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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第32話  特攻

 第32話  特攻

 ロイスとリコリスが洞窟に辿(たど)り着くと、数名の騎士達が
魔石を運ぼうとしていた。
ロイス「司令殿ッ!」
 と、ロイスは一人の騎士に向かい叫んだ。
司令「・・・・・・ロイスか。それにリコリスも」
 と、司令は嫌そうな顔をして答えた。
ロイス「何をしておられるのですか?」
司令「知れた事。あの化け物をこの魔石で吹き飛ばすのだ」
ロイス「ですが、司令。既に、ゴブリンも人間も、この島から
    避難しました。恐らく、ゴブリン達は戻って来る事は
    無いでしょう。もはや、この島に-こだわる理由も無い
    のでは無いですか?
    今なら、間に合います。早く、避難をなされて(くだ)さい。
    船が待っています」
 とのロイスの言葉に、司令は苦虫(にがむし)(つぶ)した(よう)
顔をした。
司令「ロイス・・・・・・お前は何も分かっていない。もはや、
   ゴブリンなど関係ありはしない。あの化け物は
   私の部下を、そして、民間人を、ことごとく-
   殺したのだ。許されてなるモノかッ!
   私は遠目から見ていた。
   あの化け物は、楽しんで居た。
   人を咀嚼(そしゃく)する事を楽しんで居たのだ。
   獣が獲物を狩るのとは違う。
   人の絶望と悲痛の声を聞くのを楽しむ-嗜虐(しぎゃく)さを
   持っているのだ、奴は。
   殺さねば-ならない。
   あのような邪悪な存在は-この世から消し去らねば
   ならないのだッ!」
 との司令の言葉と気迫に、ロイスは何も言葉を返す事が
出来なかった。
司令「これ以上、用が無いのなら、去れ。この優し過ぎる
   馬鹿共(ども)が。せいぜい、長生きをしろ。
   ()くぞッ!」
 そして、司令と部下数名は、ロイス達に背を向け、
最期の戦いへと向かうのだった。
 それに対し、ロイスは止める事が出来なかった。
 彼等(かれら)の覚悟に水を差す事が-どうしても出来なかった。
 そして、ロイスは-その場で立ち尽くすのだった。

 ・・・・・・・・・・
 司令と部下達は、森へと移動していた。
司令「お前達、これより先は、私一人でやる。
   これ以上、付き合う必要は無い」
 との言葉に、部下達は苦笑した。
部下「今更(いまさら)、何をおっしゃられるので?
   ここが私達にとり、死地ですよ」
司令「そうか・・・・・・」
 と言って、司令はフッと笑った。
司令「()くぞッ!」
 との司令の声に、部下達は(こた)えた。

 そして、司令達は一人一人、大量の魔石を体にまとった。
 それから、黒いスライムへと、(がけ)から強襲した。
全身を魔力で強化した騎士達は、黒いスライムの上を
(しゅん)(そく)で駆けた。
司令「ガイッ!奴の(コア)何処(どこ)だッ?」
 と、司令は部下のガイに(たず)ねた。
ガイ「10時方向に500メートル行った先の真下ですッ!」
司令「よしッ!」
 そして、司令達は、黒いスライムの上を駆けて行くのだった。
 その時、スライムが(うごめ)きだした。
 次の瞬間、次々と黒い(とげ)がスライムの背から生えた。
 それは、一人の騎士を無残(むざん)にも貫いていた。
司令ロッズ・・・・・・
 と、振り返りもせず、司令は死した部下の名を思った。
 そして、棘は次々と量を増やし、もはや足の踏み場も無い
状態となった。
 そんな中、司令達は、足に魔力をこめ、棘を足場にする
という(あら)(わざ)を行っていた。
 しかし、一人の騎士が-その際に一瞬、遅れ、全身を
(とげ)に貫かれ、スライムに吸収されていった。
司令クーリス・・・・・・
 と、司令は空中を棘を足場に跳び移りながら、部下の名を
心の(うち)(つぶや)くのだった。
 もはや、残っているのは、司令とガイだけだった。
ガイ「司令ッ!そこです、そこの下ですッ!」
 すると、空中に次々と魔方陣が展開された。
ガイ「クッ!」
 ガイは-とっさに剣技を発動し、魔方陣を叩き斬っていった。
 しかし、いくつかの魔方陣を斬る事が出来ず、至近距離で
発動した爆発の魔法をくらった。
 そして、ガイの体は()すすべも無く、捕食しようと待ち構える
スライムへと落ちていった。
司令(ガイッ!すまんッ!)
 そして、司令は魔力を全開にし、スライムへと剣を突き立てた。
 スライムの体は、剣から生じる波動で吹き飛んで行った。
 とはいえ、あまりに肥大化(ひだいか)したスライムからしたら、その
攻撃は微弱なモノだった。
 しかし、司令は-そのまま、スライムの体の中へと掘り進めていった。
 司令の体をスライムが-まとわり付こうとした。
 そして、司令の体は少しずつ溶けて行くも、司令は-そのまま
スライムの体の奥へと進み続けた。
司令(見つけたぞッ!)
 今、司令はスライムの(コア)間近(まじか)に迫っていた。
司令(死ねッッッ!)
 と、心の中で叫び、司令は魔石を起爆させたのだった。
 その時、司令は、死していった部下達の姿を見た気がした。

 大規模な爆発が生じた。
 スライムの悲鳴が島中(しまじゅう)に響いた。
 その黒い断片が-雨のように降り(そそ)いだ。

 そして、艦隊司令カーチェスは、異邦(いほう)の地で(はかな)くも
勇敢に散ったのであった。

 ・・・・・・・・・・
 その爆発音で、ロイスは正気に戻った。
ロイス「今のは・・・・・・」
リコリス「あなた・・・・・・もう、司令達は・・・・・・」
 と、リコリスは辛そうに言った。
ロイス「ああ、そうだな・・・・・・逃げよう。もう、どうしよう
    も無い」
 そして、ロイスとリコリスは-その場を後にするのだった。

 丘をロイス達は走っていた。
 海岸は目の前だった。
 その時、ロイスは突如、足を止めた。
リコリス「あなた?」
 との声に、ロイスは答えようとしなかった。
ロイス「・・・・・・馬鹿な」
 そして、リコリスはロイスの視線を追って、驚愕した。
 そこではスライムが動き出していた。
 それどころか、スライムは体の一部を海へと伸ばしていた。
ロイス「奴は海を渡れるのか・・・・・・?」
 との問いは、()むべき恐ろしさを秘めていた。
 もし、あの黒いスライムが海を越える事ができ、
エストネアに辿り着けば、多大な被害が出る事が
予想された。
ロイス「奴は-ここで滅ぼさねばならない。
    命に()えても」
リコリス「ええ・・・・・・」
 そして、二人は覚悟を決めた。
ロイス「リコリス。共に、戦ってくれるかい?
    私一人では恐らく、奴は倒せないだろう。
    いや、二人でも・・・・・・。
    無駄死になるかもしれない。
    それでも、共に来てくれるか?」
 とのロイスの言葉に、リコリスは微笑(ほほえ)んで答えた。
リコリス「ええ。だって、私達は夫婦なんですもの」
 とのリコリスの言葉に、ロイスも微笑むのだった。
ロイス「行こう。最期まで一緒だ」
リコリス「ええ」
 そして、二人は口づけを(かわ)し、強大な敵へと
立ち向かっていくのだった。

 ・・・・・・・・・・

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