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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第23話  父母を探して

 第23話  父母を探して

 第三皇子のクオーツはカポルと少年カインと野宿をしていた。
クオーツ「ところで、カイン。良ければ、どうして港町の
     エーシェスを目指しているか、教えてくれない
     かな?」
カイン「あ、はい。実は僕、父を探しているんです」
クオーツ「お父さんを?」
カイン「はい。僕、生まれた時から母さんと二人で暮らして
    居たんです。それで、父さんの事、何も知らなくて。
    でも・・・・・・半年前・・・・・・母さんが・・・・・・()くなって」
 と、カインは辛そうに言った。
カイン「ごめんなさい・・・・・・。母さんの事、思い出すと、まだ」
 そう言って、カインは涙を拭った。
 そんなカインの肩にクオーツは優しく手を乗せた。
クオーツ「いや、いいんだ。ごめんな、辛い事、思い出させ
     ちゃって」
カイン「いえ・・・・・・。大丈夫です。それで、僕、父さんを探しに
    行こうと思って」
クオーツ「そうか・・・・・・。それで、もしかして、お父さんの
     手がかりがエーシェスに?」
カイン「あ、はい。そうです。母さんは父さんとエーシェスで
    知り合ったそうなんです。それから、母さんは父さん 
としばらく、僕の生まれ故郷であるサイス村で暮らし
て居たみたいなんです。でも、僕が生まれて来る頃に
は居なくなっちゃったみたいで」
クオーツ「そっか・・・・・・。正直、手がかりとしては、少ないけど、
     案外、何とかなるかも知れないし。あ、そうだ。
     知り合いの情報屋を紹介するよ。何か知っている
     かもしれない」
カイン「あ、ありがとうございます、クオーツさん」
クオーツ「いや、いいんだよ」
カイン「あの・・・・・・クオーツさん、それにカポルさん。一つ、
    聞いていいですか?」
クオーツ「いいよ」
カイン「あの・・・・・・何で、こんなに親切にしてくださるんです
か?見ず知らずの他人の僕に」
クオーツ「どうしてかな・・・・・・?ただ、困っているヒトを
     見過ごせないんだよ。もっとも、出来る事には
     限界が-あるんだけどさ」
カイン「・・・・・・すごい-です。クオーツさん-は、すごいです。
    僕、いつか、いつかクオーツさん-みたいに成りたい
    です」
 とのカインの言葉にクオーツは照れくさそうにした。
クオーツ「そ、そう?いや、俺は-そんな尊敬されるような
     人間じゃ無いんだ。いつも、逃げてばっかでさ。
     でも、俺は・・・・・・この世界を良くしたいんだ。
     みんなに少しでも幸せに-なってもらいたいんだ。
     でも、やっている事は逃げているだけなんだ。
     駄目だな、俺は・・・・・・」
 と、クオーツは-うつむき呟くのだった。
 すると、カポルが口を開いた。
カポル「クオーツ皇子(おうじ)、皇子は素晴らしい御方(おかた)だと
    思います。
    オイラ、皇子殿下に会えて、本当に光栄です」
クオーツ「あ、ありがとう、カポル。だ、だけど、その皇子
     って言うのは、外では・・・・・・」
カポル「あ・・・・・・」
 と、カポルは手で口を押さえながら言った。
カイン「お、皇子様・・・・・・?」
クオーツ「あ、いや、その。あだ名だよ、あだ名。はは」
 と、クオーツは-ごまかそうとした。
 しかし、カインの目はクオーツの顔に釘付けになっていた。
カイン「本当に、お、皇子殿下なのですか?」
クオーツ「・・・・・・はぁ・・・・・・うん、そうだよ。嘘みたいな話
     だけどね。一応、第三皇子をやってました」
 とのクオーツの言葉に、カインは目を輝かせた。
カイン「すごい、すごいですッ!皇子殿下・・・・・・。うわぁ、
    (うわさ)より、ずっと格好(かっこ)()い・・・・・・」
クオーツ「あ、ありがとう」
カイン「うわぁ、でも-やっぱり皇子様って、気品が違いますね。
    普通の服を着てても輝いて居る、というか」
クオーツ「あ、あんまし()めないでくれ。照れるよ」
カイン「あ、すみません・・・・・・ご、ごめんなさい」
クオーツ「いや、いいんだよ。ただ、忍びの旅なんだ。
     だから、港町エーシェスのような大きな街
     には行けないんだ。だから、一緒に中までは
     行ってあげられない。ごめんね」
カイン「いえ。大丈夫です。む、むしろ、皇子殿下に-そこまで
    させてしまうのは、恐れ多くて」
クオーツ「そう、かしこまらないでくれよ。俺も君も同じヒト
     なんだからさ。そこに違いは無いんだよ。本当はね」
 とのクオーツの言葉に、カインは-ぽかんと口を開けた。
クオーツ「ど、どうしたのかな?」
カイン「いえ。その・・・・・・びっくりしちゃって。僕の村の領主様は、
    とても怖い方で。その・・・・・・少しでも怒らせる
    と、生活できるギリギリまで税金を上げるんです。
    それで・・・・・・僕、貴族のヒトは怖いヒトばかりかと」
クオーツ「そっか・・・・・・。確かに、貴族は自分を選ばれた存在
     と思っているからね。いや、そう思わないと、やって
     いけないんだと思う。悲しい事だよ」
カイン「で、でも、僕、皇子殿下は真に選ばれた方だと思い
    ます」
クオーツ「ありがとう・・・・・・。そうなんだ。そう思ってくれる
     ヒトは居る。俺に期待してくれるヒトも居る。
     でも、俺は無力なんだ。どうしていいか分からない
     んだ。正直、俺は王とか貴族とか、必要無いと思って
     いるんだ。だって、みんな同じヒト、ヒトじゃな
     いか。当たり前なのにな。それを言うと皆は変な顔
     をするんだ」
 と言って、クオーツは言葉を区切った。
クオーツ「たださ、今すぐ、王や貴族が無くなったら大変な-
     事になる。それは分かって居るんだ。王や貴族という
     統治形態は民をまとめるには便利な制度だ。
     戦争をするにせよ、国に象徴(しょうちょう)が居た方が、
     民は団結しやすい。それは分かってるんだ。
     でも、他に方法は無いかって思ってしまうんだ」
 と、クオーツは悲しげに言うのだった。
 すると、カインは口を開いた。
カイン「あ、あの・・・・・・。俺、思うんです。きっと、皇子殿下の
    おっしゃって居る事は正しいって。でも、正しい事
    って、難しいんだと思うんです、間違って居る事の方が
    楽なんだと思います。えぇと、良く分からなくなって
    来ちゃった。で、でも、僕、いつか騎士になります。
    そして、騎士になって、皇子殿下の役に立ちたいです」
 とのカインの言葉に、クオーツは一瞬、驚き、そして、
微笑(ほほえ)んだ。
クオーツ「ありがとう、カイン。その時を楽しみにしているよ」
カイン「はい。その時は、僕の剣を受け取ってください。
    皇子殿下」
クオーツ「ああ。約束する。未来の騎士さん」
 とのクオーツの言葉に、カインは目を輝かせるのだった。
クオーツ「さて、もう、遅くなってきたし、寝ようか」
カイン「あ、はい」
クオーツ「あ、そうだ。カイン。俺が皇子って事は内緒で
     頼むよ。名前もクオーツって呼んでくれ」
カイン「は、はい。クオーツ様」
クオーツ「さ、様か・・・・・・ま、まぁいいや。じゃあ、改めて
     よろしくな、カイン」
カイン「はいッ」
 と、カインは元気よく返事するのだった。

