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作:秋山 明里



第二話:リアルのアタシとリアルのアイツ


「奈美!いい加減起きなさい!」
 いつものことだけど、アタシは朝に弱い。とてつもなく弱い。自覚はあるし、起きなきゃとも思うけど正直無理だ。そんなアタシを母親は起こしてくれる。そんな母への申し訳なさもあってもそもそと布団から這い出る。
 「おはよう」
 リビングに出るとテーブルの上には、炊き立てのご飯と作りたての味噌汁がアタシの食欲は湧きたてる。
 食べる前に顔洗ってきなさい。
 「はぁい」
 ジャブジャブと顔を洗う。それでもまだ寝ぼけた顔は戻らない。
 「ん〜おいしいー」
 うちの母親の味噌汁は世界一だ。寝起きのアタシはこの味噌汁で目が覚めるといっても過言ではない。
 「おいしそうに食べてるとこ悪いけど時間大丈夫なの?」
 時計を見ると既に八時を回っている。
 「ごちそうさま。・・・・・行ってきます!」
 ご飯をかきこんで、制服に着替えて家を飛び出す。
 

 「間に合ったー」
 なんとか遅刻ギリギリで席に着くと、隣の席の男子生徒が声を掛けて来た。
 「今日もギリギリなんだな。奈美」
 「・・・三崎。いいじゃない別に。アタシは朝弱いんだから」
 三崎 亮。最初声を掛けにくい奴だったけど一か月くらい前から徐々に打ち解けて来た。初めて会ったときなんか澄まし顔で周りのもの全部眼中にないってやつだったけど、最近はよく喋ってるのよね。しかもよく笑うようになったし。
 「なんかいつも以上に眠そうだな。何かあったのか?」
 「ん?ちょっとね。夜更かししてたもんだから」
 「ネトゲでもしてたのか?」
 これも最近わかったことだけど、こいつはやたら勘がいい。それもムカつくくらいに。まあ嘘ついてもしょうがないし本当のことを言う。
 「そうだよ。昨日から始めてね。The Worldって知ってるでしょ?」
 なぜか三崎はThe Worldという単語に反応した。三崎もやってるのかな。
 「へぇ、俺もやってるぜ、The World。PC名は?」
なんか以外。ゲームなんかやりませんって顔してんのに。
 「アオイだけど。アンタは?」
 「・・・・・」
 なに固まってんの?こいつ。
 「どうしたの?」
 「アオイってもしかして昨日カナードに入った?」
 カナードって単語が出るんだったら同じギルドなのかな?偶然。
 「そうだけど?それがどうかした?」
 「・・・まあいいか。俺ら昨日The Worldで会ってんだよ」
 「へ?」
 「俺のPC名はハセヲだ」
 「えええぇぇぇぇぇえ!?」
 思わず声に出してしまった。
 ハセヲってもしかしてギルドマスターの?偶然にも程がある。
 「マジ?」
 「マジ。まあよろしくな」
 この日からアタシと三崎は今まで以上に喋り、一緒にいることが多くなった。
放課後。片付けの終わったアタシは隣の三崎に声をかける。
 「三崎。アンタ今日するの?」
 鞄にノートを詰めていた三崎はアタシの方を見ると簡単に返事をする。
 「やるけど」
 「じゃあさ、レベル上げ手伝ってくんない?」
 「いいぜ。あと一人誰か呼んで連れてってやるよ」
 「ありがと。じゃあまた後でね」
 アタシはそのまま、自宅に道草食わず帰りThe Worldにログインする。












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