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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第47話  告白

 第47話  告白

 シオンは娼館で養父のガルンと出会っていた。
ガルン「シオン、何故、こんな所に」
シオン「父さんこそ・・・・・・」
ガルン「と、ともかく。こっちへ来い」
 そして、シオンはガルンに連れられ、酒場に来た。
ガルン「さて、どういう事か話してもらうぞ。
    お前、ワシらが-どれ程、心配したか
    分かって居るのか?」
シオン「ごめんなさい・・・・・・」
ガルン「まぁ、いい。大方、ゼオスが何かしたんだろうが。
    ともかく、話して見ろ」
シオン「うん・・・・・・」
 そして、シオンは事情をかいつまんで話した。
 ただし、ターニャとの関係は-あえて語らなかった。
ガルン「そうか・・・・・・。ゼオスと決闘をしたか。
    まぁ、確かに決闘に負けた剣士は、世間に顔向け
    出来ん所が-あるからな」
シオン「ごめんなさい」
ガルン「謝るな。しかし、シオン。そろそろ帰って来ても
    いいんじゃないのか?コーリアも心配しているぞ」
シオン「うん・・・・・・でも」
ガルン「女でも出来たか?」
 と、ガルンはニヤリとして言った。
シオン「え?いや、それは・・・・・・」
ガルン「誰だ?言って見ろ。ゼオス達には絶対に言わんから」
シオン「いやぁ・・・・・・ちょっと」
ガルン「じゃあ、当ててやろうか?」
 と言って、ガルンは次々と娼婦の名前をあげていった。
シオン「違うよ。っていうか、父さん。あの娼館に詳しいね」
ガルン「まぁな。三月(みつき)に一回、通い続けていたからな」
シオン「へぇ。誰が目当てで?」
ガルン「お前が言ったら教えてやる?
    さて・・・・・・しかし、となると、残りはターニャか?
    まさかな」
 との言葉に、シオンは一瞬、目を逸らしてしまった。
ガルン「お前は、本当に分かりやすい奴だな。剣を構えている
    時は何を考えて居るか読めないのに」
シオン「え?いや、その・・・・・・」
ガルン「しかし、本当にターニャなのか?彼女は-すごく高い
    んだぞ。彼女目当ての客が隣町からだって来たりする」
シオン「え?そうなの?もしかして、父さん、ターニャと」
ガルン「いや、そんな金は到底ない。それに、ワシは
    その、ある人が目当てで、あの娼館に通って
    いるんだ・・・・・・」
 とモジモジし出したガルンを見て、シオンは仕返(しかえ)しと
ばかりに、質問しだした
シオン「じゃあ、今度は父さんの相手を教えてもらうよ。
    さーて、誰かな?ニルファとか?」
ガルン「そんなワケあるか。彼女は若すぎる。ワシとだと
    犯罪だぞ」
シオン「という事は、結構、熟女な人って事か。
    となると・・・・・・」
 と、シオンは考え込んだ。
シオン「もしかして、カシュアさん?」
 と、シオンは一人の娼婦の名を告げた。
 すると、ガルンは-ひどく動揺を見せた。
シオン(なる程、カシュアさんか・・・・・・)
 と、シオンはカシュアを脳裏に浮かべた。

カシュアは店の中でも一番-年上であり、
熟女というよりは初老と言った方が正しい
感じであった。
 ただ、昔は相当に美人だったらしく、その名残(なごり)
確かに-うかがう事は出来た。
 ちなみに、娼婦としてターニャの大先輩であり、
そのテクは相当のモノらしい。
 その割に娼婦としての値段は-(とし)のせいで安いので、
金のないガルンにとっては良い相手なのだったのだろう。