 ・・・・・・・・・・
 ダーク・エルフの少女フィナは昼の街を歩いていた。
フィナ「えっと、クエスト屋、クエスト屋。あ、あった」
 そして、フィナはクエスト屋に飛び込んでいった。
 そこでは、一人のおばさんが、カウンターに座っていた。
おばさん「いらっしゃい。お嬢さん。どうしたんだい?」
フィナ「あ、あの。ギルド、セインツ・セイバーの事を
    お聞きしたいんですけど。えっと、剣聖シオン
    のおられるギルドで。この街に居ると聞いたの
    ですが」
 と、フィナは-おずおずと尋ねた。
おばさん「・・・・・・あんた、剣聖シオンに何か用なのかい?」
フィナ「あ、はい。私、実はセインツ・セイバーのギルドの
メンバーの一人のフォウンって、ダーク・エルフの
    弓使いの娘なんです。名前はフィナです」
おばさん「あら、そうなのかい?ああ、確かに、似てるわねぇ。
     お母さんとは短い間だけど、おしゃべりしたわよ」
フィナ「あ、そうだったんですか。お母さん、元気でしたか?」
おばさん「ええ、ええ。とっても元気だったわよ。いやぁ、
     それにしても、娘さんが、こんなに可愛いなんて
     ねぇ。ウチにもじゃじゃ馬-娘が居るけど、まったく」
フィナ「あ、あの。それで、お母さん達は何処に泊まって居るか、
    分かりますか?」
おばさん「え・・・・・・あぁ・・・・・・。フィナちゃん、だったよねぇ」
フィナ「あ、はい」
おばさん「あんたも運が無いねぇ・・・・・・。剣聖シオンの御一行
     なら、先日、聖騎士様に連れられて、王都へと向か
ったよ」
フィナ「ええ。そんなぁ」
おばさん「行き違いって感じだねぇ」
フィナ「うう・・・・・・王都かぁ・・・・・・」
おばさん「しかも、噂だけど、その後、ククリ島へと遠征に
     向かわれるようだよ」
フィナ「え・・・・・・ゴブリンの島に?お、お母さん-もですか?」
おばさん「あくまで噂だけどね。多分、王都に行っても、
     会えないと思うよ。戦争前は、警備も厳しい
     からねぇ。特に以前、家族に化けた魔導士が騎士様
     を暗殺をするなんて事件が起きてねぇ。それから、
     家族でも、中々、会わせてもらえないみたい-
     なんだよ」
フィナ「そ、そうですか・・・・・・」
 それからフィナはクエスト屋のおばさんに色々と情報を聞き、
お礼を言って、その場を後にするのだった。

