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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第38話  植物族

 第38話  植物族

 聖騎士ローは老将軍ダンファンの居室に招かれていた。
 そして、二人は椅子(いす)に腰を掛けていた。
ダンファン「実は内密の話がある」
ロー「はい」
ダンファン「決して他言せぬよう誓ってくれ」
 とのダンファンの重々しい口調に、ローは背を正した。
ロー「ええ。騎士の誇りに誓って」
ダンファン「これは、ワシの友人であるカルファス(こう)からの
      伝書だ」
 とダンファンは、一枚の巻かれた書状を見せた。
ロー「ほう、あの武勇でも名高く、しかも、エルフの中でも
   相当に美形と評されるカルファス(こう)ですか」
ダンファン「そうだ。彼は王立騎士団ともパイプを持っていて、
      色々と情報を以前から送ってくれていた。
      そして、現在、王立騎士団に大きな動きが生まれたらしい」
ロー「と、いいますと?やはり、聖騎士団の計画に-いちゃもんを
   付けたくなったとかですか?」
ダンファン「それだけなら、どれ程、良かったか・・・・・・。
      むしろ、我々の立案した計画は-ほぼ全面的に
      採用される見通しのようだ。
      危惧(きぐ)されていた橋頭堡(きょうとうほ)
      管轄(かんかつ)も、我等(われら)-聖騎士団
      が実質的に2つ、王立騎士団が1つで問題ないようだ。
      さらに、剣聖シオンを中心とする騎士団を
      暫定的(ざんていてき)に設立する事にもな」
ロー「それは良かった・・・・・・じゃ()まないのですね」
ダンファン「その通りだ。どうも、王立-騎士団としては、
      どうしても、主導権を握りたいらしい。
      しかし、王立-騎士団の人員では橋頭堡を2つ
      管轄するのは不可能なのは、彼等も重重(じゅうじゅう)
      承知している。
      そこで、とんでもない奇策を打ち立ててきおった」
 と言い、ダンファンは-ため息を()いた。
ロー「奇策・・・・・・と言いますと?」
ダンファン「第1皇子エギルフィア殿下が、今回の出兵に参加
      なされる事となったようなのだ」
ロー「馬鹿なッ・・・・・・。第1王位継承者が、今回のような危険
   な戦いに?」
ダンファン「ワシも-そう思うよ。しかし、(なか)ば決定された事
      らしい。とはいえ、もし-それが現実と()したなら、
      今回の遠征軍はエギルフィア皇子殿下が率いられる
      王立-騎士団が指揮権を得るだろう」
ロー「それは・・・・・・当然、その通りでしょうね。
   しかし、王立-騎士団は、そうまでして主導権を
   握りたいと言うのか・・・・・・」
 とのローの言葉に、ダンファンは深いため息を()いた。
ダンファン「しかし、そうなると困るのは我等(われら)、聖騎士団だ。
      今回の(いくさ)、第1皇子殿下に万が一が-あっては
      ならない。そして、王立-騎士団は当然、皇子殿下
(そば)を離れられないワケだ。
という事は、最前線には、我等(われら)
      出向く事になるのだろうな」
ロー「・・・・・・信じられませんね。どれだけ腐っているのか、
   王立-騎士団は。そんなに前線で戦いたくないのなら、
   本国で遊んでいてもらった方が、よっぽどマシですよ。
   正直、馬鹿にしている」
ダンファン「そう怒るな。これから共に戦うのだからな」
ロー「しかし・・・・・・」
ダンファン「それに、今回の話は、どうも第1皇子殿下からの
      ご要望らしい」
ロー「・・・・・・なる程。クオツェルナス殿下への嫉妬(しっと)ですかね」
 とのローの言葉に、ダンファンは苦笑した。
ダンファン「そうはっきりとモノを言うな、ローよ。
      確かに、エギルフィア第1皇子殿下は、
      王位の第1継承者であるに関わらず、
      その人気は低く、むしろ、王位継承権
      を捨てたクオツェルナス第3皇子殿下
      が次代の王となられる事を、多くの民
      は望んでいるのも事実だ」
ロー「それ故、勇敢(ゆうかん)に戦って、国民の支持を得ようと考えて
   おられるのでしょうかね?第1皇子殿下も」
ダンファン「あまり、言うな。皇族批判と-とられかねん」
ロー「これは私とした事が。つい、頭に血が(のぼ)って」
ダンファン「しかし、奇怪なのは、ルーテス家が-それを
      止めぬ事だ。」
ロー「カレギエ公爵(こうしゃく)・ルーテス家ですか・・・・・・」
ダンファン「そうだ。今、この国で最も権力を持つ家であり、
      王妃(おうひ)陛下(へいか)と第1皇子殿下も、
      その系譜(けいふ)(つら)なる。
      もし、今回の戦で万一が起きれば、次代の王を
      ルーテス家は失う事となる。
      何故、そのような危険をみすみす(おか)す?
      何故・・・・・・」
 との言葉に、二人は黙り込んだ。
ロー「まぁ、色々と宮廷も-きなくさい事になってるんじゃ
   ないですかね。地方貴族である私には関係ないです
   けど」
ダンファン「ところで、領地には戻らなくて良いのか?」
ロー「いやぁ、叔父(おじ)頑張(がんば)ってますから」
ダンファン「そうか。しかし、気を付けろよ、
      ロー・コヨータ、エスネル男爵(だんしゃく)
      小さいとは言え、お前も王国の領地を
      任されておるのだからな」
ロー「はい・・・・・・心得(こころえ)ては居るんですがね」
 との-か細い声に、ダンファンは笑いを()らした。
ダンファン「まぁ、しかし、今回の戦、獣魔-大戦と比べれば
      マシかも知れんな。あれは敵からの奇襲であったが、
      今度は-こちらからの奇襲だ。
      奴等(やつら)には、こちらが戦争の準備をしている情報を
      手に入れる手段が無いからな」
ロー「だと-いいんですがね・・・・・・」
 と、ローは歯切れ悪く答えるのだった。

