挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

54/66

第40話  軍需動員

 第40話  軍需(ぐんじゅ)動員

 ククリ島では、戦の準備が着々と進んでいた。
カル・ヘト「軍船の準備は?」
 と、勇者カル・ヘトは、二刀を背にする戦士長の一人に(たず)ねた。
戦士長「勇者カル・ヘト。この雨季で木が弱っている。
    改修には時間が-かかる」
カル・ヘト「そうか。船は(いくさ)(かなめ)だ。焦らず、
      着実に進めろ」
戦士長「了解した。では、私はトル・レン湾に行って直接、
    指揮を()る。後で来てくれ」
カル・ヘト「ああ」
戦士長「じゃあ」
 そして、その戦士長は去って行こうとした。
 すると、カル・ヘトは「待て」と呼び止めた。
戦士長「どうした?勇者カル・ヘト。何か他に-あるのか?」
カル・ヘト「戦士長グル・フ。あまり(りき)みすぎるな。
      大戦での事は、仕方なかったのだ。
      もっとも、あの時、島の防衛にあたっており、
      その場に居なかった俺が言えた話では無い-
      がな・・・・・・」
 とのカル・ヘトの気遣(きづか)いに、戦士長グル・フは悲しげに
微笑(ほほえ)んだ。
グル・フ「分かって居る。だが、私は-それでも自分を
     許せんのだ。どうして、あの時、トフク(おきな)
     まだ赤児のレク・ファト様の(そば)に居ようとしな
     かったのか・・・・・・」
カル・ヘト「しかし、お前が人間どもの注意を引きつけて-
      おかねば、どのみち姫様達は逃げ切れなかった
      のでは?お前は、最善の判断をした」
グル・フ「だとしても・・・・・・」
 そして、グル・フは黙り込んだ。
カル・ヘト「グル・フ。あまり思い()めるな。心が(こわ)ばれば、
      お前の剣も(にぶ)るぞ」
グル・フ「ああ。だが、今度こそ私は守らねば-ならない。
     この島と皆を必ず」
 と、グル・フは決意を新たにして言うのだった。

 ・・・・・・・・・・
 一方、エストネア皇国では、剣聖シオンは、王城へと
招かれてようとしていた。
 細身の男ナックは、その荘厳たる城塞を見上げ、嘆息(たんそく)
()らした。
ナック「はぁ・・・・・・これ作るのに、何年かかったんやろうなぁ」
 それに対し、大男レギンは答えた。
レギン「50年ほどだ-そうだ。先代の国王エーレント陛下による
    遷都(せんと)(さい)し着工が始まったからな」
 すると、女-魔剣士のニアが口を開いた。
ニア「じゃあ、その間、先代の王様は何処(どこ)に住んでたんだろうね」
レギン「ルーテス家の城だ。結局、先代国王陛下は、生きて、
    王城に入る事は叶わなかったそうだ。しかし、その
    ご遺体は、王城内の地下墓地に、厳粛(げんしゅく)
    埋葬(まいそう)されているんだ。元々、皇族(おうぞく)
    地下墓地は、この地にあり、その上に、新たに城を
    築いた形なんだ」
 すると、エルフの王立-騎士が駆けてきた
騎士「ご案内いたします。どうぞ」
 との騎士の言葉に、シオン達は王城内へと入っていくのだった。

 ・・・・・・・・・・
 王城の中は、どこもかしこもエルフだらけだった。
 そして、シオン達は客間に案内された。
 そこでは、人間の聖騎士達が座っていた。
 シオン達を案内した王立-騎士は恭しく頭を下げ、
去って行った。それは-まるで、聖騎士には全く、
関わりたくない-という風でもあった。
 一方、聖騎士達は、立ち上がり、シオンに対し、敬礼した。
聖騎士「剣聖シオン・イリヒム殿。よくぞ、はるばる王都まで
    お越し下さいました。私は王都防衛を(つかさど)る、
聖騎士団・第10連隊長のヤイスと申します」
シオン「これはヤイス殿、貴公の武勇伝は(うかが)っております。
    獣魔-大戦の()りには、王都防衛に、貢献されたと」
 とのシオンの言葉に、聖騎士ヤイスは苦笑した。
ヤイス「その話は、あまり-ここではなさらないで下さい。
    王立-騎士団にとって、その話題は、嬉しくない
    ようなので」
シオン「やはり、聖騎士団と王立-騎士団の(みぞ)は深いのですか?」
ヤイス「どうか、お察し下さい。私の口からは-はっきりとは
    申せません。とはいえ、王都は王立-騎士団の管轄で
    あり、聖騎士団として唯一、王都防衛にあたる、我等(われら)
    第10連隊に対する風当たりは・・・・・・その・・・・・・」
シオン「そうですか・・・・・・」
 と言い、シオンは-ため息を()いた。
ヤイス「ともかく、これより第9連隊が合流し、
第4独立-混成旅団が編成されます」
 すると、シオンの恋人のエレナが口を開いた。
エレナ「その旅団長にシオンが-なるのですね」
 ヤイスは一瞬、エレナの美貌(びぼう)に目を奪われたが、
気を取り直し、答えた。
ヤイス「はい。その通りです。また、この混成旅団には、
    民兵も数多く参加する予定なので、実質的には
    師団規模の人数となるやも知れません」
シオン「それは編成が大変でしょうね」
ヤイス「ええ。雨季のおかげで、遠征の時期が延びたから
    良いモノの、予定通りに遠征が(おこな)われていたら、
    と思うとゾッとしません。それと敬語は-お(ひか)
    下さい。あなたは、これより将軍とならせるの
ですから」
 とのヤイスの言葉に、シオンは(うなず)いた。
シオン「分かった。では、現状を詳しく説明してくれ」
 そして、軍議が始まるのだった。

