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ブランがメディナと共にロビーへ行くと、コの字型に置かれたソファーに、アリッサ、ガンダルガ、ポッテヌ、フェルナンド、フリント、それにツアコンのネルガらがぐるりと腰かけていた。

窓の外はもはや完全なる猛吹雪となり、一歩前に何があるかもわからない有り様になっていた。

「……これじゃあ、もう怪我人が運ばれてくることもないだろうねぇ」

メディナが小さな声でつぶやく。

彼女は先ほどまで、湯〜ゲルンの二階にある広間を解放し、ここに常勤している医師とともに、氷狼に襲われ、逃げたり運ばれてきた怪我人達の手当てをしていたのだ。

今は、軽傷のものの手当てを終え、手に負えなかったものはすでに旅立ってしまったため、二階は落ち着いているということだった。

「みなさま。この度は、このような事態になってしまい、まことに申し訳ありませんでした」

一同が席に着くと、ネルガが、青ざめた顔のまま頭をさげた。

「旅行者の安全を第一に考え、みなさまを誘導するべき立場のわ、私が…その…」

おそらくは、ネルガ自身も事態を受け止めきれていないのだろう。
この場にいながら心ここにあらずといった様子がありありとうかがえた。

「まあ、それはお前さんのせいじゃないだろ」

ブランが驚いた事に、ネルガをあれだけ毛嫌いしていたガンダルガの口からフォローの言葉が出た。
本心はどうあれ、不安や不満を他人にぶつけず、この場にいるみなに頭を下げたネルガの態度に好意をもったのかもしれない。

「し、しかし、天候などについて、もう少し入念にサーチしていればー」

「どれだけ準備をしても、予想を超える事が起きることもあるからねぇ」

「そうですよ。それに今回は、直前になって急にお願いしたんですし」

ガンダルガの反応が連鎖したのか、本来のフォローポジションであるブランとポッテヌが、すかさず言葉をかける。

「ああ……」

悲痛な声でそうもらす、ネルガは両手で頭を覆い、体を折り曲げうなだれてしまった。

「フリント、二階にネルガさんを連れてって、少し休ませてもらえるかい?」

「あ、はい……わかりました」

メディナに声をかけられたフリントが、覇気のない返事をする。
実のところ、氷狼に襲われた恐怖と、医師とメディナに叱咤されながら怪我人の手当てに動きまわった疲労により、彼の体力・精神力はあっけなく限界に来ており、もはや思考停止状態に近い様子であった。

「落ち着くまで側についていてあげとくれ」

「はあ……そうします」

すっかりしょげこんでいるネルガを、無気力になったフリントが連れて行き、ブランが一人、人生の大ベテラン達に囲まれる構図となった。

ブランが驚いたことに、彼らが発する場の空気は、急にギラギラとしたものに変わりはじめ、特に元冒険者の面々からは、何やら闘志のようなものが感じられたのであった。

「さあて………どうする、皆の衆」

ニヤリと口火を切ったのは、やはりガンダルガであった。


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