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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第41話  謁見

 第41話  謁見(えっけん)

 孤島にて、ヴィル達は雨の中、食料を集めていた。
ヴィル「トゥセ。きちんと鼻に布を当てろ。きょうは湿(しめ)()
    強過(つよす)ぎる。風邪(かぜ)をひくぞ」
 と、ダーク・エルフのトゥセに言った。
トゥセ「えぇ?逆じゃないんすか?」
ヴィル「嘘じゃないから、素直に言う事を聞いてくれ。
    今、お前に風邪(かぜ)をひかれても困る」
トゥセ「了解」
 と、答え、トゥセは鼻を布で隠した。
 すると、アーゼと、ドワーフのギートが(いのしし)を運んできた。
ギート「ヴィル殿(どの)ーーーッ!大物(おおもの)が捕れましたぞいッ!」
ヴィル「お、こりゃ良い。よし、今日は豪勢になりそうだな」
 すると、小人族のモロンと、ゴブリンのレククが、
いっぱいの(かえる)を捕まえてきた。
モロン「団長ッ!(かえる)(かえる)、捕まえたよッ!」
ヴィル「お、これは-いっぱいだな。二人とも、頑張(がんば)ったな」
 と言って、ヴィルは二人の頭を()でた。
 それに、二人は顔を見合(みあ)わせ、嬉しそうにした。
トゥセ「マジかよ・・・・・・(かえる)とか食えんのかよ?」
ヴィル「雨季(うき)特有(とくゆう)の食材だ。案外、うまいぞ」
トゥセ「えぇ、マジッすか。嘘だぁ」
 とのトゥセの言葉に、モロンとレククは-しょんぼりした。
 すると、茶猫のケシャがトゥセの腹に体当たりしてきた。
トゥセ「ゴヘッ。な、何しやがる、テメー・・・・・・」
ケシャ『この馬鹿ッ!なに、モロンとレククちゃんを
悲しませる事を、言ってるんですかッ!』
トゥセ「んな事、言われても、俺は自分に正直に生きている
    だけなんだよ」
 すると、カシムが-木の実を入れた(かご)(かか)え、
歩いて来た。
カシム「トゥセさん、案外、おいしいモノですよ、(かえる)も」
トゥセ「えー、嘘だぁ。おいしかったら、俺、あの小屋の
    周りを逆立ちで100周してもいいぜ。
女神アトラに誓って」
アーゼ「こら、あんまし、(くだ)らない事で女神様に誓いを
    たてるんじゃない」
トゥセ「へ、大丈夫さ。俺は誓いを守る男だからな」
 と言い、(さわ)やかに笑うのだった。

 ・・・・・・・・・・
 二時間後、トゥセ達は小屋で昼食を取っていた。
トゥセ「う、うめー。リコリスさん、この肉、なんの肉ですか?
    (にわとり)か何かっすか?」
 と、ロイスの妻のリコリスに(たず)ねるのだった。
リコリス「それは、(かえる)のもも肉ね。香草と一緒に焼いたのよ。
     モロン君とレククちゃんにも手伝ってもらったの-
よね」
 と言うと、モロンとレククは、ニコニコと(うなず)くのだった。
 一方で、トゥセは-あんぐりと口を開けた。
トゥセ「(かえる)(かえる)って、ゲコゲコ鳴く(かえる)っすか?」
リコリス「ええ、そうよ。雨の日に出て来る子達よ」
 との言葉に、トゥセは体をゆらゆらと揺らすのだった。
アーゼ「おい、誓い、どうするんだ、この馬鹿」
 との言葉に、トゥセは立ち上がった。
トゥセ「逆立(さかだ)ちで100周して来ますゥッ!」
 と言って、外に飛び出していった。
ロイス「い、いいのかい?放って置いて?」
 と、リコリスの夫のロイスは、心配そうにヴィルに(たず)ねた。
ヴィル「まぁ、いつもの事なので、放っておいてあげて
    ください」
 と、ヴィルも困った(ふう)に答えた。

 ・・・・・・・・・・
 その頃、エストネア皇国の王城にて、シオンは部屋で
緊張した面持ちで、ベッドに腰を()けていた。
エレナ「いよいよね・・・・・・」
 とのエレナの言葉に、シオンは(うなず)いた。
シオン「ああ。しかし、国王陛下との謁見(えっけん)は-どうしても
    緊張するな・・・・・・」
エレナ「堂々と振る舞えば良いのよ。あなたは剣聖なのです
    から」
シオン「でも、気づかないで何か無礼をしてしまうんじゃ
    ないかって、心配なんだよ」
エレナ「大丈夫よ。あなたの力を国王陛下も欲している
    はずよ。だから、多少の無礼があっても、悪意
    が無ければ、お目こぼしになるはずよ」
シオン「だといいんだけど・・・・・・」
 と言って、シオンは-ため息を()いた。
 そんなシオンをエレナは(いと)おしげに抱きしめた。
エレナ「大丈夫、大丈夫よ、シオン。私が付いてるでしょ」
シオン「・・・・・・ああ」
 と、シオンは答えるのだった。
 すると、ノックの音が響き、世話係の声が響いた。
世話係「剣聖シオン様。お時間となりました。どうぞ、
    お()(くだ)さい」
シオン「分かった」
 と、答え、シオンはエレナを連れて、部屋を出るのだった。
 そこには、先程の弱々しい姿は、味塵(みじん)も見れなかった。

