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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第49話  魔王の系譜

 第49話  魔王の系譜(けいふ)

ゼオス「父さん・・・・・・」
 と、冷たい視線を送りながら、ゼオスは(つぶや)いた。
ガルン「見ていたぞ。それ程の腕を持っていたとはな」
ゼオス「・・・・・・まぁね」
ガルン「しかし、(いただ)けないな。お前はコーリアをなんだと
    思っている。産む道具か?」
 とのガルンの言葉に、ゼオスはフッと笑った。
ゼオス「俺は彼女を愛するよ。そう一度、決めたなら」
ガルン「愛とは-そういうモノでは無いだろう」
 と、ガルンは静かに言った。
ゼオス「父さん、説教なら()めてくれよ。俺は明日にでも
    出て行くんだから。何を言われようと心には残り
    はしない」
ガルン「・・・・・・本当に出て行くのか?」
ゼオス「ああ。前から決めてたんだ」
ガルン「そうか。なら、それを止めはしまい。
    コーリアも大人だ。それもあいつの
    意志に任せよう。だが・・・・・・」
 そして、ガルンは木刀を(かま)えた。
ゼオス「剣士としての血が騒ぐ?」
 と、ゼオスは薄い笑みを浮かべながら言うのだった。
ガルン「まぁ、そんな所だな」
ゼオス「俺は父さんより強いよ」
ガルン「分かっておる」
 と自嘲気味にガルンは答えた。
ガルン「今まで気づけなかったのは不覚だな。とはいえ、
    ゼオス、お前が剣を辞めたのは、ワシより強く
    なったからか?」
ゼオス「それも-あるよ」
ガルン「そうか・・・・・・」
 そして、ガルンは目を(つむ)り、天を(あお)ぎ、
深呼吸をした。
ガルン「しかし、この(とし)にして、我が息子に挑む事となる
    とは。世の中、分からんモノだな」
ゼオス「そうだね。ねぇ、父さん。いい加減、言葉は
    ()めようよ」
ガルン「そうだな・・・・・・剣士なら剣で語るとするか」
 そして、ガルンは木刀に魔力を通した。
 それに対し、ゼオスは妖艶な笑みを浮かべ、ガルンに対し、
殺気を放った。
 その波動で、ガルンの全身はピリピリと震えるも、
ガルンも並の剣士ではなく、ひるむ事は無かった。
ゼオス「かかって来なよ、父さん」
 とのゼオスの挑発に対し、ガルンは雄叫びをあげながら、
ゼオスへと立ち向かうのだった。

 木刀と木刀が-ぶつかり合い、激しい魔力の火花が散った。
 その衝撃波で、雨の(しずく)は吹き飛んで行った。
ゼオスは楽しげに、遠距離用の剣技を次々と放った。
とはいえ、その剣撃は雨をまとい、容易に視認する事が
出来た。
 なので、ガルンは-なんとか全てを弾き飛ばす事が出来た。
ゼオス「やるね」
ガルン「()めるな」
 そして、ガルンは一瞬でゼオスに距離を詰め、
下段(げだん)から一気に剣を振り上げた。
 それをゼオスは身をひねり-たやすく(かわ)すのだった。
 ガルンは次々と剣技を放っていくも、ゼオスは軽々と
()けていき、まるで(きり)(つか)むような感覚しか
得れなかった。
ゼオス「出し惜しみは無しだよ、父さん。全ての剣技を
    俺にぶつけてみなよ。そのことごとくを否定して
    あげるからさ」
ガルン「やってみろッッッ!」
 そう叫び、ガルンは剣士としての半生(はんせい)をこめた剣技を
発動していった。
 5連撃がゼオスを襲った。
 それをゼオスは次々と(はじ)いた。
 さらに、ゼオスはガルンの喉元(のどもと)に剣を突きつけた。
ガルン「う・・・・・・」
ゼオス「(すき)が大きすぎるよ。それに動きが自動化され
    過ぎている。全ての動作に毎回、調節を加え
    ないと、すぐに見切れるよ」
ガルン「・・・・・・初めて見せた技のハズだ」
ゼオス「父さんの動きの(くせ)で分かるよ。それに剣技なんて、
    結局は17の(かた)の組み合わせだし。まぁ、いいや。
    残りの剣技も見せてよ」
ガルン「後悔するなよッッッ!」
 そして、ガルンは己の全てをさらけ出すのだった。

 全ては通じなかった。
 ガルンは剣士としての誇りを叩き折られ、地面に両手を
ついた。
 泣き叫びたい程の屈辱(くつじょく)が-ガルンに渦巻(うずま)いた。
ゼオス「こんなモノかな。でも、流石(さすが)だね。何度か冷やっと
    した時が-あったよ」
 とのゼオスの言葉に、ガルンは(うめ)(ごえ)をあげた。
 中途半端(ちゅうとはんぱ)賞賛(しょうさん)は、(あわ)れみにしか
聞こえなかった。
 そして、ガルンは声を(かす)かに()らしながら、男泣きに
泣くのだった。
 そんなガルンを冷たく見下ろして、ゼオスは-ため息を()き、
その場を後にした。

