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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第27話  孤島

 第27話  孤島

 嵐は一時期に比べれば(おさ)まってきたモノの、(いま)だに暴風の
(いき)を脱していなかった。
 そんな中、漁船にてヴィル達は眠っていた。
アーゼ「団長、起きて下さい。交代です」
 との言葉に、ヴィルとトゥセは起きだした。
ヴィル「ほら、起きろ-トゥセ、朝だぞ」
トゥセ「まじっすか・・・・・・()()り無いんすけど」
 と、トゥセは寝ぼけ(まなこ)をこすりながら答えた。
アーゼ「じゃあ、俺達は眠るんで」
 と言って、アーゼとギートは眠るのだった。
ヴィル「さて、今日も(いそが)しくなりそうだ」
 と、ヴィルは(つぶや)くのだった。

 ・・・・・・・・・・
 食卓を囲む面々にヴィルは語りかけた。
ヴィル「みんな聞いてくれ。後で、寝ているアーゼとギートにも話すが、
    とりあえず、みんなに話しておく。
    まず、今後の予定だ。俺達は今、出航できる状態に
    無い。なので、嵐が(おさ)まるまで-この島に(とど)まる事に
    なる。特に今は雨季の時期なので、この嵐は-いつ
    終わるか分からない。
    もしかしたら、数週間、続くかも知れない。
    なので、しばらくは-この島に(とど)まる覚悟が必要
    だろう」
トゥセ「マジッすか。というか、雨季って-こんなに(ひど)かった
    でしたっけ?」
ヴィル「まれに-あるんだ。そして、長い雨季が終わると、疫病(えきびょう)
    が蔓延(まんえん)したりする。いや、雨季の間も注意が必要だろうな。
    食中毒や風邪には注意しないと-いけない。
    小まめに-うがいをした方がいいだろうな」
トゥセ「しかし、今年ってワケわかんない気候ですよね。
    やけに寒かったり-しますし。まぁ、一応、冬です
    けどね」
ヴィル「確かにな。それに、雨季の時期も早い。一種の天災
    だな、これは」
トゥセ「ついてないですよ・・・・・・」
 と言って、トゥセは机に突っ伏した。
カシム「とはいえ、逆に今回の天候が幸いとなるかも知れませんよ」
トゥセ「どーいう事だ?」
カシム「エストネア皇国はククリ島へと侵攻をもくろんでいる
    みたいですが、この悪天候では出兵は不可能でしょう」
ヴィル「確かにな。しかも、こんな言い方は良くないかも知れないが、
    この大雨で道路や建物などに被害が出たら、それの復旧に
    騎士団が駆り出される事となる。
    そうなれば、さらに、出兵は遅れるだろうからな」
ケシャ『そもそも、冬に戦争を始めようとするのが、おかしい
    んです。寒いですし、食料も無いですし』
 と、茶猫のケシャは言った。
ヴィル「とはいえ、民兵は、春や夏には農作業で(いそが)しいからな。
    今回の遠征も恐らく騎士団を中心とした編成となるの
    だろうが、少なからず民兵も起用するだろう。
    だからこそ、農作業の無い-秋の終わりや冬に戦争を
    始めるのは必然とも言える。
    一般的な話をすると、人同士の戦争の場合、冬は食料が足りなく
    なり、奪い合いの戦いとなる事が多い。
    だから、冬にこそ戦争は起きやすいんだ」
ケシャ『なる程。納得です。でも、嫌な話ですね』
ヴィル「(まった)くだ。まぁ、それにククリ島は植物が多く
    ()(しげ)っているという。だから、夏よりも冬に
    戦った方が、植物が少ない分、騎士団としては戦いやすい
    というのは-あると思う」
カシム「なる程。出兵の時期に関しては、ずいぶんと考えられて
    おるのですね」
ヴィル「皇国(おうこく)も馬鹿じゃ無いからな。とはいえ、本当に考えて
    この時期なのかは分からないがな」
 と言って、ヴィルは-ため息を()いた。
ヴィル「まぁ、戦争に関して-あまり考えても仕方無い。
    それより、この島での事だ。昼になったら、探索(たんさく)
    出かけようと思う。誰か人かゴブリンが住んでいる
    かもしれないし、モンスターが出る可能性もある。
    十分に気を付けないといけない。
    それで、探索のメンバーは、俺、トゥセ、カシム、
    ケシャ、そして、トフクさん、この5人に行こうと
    思う」
 とのヴィルの言葉に、トゥセは嬉しそうにした。
トゥセ「よっしゃ、腕が鳴るぜッ!」
ヴィル「それで、もし、ゴブリンと遭遇(そうぐう)してしまったら、
    とりあえず、逃げて、そして、船内で急ぎ、変化(へんげ)
    術を行う事にする。カシム、問題ないか?」
カシム「はい。大丈夫です」
ヴィル「それで、船まで逃げ切れないようなら、途中で-
    何処(どこ)かに隠れて、そこで変化の術を(おこな)う事にする。
    モンスターを除いて、基本、戦闘は()ける事となる
    から-そのつもりで居てくれ」
 とのヴィルの言葉に、皆は了解したのだった。

