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ランドシン伝記  (アーカーシャ・ミソロジー) 作者:キール・アーカーシャ

第2章  プロローグ、 魔王の系譜-編

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第22話  それぞれの道

 第22話 それぞれの道

 エストネア皇国-第三皇子のクオーツと、聖騎士ローの部下である
カポルは街道を黒ローブをまといながら、歩いていた。
カポル「クオーツさん、空・・・・・・すごく()んでますよ」
 と、カポルは空を(あお)いで言った。
クオーツ「そうだね。嵐の後で、雲一つ無い・・・・・・」
 と、クオーツは手で光を(さえぎ)りながら、上を向いた。
 そして、二人は高台の遺跡へと辿(たど)り着いた。
カポル「クオーツさん、ここで休憩(きゅうけい)にしましょう」
クオーツ「そうだね。あまり、急ぐ必要も無い旅だしね」
 それから、二人は遅めの昼食をとるのだった。
 カポルは-おいしそうにパンと()し肉を食べていた。
 一方で、クオーツは-ゆっくりと味わいながら、
パンをかじるのだった。
クオーツ「なぁ、カポル・・・・・・夢って-どんな意味を持つんだろうか?」
 と、クオーツは唐突(とうとつ)(たず)ねた。
カポル「夢って、夜-見る夢ですか?」
クオーツ「ああ、その夢。カポルは-どんな夢、見るんだ?」
カポル「え・・・・・・あんまし、オイラ、夢、見ないんです。
    ごめんなさい。見たとしても、怖い夢とかで」
クオーツ「そっか、ごめん、変な事、聞いて」
カポル「いえ。クオーツさん-は、どんな夢を見られるんですか」
クオーツ「・・・・・・笑わない?」
カポル「わ、笑いません、絶対に」
クオーツ「そっか・・・・・・。昔から、ある夢を見るんだ。
     この剣を手にしてから-なんだけどね。
     深い深い地の底・・・・・・なのかな?
     でも、そこは光に満ち満ちていて、
     胎動、というか、脈うっているんだ。
     そして、それは温かくて、安らかな空間なんだ」
カポル「はい・・・・・・」
クオーツ「それで、そこには一人の女の人が眠っているんだ。
     顔は良く見えないんだけど、長い綺麗(きれい)な銀髪の人で。
     その人の-お腹の所に、小さな光が浮いているんだ。
     それを、その女の人が優しく抱きしめているんだ。
     そんな情景・・・・・・。
     それでね、その小さな光は言うんだ。
     『私の名前はランドシンだよ・・・・・・・』って」
カポル「ランドシン・・・・・・。この亜大陸の名前ですよね」
クオーツ「そう・・・・・・。どういう事かは分からない。でも、
     それが真実だという予感がするんだ。
     ごめん、変な事、言って」
 すると、カポルは首を大きく横に振った。
カポル「あ、あの、オイラ、その話を聞いて、何か、
    その・・・・・・背筋がゾワッと-したっていうか、
    その・・・・・・クオーツさん-の言ってる事は、
    意味が-ある、というか・・・・・・。
    オイラ、思うんです。
    その女の人と、その光の子は-きっと、
    待っていると思うんです、クオーツさん-の事を。
    そんな気がしたんです」
クオーツ「そうかな・・・・・・そうなのかな・・・・・・?
     なら、会いたい・・・・・・な。会いたい・・・・・・。
     貴方(あなた)に会いたい・・・・・・。貴方(あなた)(たち)に」
  と、クオーツは(つぶや)くのだった。
カポル「きっと、会えますよ。オイラ、そんな気が-するんです」
クオーツ「ありがとう、カポル。ありがとう・・・・・・」
カポル「いえ」
 と言って、カポルは微笑(ほほえ)むのだった。
クオーツ「じゃあ、そろそろ出発しよう」
カポル「はい」
 そして、クオーツは立ち上がった。
 その時、クオーツはスイレンの花が(ちゅう)に浮くのを幻視した。
クオーツ(これ・・・・・・)
 次の瞬間、クオーツの脳裏に一つのビジョンが浮かんだ。
 そこは黄金の野原だった。
 そこを長い黒髪の女性と、黒髪の男と、そして、姿は-ぼやけて
よく見えないが-女の子と、3人が手を繋いで歩いていた。
 それを見て、クオーツの霊体は涙していた。
クオーツ(あれは、俺だ。俺なんだ。きっと、遠い未来の
     俺なんだ・・・・・・。何て、何て、幸せな未来なの
     だろう。まるで、夢の-ようだ)
スイレン『クオーツ。今に黄金律が(つむ)がれるの。
     世界に永久(とこしえ)の安らぎが訪れるんだよ。
     その時、貴方(あなた)と彼女も-きっと真に結ばれるんだよ。
     泣き虫な星の子を救ってあげて。
     お願いなの・・・・・・クオーツ』
 とのスイレンの花の声が聞こえた。
クオーツ「・・・・・・ああ。約束するよ。ありがとう」
 そう言って、クオーツはスイレンの花を優しく()でた。
 すると、スイレンの花は嬉しそうにクルクルと回り、
消えていった。
 クオーツの意識は現実に戻っていた。
カポル「クオーツさん?」
クオーツ「え?ああ、ごめん。何でも無いから」
 そう言って、クオーツは(ほお)(つた)う涙を拭った。
クオーツ「じゃあ、本当に行こう」
カポル「はい」
そして、二人は-あても無く、再び、旅立つのだった。

