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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第36話  暗部

 第36話  暗部(あんぶ)

 酒場をゼスが出て行くや、酒場に居た一人の男が-その後を
追った。そして、袋からトカゲを放ち、ゼスを追わせた。
男(これは、とんでもない話を聞いてしまった。
  生きていた。生きていたのだ。
  実験体エヌが。そして、エヌの力を使いこなして
  いたのだ。
  何という事だ・・・・・・。
  さらに、話では、実験体エヌ-には子供まで居ると言う。
  これは、急ぎ、本国に報告せねば)
 そして、男は術式を隠蔽(いんぺい)しながら展開した。
男(届けッ!)
 男は術式を発動した。
 それと共に、微弱(びじゃく)な波動が発されていった。
 それから、数分が()った。
 すると、男の背後に、突如、何者かが現れた。
 それは、ゴーグルを付けた魔導士だった。
男「あ、あなた様は・・・・・・ま、まさか、皇帝陛下-直属の」
魔導士『私の名を言う必要は無い。それより、分かって-
    いるのか?特秘(とくひ)暗号通信を、このような魔導的に
    無防備な場所で使うとは』
男「も、申しワケありません。ですが、急ぎ、お伝えせねば
  いかぬ事が-ございまして。ご報告いたします。先程」
 との男の言葉を、魔導士は制した。
魔導士『その必要は無い。直接、くみ取る』
 と言い、魔導士は腕のローブから、金属の触手のような
モノを伸ばした。
 そして、その触手は、男の脳髄に侵入していった。
 数分が経ち、触手はローブの(うち)に戻って行った。
魔導士『なる程。そのゼスという男、確かに、我が国の機密と
    接触しているようだな』
男「使い魔に追わせてあります」
魔導士『分かって居る。とぶぞ』
 そして、魔導士は男を(つか)んだ。
 次の瞬間、空間転移が行われ、魔導士達は、ゼスの(もと)へと
ワープした。
 しかし、ワープした先には(ひと)()一人(ひとり)
見当たらなかった。
魔導士『どういう事だ。お前の使い魔は何をしている』
男「ま、待って下さい・・・・・・あれ?交信が途絶しています。
  そんな。つい、さっきまで、そんな事、無かったのに」
魔導士『・・・・・・お前の言葉が本当だとすると、何者かが、
    使い魔を殺したのだ。忌々(いまいま)しい・・・・・・。探すぞ』
 そして、魔導士は再び、ワープしていった。
 それを結界の中でゼスは震えながら見ていた。
 さらに、結界の中には、もう一人の騎士の男が居た。
 その騎士はダーク・エルフであった。
騎士「いやぁ、危ない、危ない。きちんと、あんたを尾行
   しておいて良かった」
ゼス「あ、あんたは-いったい・・・・・・」
騎士「俺か?俺の名は、イーグ。騎士の真似事(まねごと)をやってる。
   いや、それにしても、あんたを尾行してたら、他の
   尾行者が来るわ、そいつは使い魔を送るわ、さらに
   ヤバイ仲間を連れてくるわ、(あせ)ったぜ。
   空間が歪んだ時点で、使い魔を殺して、あんたを
   隠匿(いんとく)の結界に入れて、正解だったぜ」
ゼス「あ、ありがとう・・・・・・」
イーグ「礼は()らないぜ。これは任務だからな。
    とはいえ、さっきのゴーグルを付けていた奴、
    あれは、相当の腕だな。
    聖騎士レベルか、それ以上だぞ、ありゃ。
    おお、怖い怖い。
    ともかく、このまま、ゆっくりと移動するぞ。
    絶対に、結界から-はみ出るなよ。
    結界をこれから、少しずつ動かすから、
    それに合わせて動くんだぞ」
 とのイーグの言葉に、ゼスは(うなず)いた。