ガルン「・・・・・・まぁ、その通りだ。コーリア達には絶対に
    言うなよ」
シオン「分かってるよ。それより、俺の事も秘密にして
    おいてよ」
ガルン「分かっておる。男同士の秘密だ」
シオン「うん」
 そして、二人は笑い合うのだった。
ガルン「しかし、そうか、ターニャに()れたか」
シオン「ま、まぁ・・・・・・」
ガルン「あの子も良い女だよ。幸せにしてやれ」
シオン「うん」
 すると、ガルンは、ホッと-ため息を()いた。
ガルン「しかし、お前が無事で良かった。まぁ、お前の腕なら
    心配は()らんのだろうが、それでも親というのは心配
    してしまうモノだ」
シオン「父さん・・・・・・」
 と、シオンは少し涙ぐんで言うのだった。
ガルン「とはいえ、ワシとしては一旦(いったん)、家に戻ってきて-
    欲しいのだがな。なるべくなら剣も続けて欲しい。
    いや、無理にとは言わんが」
 と寂しげに言う父の姿を見て、シオンは決心した。
シオン「分かった。家に戻るよ。ただ、時間の許す限り、
    ターニャの(そば)に居たいんだ。だから、夜間は極力、
    娼館で働きたいんだけど」
ガルン「おお、シオン。戻って来てさえくれるなら、
    何でも良いさ。もう少し、ターニャとの関係
    も深まったら、結婚もすると良い」
シオン「け、結婚?」
ガルン「何だ?嫌なのか?」
シオン「いや、嫌じゃないけど・・・・・・なんか気恥ずかしい
    というか」
ガルン「はは。まぁ、お前には-まだ早いか。
    しかし、ターニャも若くは無いから
    早く子供でも作っておいた方が安心
    だと思うぞ」
シオン「か、考えとくよ」
ガルン「うん、うん。しかし、良かった。まぁ、(あせ)る事は
    無い。ワシらは待っているから、いつでも帰って
    来い、シオン」
シオン「うん」
ガルン「さぁ、酒だ、酒だ。今日は-めでたい日だ。
    もしかしたら、息子が嫁を連れて帰って
    来るかもしれん」
 と言って、ガルンは笑うのだった。