 ・・・・・・・・・・
 剣聖シオンの一行(いっこう)は王都へと川を(くだ)って進む途中で、
船を降りていた。
 今、大雨で川は増水しており、氾濫(はんらん)しかけている程であり、
とても川を船で(くだ)るなど出来なかったためだ。
 そして、シオン達は船着き場の(そば)の宿屋を出発し、王都へと
徒歩(とほ)で向かうのだった。
 シオン達を警護する騎士達は黙々と街道を進んで居た。
 一方で、シオンのパーティの一人、細身の男は、うんざりと
して口を開いた。
細身「カァ、なんや-この雨。ジメジメするわ、寒いわ、
   異常気象やないんか?しかも、馬車も-ぬかるみ
   で上手く使えんから歩きやし」
シオン「我慢しないと。ククリ島の気候は-これよりずっと
    ひどいかも-しれないしさ」
細身「確かに・・・・・・。はぁ、気が滅入(めい)るわ」
 と言い、ため息を()いた。
 すると騎馬が(すご)い勢いで駆けてきた。
「伝令ッ、伝令ッ!」
 と、馬上の騎士が叫んだ。
 そして、その騎士は馬から降り、シオンの護衛の聖騎士と
(はなし)(かわ)した。
 それから伝令の騎士と、聖騎士は、シオンへと歩み寄って
来た。
聖騎士「シオン殿。こちら、聖騎士団-本部よりの伝令に
    御座(ござ)います。シオン殿あての手紙を(あずか)って
    (まい)ったとの事です」
シオン「分かった。見せてくれ」
伝令「ハッ!」
 そして、伝令の騎士はシオンに敬礼をした。
聖騎士「おい、傘を。濡れては-いかん」
 そして、従士が大きな傘を持ってきて、シオンに
雨がかからぬよう-さすのだった
それを見届け、伝令の騎士は書状を取りだした。
伝令「剣聖シオン殿、確かに、お渡し致しました」
シオン「ありがとう。この場で読んでも構わないか?」
聖騎士「構わないでしょう。(あた)りには我々-以外、居ません」
シオン「分かった。では、目を通させて-もらう」
 そう言って、シオンは書状を何度も読み返した。
シオン「・・・・・・これは、しかし」
 と、シオンは困った(ふう)(つぶや)いた。
エレナ「どうしたの、シオン?」
 と、シオンの恋人のエレナが(たず)ねた。
シオン「大変な事に-なりそうだ。今度の遠征で、俺を将軍とした軍団を
    作る事に-なるらしい・・・・・・」
細身「マジかいなッ?はぁ、まぁ、剣聖で7英雄なんやから、
   当然ったら当然やなぁ」
大男「しかし・・・・・・話が(きゅう)()ぎるな。あまり、良い事とは
   思えんぞ」
 と、シオンのパーティの一人、大男が言うのだった。
シオン「ああ・・・・・・。俺自身に、そんな将軍としての才覚は
    正直ない。俺は剣士でしか無い。戦術や戦略に関しては、勉強こそ
    したが、将軍としての実力には遠く(およ)ばないよ。
    だが、いいさ。たとえ、お(かざ)りだとしても、俺は俺の
    役割を果たそう。
    それが、英雄と呼ばれてしまった者の義務なのだから」
 と、シオンは重々しく言うのだった。

 ・・・・・・・・・・
 雨の中をヴィル達は隠れるように山を進んで居た。
 短くない逃亡生活により、彼等(かれら)は隠れながら進む事に関して
は得意となっていた。
 とはいえ、今の所、誰とも何とも出くわす事は無かった。
トゥセ《やれやれ、無人島じゃないんですか?》
 と、トゥセは小声でヴィルに(たず)ねた。
ヴィル《どうかな?ただ、あんまし、気を抜くなよ》
トゥセ《任せて下さいよッ、オオオオオオッ》
 と言いながら、トゥセは-ぬかるみに足を(すべ)らせ、横に転がり
落ちていった。
ヴィル《トゥセッ。皆は-ここに居てくれ》
 そして、ヴィルは慎重に木に(つか)まりながら、トゥセの落ちた
所へと降りていった。
トゥセ「あいたたた・・・・・・」
 と、トゥセは泥まみれに-なりながら(つぶや)いた。
ケシャ《しぶといです・・・・・・》
 との声がトゥセの長い耳には聞こえた気がしたが、トゥセは
聞こえなかった事にした。
ヴィル《トゥセ、大丈夫か?》
トゥセ《あ、はい。でも、グショグショなんですけど》
 と、泥まみれの体で、言うのだった。
ヴィル《まぁ、怪我(けが)が無さそうで良かった。急いで上に(もど)・・・・・・》
 とまで言いかけ、ヴィルは動きを止めた。
 ヴィルの視線は-ある一点で止まっていた。
トゥセ《団長?》
 と言い、トゥセも-ヴィルの見ている方を向いた。
 そして、トゥセは目を大きく見開いた。
 そこには、50センチくらいの半透明な何かが居た。
 その半透明な何かには、胴体に顔らしきモノと、小さな手足
らしきモノがあり、ヴィル達の方をキョトンと見つめていた。
トゥセ《だ、団長、あれって・・・・・・?》
ヴィル《わ、分からん。敵意は感じられないし、脅威とも
    思えないが・・・・・・》
トゥセ《追っ払いますか?》
 とトゥセが言うと、その半透明な何かはパッと逃げ出した。
トゥセ《・・・・・・団長、どうします?》
ヴィル《・・・・・・今の半透明なの、首輪みたいなのを付けて
    無かったか?》
トゥセ《言われてみれば》
ヴィル《もしかしたら、人が居るのかも知れない。ともかく、
    追いかけてみよう》
 そう言って、ヴィルはカシム達に-こちらに来るように
手信号で合図をするのだった。

 ・・・・・・・・・・

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