 ・・・・・・・・・・
 ゴブリンの夜は早い。
 彼等(かれら)は朝日と共に起き、夕日と共に眠る。
 地下で暮らす事の多い彼等(かれら)だからこそ、逆に、それを
忠実に守るのだった。
 そして、それは日の出ぬ雨季でも変わる事は無かった。
 勇者カル・ヘトは、(いくさ)に向けて(たか)ぶる心を抑えながら、
寝床(ねどこ)に入った。
 すると、扉の外から世話人の声が()けられた。
世話人「勇者カル・ヘト様。植物族のリステス様が-お見え
    です。いかが(いた)しますか?」
 と、世話人は声を震わせながら、扉越(とびらご)しに言って来た。
 それに対し、カル・ヘトは舌打ちをし、答えた。
カル・ヘト「通せ・・・・・・」
 そして、すぐに、植物族のリステスが寝室に入ってきた。
カル・ヘト「何の用だ、リステス」
リステス「あらあら、わざわざ来てあげたのですから、
     もう少し、喜んで欲しいモノですわ。
     これから、共に戦うのですから、色々と深めて
     おいた方が良いと思いますわ」
 とのリステスの言葉に、カル・ヘトは顔をしかめた。
カル・ヘト「この淫魔(いんま)がッ」
リステス「その淫魔(いんま)(まじ)わり、貴方(あなた)は力を得た。
     その4本の腕、さらに魔法剣の技を
     誰が与えたか、覚えているかしら?」
 と言って、リステスは薄く笑った。
カル・ヘト「もはや、お前から得るモノは無い」
リステス「それは残念ですわ。なら、他の殿方(とのがた)で、
     (なぐさ)めてもらう事にしますわ」
 と言って、流し目を送り、去って行こうとした。
カル・ヘト「待て・・・・・・。それだけは止めろ。
      お前と(まじ)わって、正気を失う者を
      これ以上、増やすワケには-いかん」
リステス「ならば、貴方(あなた)が代わりを(つと)めて
     下さいますの?」
 とのリステスの言葉に、カル・ヘトは嫌そうに(うなず)いた。
 そんなカル・ヘトに(かま)わず、リステスは、カル・ヘトの
体の上に乗り、彼の体を楽しげに()でだした。
 淫魔(いんま)の力を持つリステスにかかれば、それだけで男を
昇天させる事はたやすかったが、流石(さすが)に勇者カル・ヘト
だけはあり、顔をしかめるだけで耐えていた。
リステス「あらあら。我慢強(がまんづよ)いですわね。なら・・・・・・」
 そして、リステスは本番を始め出すのだった。
 後には、リステスの甘い声と、カル・ヘトの苦しげな声が
響くのだった。

 ・・・・・・・・・・
 その頃、軍議に没入していたシオンの(もと)に、エルフの世話係
がやって来て、口を開いた。
世話係「失礼いたします。剣聖シオン様。
    偉大なるエシュタス国王陛下が明日、シオン様と
会われる事を、お望みです。明日の午後2時に-
お迎えにあがりますので、それまでに御支度(おしたく)
お済ませ下さい」
 との言葉に、場は-ざわついた。
シオン「国王陛下が私と・・・・・・?」
世話係「はい。そのように(うかが)っております」
シオン「分かった。服装の指定などは-あるのか?」
世話係「いえ。その-お姿で、結構で御座(ござ)います。
    これは公式の謁見(えっけん)では御座(ござ)いません(ゆえ)
シオン「了解した。ありがとう」
世話係「いえ・・・・・・。では、失礼いたします。何か-ご不明な
    点が御座(ござ)いましたら、呼び鈴を鳴らして(くだ)さい」
 そう言い、世話係は(うやうや)しく頭を下げ、去って行った。
シオン「これは大変な事に-なったぞ・・・・・・」
 とのシオンの(つぶや)きは、夜の王城に消えていくのだった。

 ・・・・・・・・・・

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