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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第28話  夫婦

 第28話  夫婦

 ヴィル達は半透明な何かを追いかけていった。
カシム「こっちです。確かに、奇妙な気配を感じます」
 そして、カシムの先導で-さらに進み続けると、半透明な
何かは、木の根の上でホッと一息ついていた。
 しかし、カシム達が近づいた事に気付き、再び、一目散に
逃げていった。
 それをさらにカシム達が追い、さらに、休んでいた半透明な何かは逃げだし、
を繰り返す(うち)に、(あた)りは段々と白い(きり)に包まれていった。
トゥセ「団長・・・・・・何か-やばい気が・・・・・・」
ヴィル「進もう。この先に何かがある。俺の勘がそう告げて
    いる」
トゥセ「了解」
 そして、ヴィル達は-(きり)の道を進み続けた。
 すると、突然、霧は晴れていき、丘の上に小さな小屋が見えた。
 その中に、半透明な何かは入って行った。
ヴィル「あそこだ。きっと、誰かが住んでいる。様子を(うかが)って
    来る。トゥセ、来てくれ。他のみんなは-ここで待機」
 そして、ヴィルとトゥセは-小屋の裏手に回り、中の様子を
覗こうとした。
 しかし、窓にはカーテンが掛かっており、中の様子は分からなかった。
 その時、中から声が響いた。
 それは男女の声で、その言語はエストネアのモノだった。
ヴィル《トゥセ、今の聞いたか?》
 とのヴィルの言葉に、トゥセは-はっきりと(うなず)いた。
ヴィル《どうも、エストネア人が居るみたいだ。なら、問題は
    無さそうだな。ともかく、接触してみよう》
 そして、ヴィルは小屋の表に回り、ドアをノックした。
ヴィル「失礼ッ!私は冒険ギルドのヴィルと申します。
    実は、船が遭難(そうなん)してしまい、この島に
    漂流(ひょうりゅう)しました。よろしければ、
    食料などを分けて頂きたいのですが。お代は
    支払いますので」
 とのヴィルの言葉に、しばらく沈黙が流れた。
 雨がヴィル達を打ち続けた。
 すると、中から足音が聞こえた。
「今、開けますね」
 との女性の声と共に、小屋の扉は開かれた
 そこには、年齢(ねんれい)不詳(ふしょう)の女性が立っていた。
 さらに、奥には一人の中年男性と、半透明な何かが居た。
女性「どうぞ、中へ。ひどい雨だったでしょう。
   あ、タオルをどうぞ」
 そして、女性はヴィルとトゥセに持っていたタオルを二枚-
渡した。
トゥセ「あ、あの・・・・・・何で二枚持ってるんすか?俺、気配、
    ()ってたんすけど」
女性「あら、ごめんなさい。気づかなかったフリをした方が
   良かったかしら」
 と、女性は困った(ふう)に言った。
トゥセ「い、いえ・・・・・・大丈夫です・・・・・・」
 と、答え、トゥセは少し、ションボリとした。
 トゥセは自分の気配(けはい)()ちの能力に、多少の自信を
持っていたのだった。
ヴィル(ただ者じゃ無いな・・・・・・トゥセの気配を小屋の中から
    感じ取って居たなんて)
 と、ヴィルも思っていた。
女性「あ、あの・・・・・・何か失礼が-ありましたか?」
 と、女性は不安そうに言った。
ヴィル「い、いえ。何でも-ありません」
女性「そうですか。では、どうぞ、中へ。外は寒いし、雨も
   降ってるでしょうから。あ、外で待っていらっしゃる-
   お仲間さん達も、良ければ-どうぞ」
 との言葉に、ヴィルは-ため息を()いた。
ヴィル「はい・・・・・・。では、お言葉に甘えて・・・・・・」
 そう言って、ヴィルはカシム達に合図を送り、来るように
伝えるのだった。