 ・・・・・・・・・・
 その頃、ククリ島の中央に位置するガ・ルク大要塞(だいようさい)では、
ゴブリンの長老達による(けん)(ろう)-会議が開かれていた。
 この会議は、三月(みつき)に一度、各部族の長老達が集まり、
ククリ島-全体に関する事柄を決めるモノであった。
 この会議は長引くのが常であり、予定としては一週間で
終わるハズだったが、既に一ヶ月が過ぎようとしていた。
 各-長老達は、『このままでは次の賢老-会議には、部族の集落に
戻る事なく参加になるやもしれない』と-ぼやいていた。
 そんな中、ゴブリンの世話人が急ぎ入って来て、大長老に
耳うちをした。
 すると、大長老の細い目が見開かれた。
大長老「急ぎ、お連れするように」
 と、大長老は世話人に(めい)じた。
 それを各-長老達は、注視した。
大長老「植物族の(おさ)-リステス様と、その護衛方(ごえいがた)が-
    お見えになられた。各々(おのおの)、無礼が無いように」
 との言葉に、長老達は身を固くしつつも、了解するのだった。

 そして、しばらくして、ゴブリンの世話人は、その者達を
案内してきた。
 それは植物であり、かつ、植物でない存在であった。
 その中央に居る一体は、人型で有り、比較的、人間に近く
見えたが、その全身は緑色であり、さらに、頭には巨大な花
が付いていた。また、その姿は女性に似ており、妖艶(ようえん)な気が
全身から-にじみ出ていた。
 もう一体は、一つ目を有した大きな花であり、つたの様な
モノで歩いていた。さらに、体のあちこちに小さな花々が-
付いており、その花々は口を持っていた。
 他の者達は、人型と呼べるかも知れなかったが、目や口が
無く、ツタで人形を作ったような格好をしていた。
 それを大長老達は(うやうや)しく出迎えた。
大長老「植物族の(おさ)、リステス殿、そして、護衛の方々、
    ようこそ-おいで(くだ)さいました。
    我等(われら)一同、心より、歓迎-申し上げる次第(しだい)
ございます。」
 との大長老の言葉に、女性型をして植物族リステスは
艶然(えんぜん)とした微笑(ほほえ)みをかけた。
 それを感じ、長老達は、一層、体を(こわ)ばらせた。
リステス「そう、緊張なさらないで。とはいえ、これから
     話す内容に対しては、真剣に聞いて欲しいモノ
     だけど」
 と言って、フフッ、と笑うのだった。
 それに対し、一つ目の花は『真剣、真剣』『聞け、聞け』
と、いくつもの口で言うのだった。
リステス「ラフア。少し、静かにしてなさい」
 と、リステスは一つ目の花をたしなめるのだった。
 それに対し、ラフアと呼ばれた一つ目の花は、体中の全ての
花々をうなだれて、沈黙するのだった。
リステス「良い子ね。さて、ゴブリンの長老(ちょうろう)様方(さまがた)
     実は大変な知らせがあり、飛んで参りましたの。
     これはククリ島-全域に関わる・・・・・・いえ、
     ククリ島の存亡(そんぼう)に関わる事態なのですわ」
 と、薄く笑みを浮かべながら言うのだった。
 しかし、リステスの目は少しも笑ってはいなかった。

 ・・・・・・・・・・

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