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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第44話  家出

 第44話  家出

 シオンは気づけば薄暗い部屋に居た。
シオン「ここは・・・・・・ッ」
 体中が-ひどく痛んだ。
 顔を触るとパンパンに()れており、ズキズキと-針を刺した
ような痛みが響いた。
シオン「そうか・・・・・・俺は負けて・・・・・・」
 シオンの(ほお)を涙が(つた)った。
シオン「痛い・・・・・・痛いな・・・・・・」
 と、シオンは涙をこらえながら(つぶや)くのだった。
 すると、薄幕(うすまく)が引かれ、赤毛の魅惑的(みわくてき)な女性が
入って来た。
女性「あら、目、覚めたんだ。良かったねぇ」
 と、女性は朗らかな笑顔を見せた。
 女性からは甘ったるい香りがした。
シオン「あ、あの・・・・・・ここは?」
女性「私達の家さ。あんた、浜辺(はまべ)で倒れてたんだよ。
   ちょっと、放っておけなくてねぇ」
 と言って、フフッと笑うのだった。
シオン「あ、ありがとう-ございますッ・・・・・・ッ」
 シオンは口の中が-ひどく痛むのを感じた。
女性「あぁ、口の中もひどく切ってたからね。
   まぁ、じきに治るさ」
シオン「俺・・・・・・帰らないと」
女性「そうかい。好きにすると良いさ。出口は-ここを
   出て右だよ」
 と、指で示した。
シオン「どうも・・・・・・お金、後で払います」
女性「いいんだよ。好きでやった事だからさ」
シオン「そう・・・・・・ですか」
 そして、シオンはフラフラと歩き出した。
 女性は心配そうにシオンの後を追った。
 それから、シオンは建物の外に出ようとした。
 外は(かす)かに明るんでいた。
 しかし、シオンは-そこで立ち止まった。
女性「どうしたんだい?」
シオン「(まぶ)しすぎて・・・・・・。今の俺には、これ以上、
    進めません」
 とシオンは涙をこぼしながら言うのだった。
女性「そうかい。事情は分からないけど、良かったら
   ここに居るといいよ。あの部屋は()いてるから
   好きに使うと良い」
シオン「すいません・・・・・・」
女性「いいんだよ。少し、横になった方が良いんじゃ
   ないのかい?」
シオン「はい・・・・・・」
 そして、シオンは部屋に戻るのだった。
女性「じゃあ、私は寝るから、何かあったら、左の
   奥にある部屋に来てくれれば良いよ」
シオン「はい・・・・・・。あ、あの。お名前は?」
女性「私かい?私はターニャ。あんたの名前は?」
シオン「シオンです」
ターニャ「そうかい、じゃあ、シオン。お休みなさい」
 と言って、ターニャは-あくびをして出て行った。

 ・・・・・・・・・・
 シオンが目を覚ました時、既に日が(かげ)り出していた。
 腹の()が鳴り、シオンは-ため息を()いた。
シオン「腹、減ったなぁ・・・・・・」
 と、シオンは(つぶや)いた。
 そして、言われた通り、左手の奥の部屋へと
歩いて行った。
 そこも薄幕でしか仕切られてなかった。
シオン「あの・・・・・・ターニャさん?」
 と、シオンは幕の外から声を()けた。
 すると、ターニャの寝起き声と思われる(なま)めかしい吐息(といき)
聞こえた。
ターニャ「ん?誰だい?」
シオン「シオンです」
ターニャ「あぁ、どうしたんだい?入っておいで」
シオン「は、はい」
 と、答え、シオンは-ためらいがちに薄幕を引いた。
 そこには、半裸に近いターニャの姿が-あった。
シオン「あの・・・・・・その・・・・・・」
ターニャ「ん?どうしたんだい?あ、もしかして、
     発情しちゃったとか?」
シオン「い、いえ、そうじゃなくて、その、お(なか)が減って
    しまって・・・・・・」
 すると、シオンの腹から音が響いた。
 それを聞き、ターニャは噴き出した。
ターニャ「あぁ、はいはい。ご飯ね。待ってて。作らせるから」
 そして、ターニャは-あくびをして歩いて行ってしまった。
シオン「はぁ・・・・・・見ず知らずの人に、こんな迷惑をかけて
    しまって良いんだろうか」
 と、シオンは一人、(つぶや)くのだった。