 ・・・・・・・・・・
 深夜、シオンはターニャに事情を話した。
シオン「そういうワケで一旦(いったん)、家に戻ろうと思うんだ」
ターニャ「そうなんだ・・・・・・」
 と、ターニャは(せつ)なげな表情を見せた。
シオン「いや、別に家は-ここから遠くないし、それに、
    毎日、来るからさ。だから、そんな悲しそうな
    顔をしないでくれ」
ターニャ「分かってる。仕方ない事だもんね」
 と言って、ターニャは無理に笑顔を見せた。
シオン「ターニャ。俺さ・・・・・・その・・・・・・ターニャの事が
    すごく好きだ」
ターニャ「私もだよ」
 そう言って、ターニャはシオンに体を寄せてきた。
シオン「それでさ、その・・・・・・俺、ターニャと家族に
    なりたいんだ。その・・・・・・もし、嫌じゃなけ
    れば、俺と結婚してくれませんか?」
 とのシオンの言葉に、ターニャは一瞬-何を言われたか
分からないようだった。
 しかし、次第(しだい)に、その言葉の重みを知り、
泣き出すのだった。
シオン「ご、ごめん、泣かないでくれ」
 と言って、シオンはターニャの髪を優しく()でた。
シオン「あ、もしかして、嫌だったかな。だったら、それこそ
    ごめん。勘違いしてたのかな・・・・・・」
 とのシオンの言葉に、ターニャは首を強く横に振った。
ターニャ「違う、違うの。あんまりにも嬉しくて。
     娼婦(しょうふ)に身を()としてから、ずっと、ずっと
     辛くて、それで・・・・・・頑張ってきたけど、
     でも・・・・・・こんな幸せな瞬間が訪れるなんて」
 と言い、ターニャは涙をこぼすのだった。
シオン「ターニャ・・・・・・」
 そう言って、シオンはターニャの涙をキスで-すくった。
 それから、シオンはターニャを抱き寄せようとするも、
ターニャは-それを(こば)んだ。
シオン「ターニャ?」
ターニャ「・・・・・・ごめんね、シオン。私もあなたの事を愛してる。
     愛してるんだよ。でも、駄目なんだよ」
 と、断腸(だんちょう)の思いで告げるのだった。
シオン「ど、どうして・・・・・・?」
 シオンは全身から()(あせ)が出るのを感じた。
 頭がクラクラして、倒れそうだった。
ターニャ「私の体は-私だけのモノじゃないんだ」
 と、ターニャは語りだした。
シオン「どういう事?」
ターニャ「私が以前、(つと)めていた売春宿は(ひど)い所だったんだ。
     売れてる娼婦(しょうふ)には優しいけど、売れない娼婦(しょうふ)に     対しては、家畜以下の扱いしかしなかった。逃げ出す子
     も多かったけど、ほとんど皆、捕まって折檻(せっかん)を受けて、
     中には-その時の傷が元に死んでしまった子も
     居る」
シオン「そんな・・・・・・」
ターニャ「それで、私は-ここらの売春を取り締まっている
     ドン・ポトカに頼み込んで、新しい娼館の経営
     を任させてもらったんだ。当時、私は-あの人の
     愛人だったから。
それで、私は-売れない売春婦達を連れて、この娼館を始めたんだ」
 と、ため息を()き、言うのだった。
シオン「そうだったんだ」
ターニャ「でも、その時、すごい金額の借金を私はドンから
     したんだ。ここも繁盛(はんじょう)してるけど、毎月の利子を
     支払うだけで精一杯(せいいっぱい)。しかも、ここに居る子は-
     それぞれ個別にドンのファミリーに対して借金を
     してて、それを返済するために体を売ってるんだけど、
     逃げ出す子も居てね。そうなると、その子の
     背負っていた借金を私が肩代わりする形になって、
     借金は減るどころか、増える一方なんだ」
 と言い、ターニャは目を()せた。
シオン「(ひど)(はなし)だな」
ターニャ「そうだね、酷い話だよ。でも、ドンは契約以上の
     事はしてこない。借金さえ返せば、みんな自由に
     なれるんだ」
シオン「なる程。じゃあ、金さえあれば良いんだね?」
ターニャ「そうだよ、その通り。でも、お金なんて-そう簡単に
     稼げないんだよ。身と心を削って、体を売っても、
     結局は利子で消えてしまう。毎日、辛くて。
     辛くて、海に入って死んでしまおうかと思う事も
     あったんだよ。
     それで、あの日、砂浜を歩いていたら、シオン
     あなたが倒れていたの」
 そう言って、ターニャは目を閉じ、その光景を思い浮かべる
のだった。
ターニャ「運命かと思った。神様が私に《まだ、死んでは駄目》
     と言っている気がした。それで、私は貴方(あなた)をここに
     頑張って運んだんだよ」
シオン「そうだったんだ。だから、俺達は出会う事が出来た。
    確かに、運命だ」
 と言うシオンに、ターニャは半泣きで微笑(ほほえ)みながら
