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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第37話  ゲリラ

 第37話  ゲリラ

 孤島にて、ヴィル達は翌日、再びロイスの小屋を訪れた。
 そして、ヴィルは自分達の経緯(いきさつ)を全て話した。
 それを聞き、ロイスは深く(うなず)いていた。
ロイス「なる程。すなわち、君達も反逆者だったという事か」
ヴィル「はい。俺達はゴブリンの少女レククを必ず、ククリ島
    へと送り届けねば-なりません」
ロイス「そうか・・・・・・そして、はるばる-ここまでやって来たのか。
    しかし、何と言う事だ。何と言う宿命か。
    この出会いこそ、女神アトラの賜物(たまもの)か・・・・・・」
 と言い、涙を(ぬぐ)った。
ロイス「すまない。歳をとると涙もろくなってね。
    しかし、君達は本当に(すご)いな。
    純粋に尊敬するよ。よく、ここまで来た。
    本当に・・・・・・。
    私には分かるよ。いつか君達の(おこな)いは報われる日が
    来ると。そう、感じるよ。
    君達は私が知る限り、誰よりも偉大だ。
    誇って良い。
    よく、よく、ここまで頑張(がんば)ったな」
 と言って、ロイスはヴィルの肩に手を当てた。
ヴィル「ありがとうございます」
 と、ヴィルも顔をほころばせた。
ロイス「良ければ、そのレククちゃんに会わせてもらえないか?
    いや、嫌ならいいんだが」
ヴィル「いえ。じゃあ、すぐに連れてきます」
ロイス「あ、別に-そんなに焦る事は無いさ。
    この雨季は長い。それに、この雨の中、海辺まで
    行って戻って来るのは大変だろう」
ヴィル「それもそうですね。では、明日、必ず連れてきます」
ロイス「ああ、楽しみにしているよ」
 と、ロイスは微笑(ほほえ)み言うのだった。

 ・・・・・・・・・・
 一方で聖騎士にして《狂戦士》の異名を持つ、
ロー・コヨータは、屋内の修練場で素振りをしていた。
 すると、老将軍ダンファンが入って来た。
ダンファン「せいが出るな。ローよ」
ロー「ええ。これから戦ですからね。頭は毎日の軍議で使って
   いますが、体も(にぶ)らないようにしないと」
ダンファン「違いない」
 と言って、ダンファンは笑った。
 そして、ダンファンは背にそえた(えん)(げつ)(とう)を抜いた。
ダンファン「手合わせ願えるか?狂戦士ロー」
ロー「ええ。七英雄にして老将軍ダンファン殿の相手として
   はたして-ふさわしいか分かりませんが、是非」
 とのローの言葉に、根っからの武人であるダンファンは
(くちびる)(はし)を上げた。
ダンファン「では、いざ、尋常に・・・・・・」
 とのダンファンの言葉で、二人の間に緊張が走った。
 そして、ダンファンが大きく踏み込むと同時に、試合が
始まった。