フィナ「はぁ・・・・・・お母さん達は、船で王都まで行ったのかぁ。
    今頃、着いてるって話だし。どうしようかなぁ。
    うーん。おばさん-の話だと港町エーシェスから
    軍は出航するみたいだけど。うーん。なら、王都に
    行かないでエーシェスで-お母さんを待つのも手か
    なぁ・・・・・・うーん」
 と、フィナは悩んでいた。
 すると、「もし」と声が掛けられた。
 見れば、呪い士の老婆が影のように、小さな机の前に
座っていた。
老婆「お嬢さん・・・・・・貴方(あなた)・・・・・・大切なヒトを探しておるの
   では無いですか?」
フィナ「え・・・・・・あ、はい・・・・・・」
老婆「しかし、その者を探すのは()した方が良いでしょう」
フィナ「な、何でですか。お母さんに何で会っちゃいけない
    んですか」
老婆「母・・・・・・。そう、母ですか。なる程。しかし、お嬢さん、
   貴方(あなた)と-お母さんは、親子である前に、一人の女なのです。
   ゆめゆめ、それを忘れぬように・・・・・・」
フィナ「な、何ですか、それ。変な事、言わないでください」
老婆「許す事です。貴方が-お母さんを愛せば愛する程に、
   その愛は憎しみへと変わる。許す事です」
フィナ「と、ともかく、失礼します・・・・・・」
 と言って、フィナは去ろうとした。
 しかし、その背に老婆は声を投げかけた。
老婆「その若き剣は母を求めています。しかし、貴方(あなた)
   母にはなれない。いや、貴方の-お母さんも、また
   若き剣にとり、母にはなれないのです」
 との老婆の言葉に、フィナは思わず、振り返った。
 しかし、背後には誰も居なかった。
フィナ「な、何?なんなの・・・・・・」
 と、フィナは悪寒(おかん)を感じながら(つぶや)き、少しでも-
その場から離れるために、駆け出すのだった。

 ・・・・・・・・・・

+注意+
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