(うなず)いた。
ターニャ「シオン、あなたが好き。あなたを愛してる。
     でも、だからこそ迷惑を()けられない。
     ドン・ポトカは(おそ)ろしい男なんだ。
     もし、シオンが私と結婚したら、私の借金を
     シオンに押しつけてくるに決まってる。
     特に、シオンの剣の腕を知れば、奴は-きっと
     シオンを欲しがるわ」
シオン「・・・・・・なら、借金を返すしか無い」
ターニャ「そうだね」
 と、ターニャは(せつ)なげに答えるのだった。
シオン「なぁ、もし借金を返したら、ターニャは-どうしたい?」
 とのシオンの言葉に、ターニャは顔をほころばせた。
 ターニャは-それを冗談か夢か何かだと思ったのだった。
ターニャ「フフ、辛い時は、良く考えるよ。
     でも、借金を返せても、ニルファ達と一緒に
     働けたら良いなって思うんだ。だから、酒場
     か何かを経営できたらって・・・・・・」
 と、嬉しそうに言うのだった。
シオン「ああ、そうだね。ターニャの料理は-とっても
    おいしいからね。きっと、繁盛(はんじょう)するよ」
ターニャ「その時は、シオンも一緒に居てくれる?」
シオン「ああ。当たり前だよ。絶対、一緒だ」
 とのシオンの真剣な言葉に、ターニャは悲しげに
笑うのだった。
ターニャ「でも、無理だよ。無理なんだよ。
     私の人生は詰まってしまってるの。
     一生、借金を返し続けるだけの人生。
     あと、数年も()つか分からない。
     呪い士のお婆さんも、私に注意するように
     良く言うんだ。もしかしたら、死期が近い
     のかもね」
 すると、シオンはターニャを強く抱きしめた。
シオン「そんな事、冗談でも言わないでくれ。
    頼むから。死ぬなら、歳をとって、
    すごい-お婆さんになってから、俺と
    一緒に死んでくれ」
ターニャ「・・・・・・うん。それは-きっと、天国みたいに
     幸せなんだろうね」
 とのターニャの言葉に、シオンはハッとした。
 そして、嫌な予感がした。
 ターニャに死の運命が迫っている気がした。
 急がねば-ならない。急ぎ、現状を変えねばならない。
 そう、悟ったのだった。
シオン「ターニャ。俺は騎士になる。今、戦争が起きて
    いる。(うわさ)では《剣の院》が《短期養成-課程》の
    人材を募集しているらしい。それで、もし、俺が
    騎士になって、戦争で活躍して報償をもらえれば
    きっと、上手くいく。
    さっき言った夢だって叶うんだ」
 とのシオンの説明に、ターニャは不安そうにした。
ターニャ「駄目だよ。戦争なんて、危険すぎるよ。
     いくらシオンが強くても、相手は魔族
     なんだよ。騎士様だって大勢、死んでる
     って話じゃない。隣国のシュトネイだって
     国土の東をオークの軍勢に奪われたって
     聞いたよ。駄目だよ、絶対に駄目だよ」
 しかし、シオンは首を横に振った。
シオン「大丈夫。絶対に、帰ってくるから。無事に
    帰ってくる。その時、プロポーズをするよ。
    そしたら、結婚して、二人で酒場を経営し
    よう」
 と、微笑(ほほえ)み言うのだった。
ターニャ「そんな・・・・・・私のためにシオンを危ない目に
     あわせられない。シオン、お願いだから、
     止めて。私は薄汚(うすぎたな)娼婦(しょうふ)なんだよ?
     そんな女のために、命を()けちゃ駄目だよ」
 すると、シオンはターニャの(ほほ)に触れた。
シオン「そんな女に()れちゃったんだ。仕方ないだろ?
    それに、ターニャは薄汚くないよ。
    とっても、綺麗だ」
 と、微笑(ほほえ)み答えるのだった。
 それに対し、ターニャは喜びと悲しみの()(まじ)じった-
困惑(こんわく)した表情を浮かべた。
ターニャ「でも・・・・・・」
シオン「大丈夫。騎士になるにせよ、もう少し、色々と
    情報を集めてからにするよ。
    もしかしたら、場合によっては騎士にならずに、
    ここに(とど)まるかも知れない。この街にまでゴブリンが
    攻めてくるようなら、俺は-ここでターニャ達を守らな
    きゃいけないからさ。
    でも、いずれにせよ-俺のターニャに対する気持ちは
    変わらないから。
    それを忘れないでくれ」
ターニャ「うん」
 と、ターニャは不安げに微笑(ほほえ)み、答えるのだった。


そして、翌日、シオンは久方(ひさかた)ぶりに家に戻るのだった。
 そこでは兄のゼオスが待っていた。
ゼオス「来たか、シオン」
 そう、(するど)い目つきで、ゼオスは言ってくるのだった。

 ・・・・・・・・・・

+注意+
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