 ・・・・・・・・・・
 小屋の中は入ってみると思ったより広く、ヴィル達-全員が
入っても、狭さを感じさせなかった。
 テーブルには、ヴィルとトゥセとカシムが座らされていた。
 その真向かいには、中年の男性が座っていた。
男性「さて、君達は冒険ギルドの(かた)だそうだね」
 と、男性は始めて口を開いた。
ヴィル「はい。エストネアの所属です」
男性「そうか。しかし、災難だったね。私達は10年間-以上、
   この島で暮らしているが、これ程の嵐は無かった」
ヴィル「はい。命が-あっただけ、(もう)けモノです」
男性「船は壊れているのかね?」
ヴィル「いえ、ほとんど損傷は見当たりませんでした」
男性「そうか。それは良かった」
 すると、女性がお茶を運んできた。
女性「どうぞ」
 と言って、ニッコリと微笑(ほほえ)み、女性は紅茶をヴィル達と
男性の前に置いた。
トゥセ「あ、ありがとう-ございます」
 と言って、トゥセは急に背筋を伸ばした。
カシム(トゥセさん・・・・・・いくら、この人が美人だからって、
    露骨(ろこつ)すぎる気が・・・・・・)
 と、カシムは内心-思ったが、あえて何も言わずに居た。
男性「ああ、そうだ。自己紹介が-まだ-だったね。
   私はロイス。こちらは妻のリコリスだ」
 とのロイスの言葉に、トゥセは-あんぐりと口を開くのだった。
ケシャ(短い恋・・・・・・でしたね)
 と、茶猫のケシャは-内心、(つぶや)くのだった。
トゥセが机でうなだれる中、ロイスは話を続けた。
ロイス「さて、そして、あそこの(すみ)に居る子が、ニョモ。
    私達の大切な家族の一員だ」
 とロイスは半透明な何かを紹介した。
 それに対し、ニョモはキョトンとするのだった。
トゥセ「・・・・・・というか-そのニョモって、何者なんですか?
    見たところ、モンスターとも違う感じですし」
ロイス「分からない。ただ、とても良い子だよ。
    果物が好物でね、ベリー系は特に大好き
    なんだよ」
 すると、ベリーという言葉に、ニョモは反応し、ロイスの
所へトコトコと駆け寄ってきた。
ロイス「(ゆう)(はん)に-あげるからね」
 と言って、ロイスがニョモの頭を優しく()でると、ニョモは
嬉しそうにロイスに甘えるのだった。
リコリス「ニョモちゃん、おいで。ママと遊びましょうね。
     お(はなし)の邪魔になっちゃいけませんからね」
 と言って、リコリスはニョモに両手を差し出した。
ニョモ「ニョモッ!」
 そして、ニョモはリコリスの大きな胸に抱きついた。
トゥセ(う・・・・・・うらやましい)
ケシャ(こいつ、発情してる・・・・・・キモイです・・・・・・)
 と、それぞれ思うのだった。
 そんな思惑とは関係無しに、リコリスはニョモを抱え、
部屋の(はし)に、歩いて行った。
 そして、ロイスは(はなし)を続けるのだった。
ロイス「さて、しかし、雨季での-この嵐だ。一旦、嵐が
    ()んだとしても、しばらくは出航は様子見(ようすみ)した
    方が良いだろう」
 とのロイスの言葉にヴィルは(うなず)いた。
ヴィル「はい。そのつもりです。それで、よろしければ、
    ここらで食べれるモノを教えて頂きたいのです
    が。もしくは、どこに行けば、動物を狩れるか
    など。食料が-あまり残って居ないので」
 と、ヴィルは申しワケ無さそうに言った。
ロイス「ああ、それなら、後で-いくらでも教えよう。
    ここは、豊かな土地だからね。冬でも食べる
    モノには困らない。とはいえ、今年は異様に
    寒いから、多少は違うかも-知れないが」
ヴィル「はい」
ロイス「とはいえ、狩りをするにせよ、釣りや採取を
    するにせよ、慣れるのには数日は-かかるだ
    ろう。だから、ひとまず、君達に(うち)(たくわ)えを
分けよう」
ヴィル「ありがとうございます。それで-お代は、いか程に
    なるでしょうか?」
 と、ヴィルは(たず)ねた。
ロイス「お金は必要ないよ。ここでは貨幣(かへい)など何の役にも
    ()たない。でも、良ければ家事などを手伝って-
くれると助かる」
ヴィル「それなら喜んで。しかし、すみません。
    迷惑をかけてしまって」
ロイス「気にする事は無い。孤島(ことう)に三人で暮らしていると
    時折(ときおり)、寂しくなるモノでね。客人が訪れて(くだ)さる
    のは、とても嬉しい事だよ」
 と言って、ロイスは微笑(ほほえ)んだ。
 そして、ヴィル達の孤島での生活が始まるのだった。

 ・・・・・・・・・・

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