 ・・・・・・・・・・
 その頃、ククリ島では、ゴブリンの勇者カル・ヘトは遅めの朝食を
不機嫌そうに()っていた。
 一方で、植物族のリステスは、上機嫌そうに鼻歌を口ずさみ
ながら、マナ(すい)(魔力に満ちた水)を飲んでいた。
カル・ヘト「お前のせいで、今日の予定が台無しだ」
 と、カル・ヘトは肉をほおばりながら、(うら)めしそうに言った。
リステス「あら、途中から腰をたくさん振ってきたのは
     どっちだったかしら?」
 と言い、フフッと笑うのだった。
 それに対し、カル・ヘトは観念したように-ため息を()いた。
カル・ヘト「ともかく、これで満足だろう?
      くれぐれも、俺の部下達に手を出すんじゃ
      ないぞ。人間どもが来たら、いくらでも、
      拉致(らち)して、好きにするが良い」
リステス「ええ。そうさせて-もらいますわ。
     とはいえ、人間ごときが、私を満足させられる
     とは思いませんけど。その点、あなたは立派に
     成長して、嬉しいですわ」
 と、艶然(えんぜん)と言うのだった。
カル・ヘト「・・・・・・戦争が終わるまで、二度と俺の寝床(ねどこ)には
      来るな。いいな」
リステス「あら。なら、終われば、また来てもいいのかしら?」
カル・ヘト「知るか。なるべくなら二度と来るな」
リステス「あら、冷たいのですね。ふふ、素直じゃないとも
     言えますわね」
カル・ヘト「ともかく、分かったから、静かにしていてくれ」
リステス「ええ、では、眠れる樹木(じゅもく)(ごと)くに」
 と言い、微笑(ほほえ)み沈黙するのだった。

 ・・・・・・・・・・
 その頃、シオンは(ひか)えの()で、謁見の時を待っていた。
 呼ばれてから、既に一時間近くシオンは待っていたが、
シオンは-それが当たり前な事を知っていた。
 すると、王立-騎士達が入って来て、シオンを(むか)えた。
騎士「剣聖シオン殿。国王陛下が-お待ちです。
   どうぞ、こちらへ」
シオン「はい。・・・・・・じゃあ、エレナ、行ってくる」
 と言うシオンに対し、エレナは無言で(うなず)いた。
 そして、シオンは騎士達に連れられ、大扉を抜けて、
玉座(ぎょくざ)()へと入った。
 そこは黒曜石(こくようせき)大理石(だいりせき)で出来た
広い空間であり、黒と白のコントラストが、来る者を
萎縮(いしゅく)させた。
 見渡(みわた)せば、周りには王を守る精鋭の騎士達が、
(そろ)って居たが、シオンは緊張で彼等(かれら)に気を払う
余裕が無かった。
 そして、シオンは赤い絨毯を進み、段差の前で
(ひざまず)いた。
シオン「お久しぶりに御座(ござ)います。エシュタス国王陛下。
    偉大なる国王陛下の-お目にかかる事が出来、至極(しごく)
    恐悦(きょうえつ)御座(ござ)います」
 と、(かす)かに声を震わせながら言うのだった。
 すると、それとは対照的に、威風堂々(いふうどうどう)とした声が、
上から()けられた。
エシュタス「良く参ったな、若き剣聖よ。そうかしこまらず
      とも良い。(おもて)をあげよ」
 その言葉に、従い、シオンは「ハッ」と答え、(ひざまず)いたまま
顔を上げた。
 そこには、年老いては居るものの、(いま)だ王の貫禄(かんろく)
失っていない姿が、玉座にあった。
 その左右を二人の男女の騎士が守護しており、彼等(かれら)
シオンに対し、突き刺すような目を向けていた。
 とはいえ、シオンは少し余裕を取り戻し、その殺気とも
言える視線を受け流した。
 そんな事は(つゆ)()らず、エシュタス(おう)が口を開いた。
エシュタス「剣聖シオンよ。そなたを呼んだのは他でもない、
      ククリ島への遠征の事でだ。しかし、そなたを
      正式に第4混成旅団の将軍として、任命するのは
      後日となる。今日は単に、そなたと世間話をしたいと
      思っての。なので、もっと、体を楽にせよ」
シオン「ありがたき幸せ」
 と答え、シオンは立ち上がった。
エシュタス「さて、とはいえ、ワシも時間が余っておるワケ
      では無い。そこで、単刀直入に聞きたい。
      ここには、大勢の王立-騎士の精鋭達が揃って
      おる。その全てが、至高なる剣の使い手だ」
 とのエシュタスの言葉を聞き、シオンは周囲の騎士を
目で追った。
エシュタス「さて、剣聖シオンよ。一つ問いたい。
      ここに居る騎士達と比べ、そなたの剣技の腕は
      いか程か。この10年で-そなたの剣の腕は増した
      のか、どうか、答えて欲しい」
 とのエシュタスの優しい口調に対し、シオンは体を
(こわ)ばらせた。
シオン(まずい・・・・・・。もし、ここで俺が彼等(かれら)より強いと
    答えれば、王立-騎士団との間に、(とげ)()さる。
    かといって、彼等(かれら)に劣ると答えれば、旅団長として
    ふさわしくない事となってしまう。
    どうすれば良い?どう答えれば(かど)が立たずに()む?
    そもそも、エシュタス(おう)は、何を求め、この問いを
    俺に投げかけた?クッ、どうすれば・・・・・・)
 と、シオンは(あせ)りながら思考を巡らせた。
 すると、エルフの宰相(さいしょう)が言葉を()けてきた。
宰相「どうなされた、剣聖シオン・イリヒム殿?
   国王陛下が-お尋ねになっておられるのだぞ。
   すみやかに答えよ」
 との冷酷な言葉に、シオンの(あせ)りは(つの)った。
シオン「私は・・・・・・」
 と、シオンは口ごもりながら、答えようとするのだった。

 ・・・・・・・・・・

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