 それから-しばらくの時間が経ち、ローは床に仰向(あおむ)けに
寝転んでいた。
ロー「流石(さすが)に-お強い・・・・・・」
 と、ローは息を荒げながら言うのだった。
ダンファン「フゥ・・・・・・まだまだ若い者には負けぬ。
      とはいえ、年かな。関節が-きしむわい」
 とのダンファンの言葉に、ローは苦笑した。
ダンファン「しかし、ローよ。ワシの実力をどう思う?
      お前にしか聞けん。どうか、思うままに答えて
      くれ」
 とのダンファンの言葉にローは考え込んだ。
ロー「そうですね。まず、第一に、これが実戦なら私は
   負けていないでしょう。私は毒を使いますからね。
   1対1の対人戦においては、利点(アドバンテージ)を得て
   いるワケですので」
ダンファン「言ってくれる」
ロー「いや、もちろん、状況にもよりますが、私が
   本気で将軍を倒そうとするなら、持久戦に
   持ち込みますよ。そして、将軍の体力が尽きる
   のを待つ。私は-どちらかと言うと持久型ですので。
とはいえ、その代わり、全力で剣を振るうと
   すぐに疲れてしまうんですけどね」
ダンファン「なる程。それはそれで問題だな」
ロー「まぁ、そうですね。私も若くないですし。
   とはいえ、実際に今回の試合で負けた上に
   へばっている私の言葉は、大した信憑性も
無いでしょう。ですので、これを」
 そう言って、ローはダンファンのマントの切れを
見せた。
ダンファン「いつの間に・・・・・・」
ロー「将軍の大振りを受けた隙にですね。
   特に最上級-剣技の時、将軍には(すき)
   出来ます。これは集団戦においては
   致命傷です」
ダンファン「ふむ・・・・・・そうか、技の切れが落ちたか。
      我ながら寂しいモノだな」
ロー「まぁまぁ。そう落ち込まずに。
   ともかく、今回の戦、獣魔-大戦と同じように戦えば、
   手ひどい目にあうやも知れません」
ダンファン「なる程・・・・・・。つまり、小技で戦えと」
ロー「ええ。そうなります。確かに、将軍の最上級-剣技は
   必殺とも言えます。ですから、私も致命傷を喰らわ
   ないように、必死に避けていたワケです。
   しかし、これが実戦なら、もっと、全速で走って
   遠くへ逃げますし、部下をやって囲む事も出来る。
   そうなると、最上級-剣技が、どれ程、有効か私には
   疑問です」
ダンファン「確かにな・・・・・・ワシは重装備であるから、
      動きがどうしても遅くなる。お前の言う
      事は一理あるだろう。
      獣魔-大戦のおりは、それでも、体に切れが
      あったが、今は、ワシも-さらに老いた」
ロー「あまり、こういう事は言いたくありませんが、
   その老いを自覚なされる事です」
ダンファン「ふぅ・・・・・・ローよ。お前は本当に、痛い所を
      突いてくるな」
ロー「ええ。だから、出世できないのです」
ダンファン「しかし、お前の言葉は的確(てきかく)だ。今回の(いくさ)
      ワシは裏方(うらかた)(てっ)する事にしよう。
      命こそ惜しくは無いが、ワシが死に指揮系統
      が乱れるのは良くない」
ロー「それに、七英雄が倒れたとあっては、騎士団の士気(しき)にも
   関わります。さらに、将軍の剣は、正攻法の戦いにおいては、
   (いま)だ-絶対に近い力を有していると思われます。
   ですので、細々とした戦いは是非、私に任せて、
   主力同士のぶつかり合い、すなわち決戦において、
   存分に力を発揮して(くだ)さい」
ダンファン「それまでは、力を温存しておけと?」
ロー「ええ。ヒトには役割が存在すると思うのです」
ダンファン「なる程・・・・・・。しかし、若い者が死地(しち)に向かい、
      年寄りが安全圏で高見(たかみ)見物(けんぶつ)とはな。
      やるせないモノだよ」
ロー「まぁ、私も-それ程、若くないですし」
ダンファン「それもそうだったな。しかし、いい鍛錬となった。
      少し話したい事もある。部屋に来てくれるか?」
ロー「はい。ですが、もう(ひと)手合(てあ)わせ、いかがですか?」
 との言葉に、ダンファンはキョトンとした。
ダンファン「お前、疲れてはいないのか?あれだけ動いて、
      横たわる程に疲れていたのでは?」
ロー「いやぁ、私、体力、すぐに回復するんですよね。
   特に、寝転がると」
 とのローの言葉に、ダンファンは笑いを漏らした。
ダンファン「なる程。確かに、お前を敵に回すと厄介(やっかい)だろうな。
      ちょこちょこ逃げ回り、こちらの体力を奪いながら攻撃して来る。
      そして、こちらの体力が付きかけた所で、一気に襲いかかる。
      そうだろう?」
ロー「まぁ、そんな所です。ゲリラ戦も戦術単位でみれば、
   そんな感じでは?」
ダンファン「ゲリラ戦か・・・・・・。ミズガルドにて、皇帝ソルス
      の侵略に対し、小国と()していたエスタ国が()った作戦       だったな」
ロー「ええ。そして、皇帝ソルスは-この戦いで敗北して没落(ぼつらく)し、
   以後、死ぬまで東に幽閉されました。
   もっとも、この戦いでは黒の女皇帝シャーリアが参戦し、
   その圧倒的な実力を見せつけた側面もありますが。
   とはいえ、この戦いでゲリラ戦という言葉が生まれ、
   その有用性が証明されたワケです」
ダンファン「そして、ゴブリン達は、それを()(おこな)ってくる」
ロー「ええ。ですから、将軍の力はゴブリンに対しては、非常に相性が悪いと
   思われます」
ダンファン「ワシは大戦の()りでは、隣国のシュトネイの
      東部方面隊と共に、オーク達と戦っていた-
      からな。オークは力こそあれ、小細工はして
      来なかった。だからこそ、ワシは存分に力を
      振るえたとも言える」
ロー「はい。とはいえ、将軍の力は、我々にとり大きな武器で
   ある事に違いは-ありません。そう、気を落とさないで-
下さい」
 とのローの言葉にダンファンは苦笑した。
ダンファン「なんだ?(なぐさ)めてくれるのか?」
ロー「いやぁ、こう見えて、結構、ヒトには気をつかうんですよ」
ダンファン「よく言うわい」
 そして、二人は笑い合うのだった。

その時、激しい落雷が(しょう)じ、外は土砂降(どしゃぶ)りとなった。
それを見て、ローは何か不吉なモノを感じずには居られなかった。

 ・・・・・・・・・・

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