと、メディナは再び笑い声をあげた。
本人の言う通り、彼女は『太陽の家』からものの五分とかからない所にある、家族世帯のためのアパートに住んでいるのだ。

「そういやさ、ブラン」

「はい??」

ブランに呼びかけたメディナの顔は、いくぶん真剣味を帯びたものに変わっていた。

「今度の温泉旅行の事で、アリッサさんとゴタゴタしてるんだって??」

「え?…………あ、はい」

そう聞くとメディナは、ブランとフリントが並んで座っている机の向かいに腰かけた。

「実は……アリッサさん、今回の温泉旅行の割り振りが気にいらないみたいで、行かないって言い出すんじゃないかってすごく心配なんです」

ブランの言葉を聞いたメディナは、そのふっくらとした顔をあげると彼に質問を投げかけた。

「そうかい。ブランは、なんでそんな心配な気持ちになるんだい?」

「え、それは……せっかくの温泉旅行だし、アリッサさんにも参加して楽しんで欲しいから…」

「なるほど、確かにそれは大切なこった」

メディナは、あくまでも朗らかな表情だったが、その瞳には確かに聡明な光が宿っていた。

「じゃあさ、あんたはアリッサさんに旅行を楽しんで欲しいわけだ」

「もちろんです!!」

「……昨日ね、ドロシーさんと庭を散歩したんだよ」

ドロシーと言うのは、『太陽の家』の入居者で、アリッサの部屋の隣に住む盲目の老女である。
他の入居者からは、その偏屈な性格と魔力によるトラブルのため距離を置かれていたアリッサであるが、どういうわけか、このドロシーとだけは非常に仲が良く、お互いの部屋を行き来することも多かった。

「そん時に聞いたんだけど、どうやらアリッサさん、ドロシーさんと温泉に行くのを楽しみにしてたようなんだよ」

「あ……」

ブランの目がハッとしたように大きく見開かれた。


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