 ・・・・・・・・・・
 ゼスはイーグの隠れ家へと案内された。
イーグ「さて、察しはついてると思うが、俺はエストネア皇国(おうこく) 
    の暗部に所属している者だ」
ゼス「暗部・・・・・・。聞いた事がある。皇国のため、裏で暗殺
   などを行う集団」
イーグ「おいおい。それは、あんまし笑えない冗談だな。
    俺達は、確かに非合法な事はやるが、暗殺とか
    は-あり得ないぜ。少なくとも、俺は-した事が
    無い。むしろ、情報収集がメインだ」
ゼス「情報・・・・・・。そうか、俺が-あの島での唯一の生き残り
   だからか」
イーグ「正解。あんたは当時の事をどうしても話そうと
    しなかったからな。皇国は結構、気にしてたん
    だぜ。それで、交代で、あんたを見張ってたワケ
    なんだ。とはいえ、今日は別の任務が入っててさ。
    暗部も人手不足でさ。それでも、何か胸騒ぎがして、
    あんたの尾行を今日もしてみたら、正解だったぜ」
ゼス「そうか・・・・・・」
イーグ「しっかし、()せないな。何で、今になって話す気に
    なったんだ?しかも、あんな酒場で?」
ゼス「・・・・・・夢を見たんだ」
イーグ「夢?」
ゼス「それは精霊のように見えた。精霊は告げた。
   《お前は全てを語らねば-ならない。
それは、大きな因果(いんが)(つむ)ぐであろう。
    幼き剣士と、野望-秘めし騎士を引き合わせる
    であろう。
    そして、お前は止めねば-ならない。
    その恐るべき災厄(さいやく)をもたらす-野望を。
    決して、野望-秘めし騎士と、魔女の王を
    引き合わせては-ならないのだ》
    と」
 とのゼスの言葉に、イーグは-しばし考え込んだ。
イーグ「一体、何の事やら。幼き剣士?
    野望-秘めし騎士?
    全く何の事か分からないぜ」
 すると、ゼスは-その薄暗い瞳で、イーグの瞳を
覗き込んだ。
ゼス「俺には分かる。いや、今、分かった。
   長年、傭兵をしていて、人を見る目は
   あるつもりだ。特に、病気に-かかって
から、なおさらにな。
野望-秘めし騎士とは、あんたの事だ。
あんた-なんだ。
俺は-あんたを止めねばならないのかも
知れない」
 とのゼスの言葉に、イーグは肩をすくめるのだった。
イーグ「おいおい。あんまし、夢とか妄想とかを現実に
    持ち込まないでくれよ。あんたとは、これから
    長い付き合いになるかも知れないんだからよ」
 とのイーグの言葉に、ゼスは-ため息を()いた。
ゼス「・・・・・・すまなかった。つい、体が弱っていると、
   変な事を言ってしまう。忘れてくれ」
イーグ「ああ。ともかく、俺は周囲を見回ってくる。
    絶対に、この部屋から離れないでくれよ」
ゼス「分かった。たとえ余命が短くとも、命は惜しい。
   大人しくしてるよ」
 とのゼスの言葉に、イーグは満足そうにし、部屋を
去って行った。

 イーグは屋上で月を見上げていた。
イーグ「雨季だってのに、良く晴れてやがるぜ」
 と、夜空へと(つぶや)くのだった。
イーグ(しかし、野望-秘めし騎士だって?はは、案外、
    いい勘、してるじゃねぇか。そうさ。そうだ。
    俺は、王になる。一国の王になるのさ。
    こんな(くら)がりじゃねぇ、もっと(ひかり)()す世界で
    俺の王国を(きず)くのさ。いずれ、必ず・・・・・・。
    だが、絶対に-その野望を悟られちゃいけねぇ。
    精霊だろうと女神だろうと絶対に、俺の邪魔は
    させねぇ。
    もし、ゼスが俺の邪魔をするんであれば・・・・・・、
    最悪、手を(よご)す事になるかもな)
 そう思い、イーグは笑うのだった。
イーグ「ありえねぇ。何を考えてるんだ。あんな奴、
    結局、何も出来はしねぇさ。
    それに、いつまでも-あいつと一緒に居るワケ
    もねぇ。時期(じき)に、他の奴に引き継ぐ事になる
    だろうしな」
 と言って、さらに笑うのだった。

 その頃、ゼスは部屋でジッと考え込んでいた。
ゼス(奴の目・・・・・・あれは確かに野望に燃える瞳だった。
   さらに、あれは典型的な嘘吐(うそつ)きの顔だ。
   とはいえ、さっきは俺も上手く-ごまかせただろう。
   イーグも俺が-ここまで不信感を(いだ)いているとは
   思ってはいないだろう。
   不思議なモノだ。
   奴とは初めて会ったハズなのに、深い宿命を感じる。
   止めねば-ならない。
   俺の全身が、奴を止めろと叫んでいる。
   奴は(わざわ)い-そのモノだ。
   精霊の啓示(けいじ)に従い、奴を必ず止めねば-ならない。
   必ず・・・・・・)
 そして、ゼスは一人、(うなず)くのであった。
 その時、ゼスの脳裏に新たなビジョンが生まれた。

『あああああああああああああああッ!』
 との黒い衣装を着た女性の-悲痛な声が、響いた。
『殺せッ!殺せッ!聖女ミリトを殺せッ!(いつわ)りの聖女を
 ()(ほろ)ぼせッ!』
 と、(あか)(ぐろ)い鎧をまとったイーグは叫んだ。
 そして、その様子を(はる)か上空から、妖艶(ようえん)なる-魔女の王は、
無表情で(のぞ)いているのであった。

 ゼスの意識は現実に引き戻された。
ゼス「い、今のは・・・・・・何て事だ。止めねば-ならない。
   この命に代えても、あの未来は止めねば-ならない。
   お、怖ろしい。あまりに、怖ろしい未来だ。
   そうか、俺が生き残ったのは、あの災厄(さいやく)
   (ふせ)ぐためなのかも知れない。
   このわずかに残った命は、そのために、
   与えられたモノだったのだ・・・・・・」
 と、ゼスは悟るのであった。

 ・・・・・・・・・・

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