 ゼオスはコーリアの居る秘密基地へと戻った。
 裸のコーリアは-その中で泣いていた。
 しかし、ゼオスの姿を見て、(かす)かに瞳に光を取り戻した。
ゼオス「ごめん、コーリア。やっぱり、君を置いてはいけない。
    俺と一緒に来てくれ。君が今でも-それを望むのなら」
 とのゼオスの言葉に、コーリアは信じられないという表情を
見せた。
コーリア「ゼオスッ、ゼオスッ!ほんと-だよね。嘘じゃない
     よねッ!」
 と泣きじゃくりながら、コーリアはゼオスに抱きついた。
ゼオス「ああ、俺は嘘は()かないよ」
 そう答え、ゼオスはコーリアの口をキスで(ふさ)いだ。
 そして、ゼオスはコーリアと深く舌を(から)め、コーリアの体を
ほごすのだった。
 秘密基地では、淫靡(いんび)な音が響き渡るのだった。

 ・・・・・・・・・・
 時は()(がた)だったが、黒雲が()の光を
(さえぎ)っており、あたりは薄暗かった。
 そんな中、ゼオスは眠るコーリアを置いて、
雨に打たれるままに散策(さんさく)するのだった。
ゼオスは開放感から、(しの)(わら)いを()らした。
しかし、急に目を細め、振り返った。
ゼオス「誰だ?」
 すると、一羽のコウモリが木の枝から下りてきた。
コウモリ『お初に-お目にかかります。我が(あるじ)よ』
 との念話が響いた。
 しかし、コウモリが話す事に、ゼオスは驚きを見せなかった。
ゼオス「お前は魔族か?」
 とのゼオスの言葉にコウモリは『()』と肯定した。
ゼオス「魔族が-こんな人間の土地で何をしている?
    見つかれば殺されるぞ」
 すると、コウモリは-おかしそうに笑った。
コウモリ『それは我が主。貴方(あなた)(さま)も-ご同様では?』
ゼオス「ほう・・・・・・やはりか」
 とのゼオスに対し、コウモリは(うなず)いた。
コウモリ『その通りで御座(ござ)います。貴方様は魔族のプリンス
     とでも呼ぶべき御方(おかた)
ゼオス「そうか。俺は自分が魔族である事は薄々、分かっては
    居た。だが、何故、俺は人間の世界に居る?そして、
    魔族は皆、俺と同程度に強いのか?」
コウモリ『質問に-お答え(いた)します。魔族の慣習として、一族の
     者の内、何人かの赤児を人間の世界に送るのです。
     そして、人間として育たせる事により、人間の弱点
     を学ばせるのです』
ゼオス「なる程、理は-かなっている」
コウモリ『はい。そして、次の質問ですが、ゼオス様。
     貴方(あなた)(さま)のお力は、魔族の中でも-群を抜いた
     モノと言えるでしょう。
     貴方(あなた)(さま)は魔王の血を色濃く継がれなさった
     ようです』
 との言葉に、ゼオスは艶然(えんぜん)たる笑みを見せた。
ゼオス「つまり・・・・・・俺は《魔王の系譜(けいふ)》に(つら)なるという事か?」
コウモリ『左様(さよう)御座(ござ)います』
 それに対し、ゼオスは声をあげて笑うのだった。
ゼオス「ハハハッ、これ程、おかしい事は無い。しかし、
    なる程、なる程。さて、ならば-どうしたモノか」
コウモリ『殿下のお心の(おもむ)かれるままに・・・・・・』
 そう言い、コウモリはヒトのように(ひざまず)いた。
ゼオス「なら、今しばらく人間の世界に(とど)まる。
    いいな」
コウモリ『御意(ぎょい)・・・・・・』
ゼオス「さて、なら急ぎ出発を」
 その時、何かがコウモリに飛んで来た。
ゼオスは-それを木刀で(はじ)いた。
地面には投げナイフが落ちていた。
ゼオス「・・・・・・出てきなよ、父さん」
 との言葉に、無言で草むらからガルンが出てきた。
コウモリ『聞かれましたか・・・・・・申しワケ-御座(ござ)いません。
     (わたくし)が責任を持って、あの男を永遠に口が聞けぬ
     ように(いた)します』
 そう言い、コウモリは異形の魔力を高めた。
ゼオス「待て」
 との命令に、コウモリは戸惑(とまど)った。
コウモリ『ですが・・・・・・』
ゼオス「俺がやる」
 そう言って、ゼオスはガルンに対し、木刀を構えた。
ガルン「まさか-お前が魔族だったとはな。
    それに魔王の系譜だと?
    あまりにも突拍子(とっぴょうし)も無い(はなし)だが、
    お前を見ると十分にありうる・・・・・・。
    ゼオス、お前の口から聞かせてくれ。
    お前は本当に魔族なのか?
    心の(うち)では、人間を()(きら)っていたのか?」
ゼオス「・・・・・・嫌ってなど居ないよ。俺は魔族だけど、
    人間は家畜として(いと)おしく思っているよ」
 とのゼオスの言葉に、ガルンは(まゆ)をひそめた。
 しかし、ゼオスは-それ以上、話そうとしなかった。
ガルン「そうか・・・・・・なら、せめて養父として、お前を
    殺そう。しかし、魔族か。お前が・・・・・・。
    嘘だと言って欲しかったよ」
 すると、ゼオスはフッと笑いをあげ、全身の魔力を
渦巻(うずま)かせた。
 それと共に、ゼオスの肉体は変化していき、黒い鎧のごとき
肉をまとった。それは明らかにヒトでは無かった。
 ガルンは息を荒くした。
ガルン「ゼオスッッッ!」
 と、叫び、ガルンは無謀(むぼう)にもゼオスに立ち向かうのだった。
 しかし、ゼオスが手を(かか)げると、ガルンは衝撃波で
無残(むざん)にも吹き飛んで行くのだった。

 ・・・・・・・・・・




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