 ・・・・・・・・・・
 それからシオンは口の中が染みるにも(かま)わず、
ご飯をがっつくように食べた。
シオン「このスパゲティ、すごく-おいしいですね」
ターニャ「そうかい、そうかい。たまに食べれば-おいしい
     かも知れないね。娼婦(しょうふ)と同じでさ」
 と言って自嘲気味(じちょうぎみ)に笑うのだった。
シオン「娼婦(しょうふ)?」
ターニャ「気づいてないのかい?ここは娼館(しょうかん)だよ」
シオン「え?じゃあ、ターニャさんも?」
ターニャ「そうさ。この小さな娼館を任されてるんだよ」
シオン「はぁ・・・・・・そうだったんですか」
 と、シオンは興味津々(きょうみしんしん)で言うのだった。
ターニャ「そうさ。シオンは娼婦を抱いた事は?」
シオン「いや、成人して、まだ、一ヶ月も()ってない
    んで、そういうのは・・・・・・」
ターニャ「成人してるなら問題ないさ。私で良ければ
     手ほどき-しようか?」
シオン「え・・・・・・良いんですか?」
ターニャ「そりゃあね、これも(えん)だし。
     それに、顔の()れが少しひいてきたけど、
     あんた、結構、可愛(かわい)い顔してるじゃない
     かい」
 そう言って、ターニャはシオンの(ほほ)(あで)やかに()でた。
 その-くすぐったい感触に、シオンは心をたぎらせた。
シオン「お、お願いします」
 と、シオンは素直に言うのだった。
ターニャ「うんうん。素直で良いね」
 と、ターニャは嬉しそうに言った。
 そして、ターニャとシオンの体が触れようとした時、
女の声が薄幕(うすまく)-()しから()けられた。
女「ターニャ。お楽しみの所、悪いけど。店、開けちゃって
  いいの?」
ターニャ「ああ、そうだったね。開けちゃって。今、行くから」
女「了解」
 そして、女の足音が遠ざかっていった。
ターニャ「そういうワケで。ごめんね、シオン。
     後で行くから、待っててよ」
シオン「は、はい・・・・・・」
 と、シオンは落胆(らくたん)を隠せず、答えるのだった。
 そんなシオンを見て、ターニャはカラカラと笑うのだった。
ターニャ「じゃあね」
 そう言って、ターニャはシオンの唇に口づけし、
手を振って、去って行った。
 シオンは唇に残った(やわ)らかい感覚に、しばらくドギマギして
いるのだった。

 ・・・・・・・・・・
 娼館(しょうかん)に、女の(あえ)(ごえ)が響いた。
 それは薄幕越(うすまくご)しに-はっきりとシオンには聞こえていた。
 そして、シオンは、この後に(ひか)えているであるターニャとの
情事(じょうじ)を思い浮かべ、ベッドで-もだえるのだった。
 しかし、ふと冷静になると、家族の事が心配になった。
シオン(父さん・・・・・・姉さん・・・・・・心配してるかな?
    まぁ、前に、一ヶ月くらい兄さんと家出した
    事は-あったけど。その時も、ゲンコツで()んだ
    からな)
 と、思うのだった。
シオン(兄さん・・・・・・あんな事を考えていたなんて。
    どうすれば-いいんだろう。
    兄さんと次に会う時、どんな顔をして会えば
    いいんだろうか)
 と思い、ため息を()いた。
シオン「最悪だな、俺。こうやって逃げて、どうなるって
    いうんだ。やっぱり、帰ろう・・・・・・」
 そう呟き、シオンは立ち上がった。
シオン「で、でも・・・・・・ターニャさんとの約束があるしな。
    ま、まぁ、明日、帰る事にしよう」
 と一人、(うなず)くのだった。
 それから、シオンは傷の疲れか、眠ってしまうのだった。

 ・・・・・・・・・・

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