 ・・・・・・・・・・
 騎士の支部では聖騎士ローが出立(しゅったつ)しようと-していた。
 それを聖騎士エリー達が見送ろうとしていた。
ロー「では、これにて失礼するよ」
エリー「はい。ご武運を」
ロー「ありがとう。ところで、聖騎士ミリトは大丈夫かい?」
エリー「はい。ただ、大分、衰弱しておりまして、見送りには
    少し・・・・・・」
ロー「ああ。それは大丈夫だよ。まぁ、見つかって良かったね」
エリー「はい・・・・・・」
ロー「じゃあ、エリーさん-も元気で」
エリー「はい。あ、あの、一つ、(うかが)って-よろしいでしょうか?」
ロー「何かな?」
エリー「その、(わたくし)(ごと)でして・・・・・・」
ロー「別に気にしないから」
エリー「はい。その・・・・・・娘は、ミミは、元気で-やっている
    でしょうか?」
ロー「ああ。騎士ミミ-は、元気だよ。彼女は非常に優秀だよ。
   我が隊の中核の一人である-と言っても過言では無い」
エリー「そうですか・・・・・・。良かった・・・・・・」
 と、エリーはホッとしたように言った。
ロー「まぁ、これからククリ島への遠征に私の隊も行くわけ
   で、エリーさん-としては安心できないかもしれない
   けどね」
エリー「いえ。ロー殿(どの)の盾となり-散る覚悟は娘も持っている
    でしょう」
ロー「ま、まぁ、そういう事態に-ならないように努力する
   つもり-だけどね」
エリー「ありがたい-かぎりです」
ロー「では、いずれ-また」
エリー「はい。ご武運を」
 そして、ローは部下の少数の騎士達と共に、出立(しゅったつ)していく
のだった。

 ・・・・・・・・・・
 一人の少年が街道を歩いていた。
 少年は手描きの地図を何度も見返し、先を見据(みす)えた。
 すると、街道の向こうから、二人の黒ローブの男達が
歩いて来た。
少年「あ、あの、少し、よろしいでしょうか?」
 との少年の言葉に、黒ローブの男達は止まった。
少年「僕、港町のエーシェスに行かなきゃ-いけないんですけど、
  道は-こっちで合っているでしょうか?」
 との言葉に、黒ローブの男達は顔を見合わせた。
黒ローブA「合っていると思うよ。でも、君、一人での旅なのかい?」
少年「あ、はい。一応、剣は持ってます」
黒ローブA「そう・・・・・・。でも、危険だなぁ。そうだ。
良ければエーシェスの近くまで送ろうか?」
少年「え・・・・・・いいんですか?」
黒ローブA「うん、君さえ良ければ-だけど」
少年「え、ええと・・・・・・」
黒ローブA「ああ。そっか、こんなローブしてたら怪しいよね。
      俺はクオーツ、こっちはカポル。冒険者をして
      いるんだ」
 そう言って、クオーツは頭のローブを降ろし、一級ギルドの
証明書を見せた。
少年「す、すごい・・・・・・」
クオーツ「二人だけの小さなギルドだけどね。あ、カポル。
     エーシェスの方へ行くのに、問題あったかな?」
カポル「いえ。クオーツさん-の行かれる所が、オイラの行く
    所ですから」
 との二人の-やり取りを初年は、ぼんやりと見ていた。
少年(でも、クオーツさん、何て綺麗なエルフのヒトなんだろう。
   それに何て気品に満ちているんだろう。このヒトは
   本当に、ただのヒトじゃないんだろうなぁ・・・・・・)
 と、予感していた。
クオーツ「ありがとう、カポル。あ、それで、君の名前は?」
 と、クオーツは少年の方を向き直って言った。
少年「え、えっと、カインです」
クオーツ「そう。カイン、どうかな?」
カイン「ええっと、じゃあ、途中まで-お願い出来ますか?
    実は僕、地方から出てきた-ばかりで、その、右も
    左も分からなくて。街のヒトの話じゃ、ここらは
    夜盗も出るって話ですし」
クオーツ「ああ、みたいだね。じゃあ、よろしく。カイン」
 そう言って、クオーツは微笑(ほほえ)み、手を差し出すのだった。
カイン「あ、はい。よろしく-お願いします」
 そう言って、深々と頭を下げて、カインはクオーツの
手を握るのだった。
 そして、3人は港町エーシェスを目指すのであった。

 ・・・・・・・・・・
 大海原を漁船が()を張り、進んで居た。
 その甲板の上を、ゴブリンの少女レククと、小人族のモロンが
駆け回っていた。
トゥセ「いやぁ・・・・・・のどかっすねぇ」
 と、ダーク・エルフのトゥセは(つぶや)いた。
ヴィル「だな」
 と、ヴィルは釣りをしながら答えるのだった。
アーゼ「団長、釣れますか?」
ヴィル「いや、全然。っと、言ってるそばから、かかったな」
 そして、ヴィルは魚との格闘を始めるのだった。
 一方で、カシムは黒猫から変化の術を教わっていた。
トゥセ「おーい、カシム。術は-ちゃんと身に付けたのか?
    前みたいなのは-ごめんだぜ」
カシム「あ、はい。大丈夫そうです。ただ、後、数日、
    きちんと極めますので。お待ち下さい」
 そう答え、カシムは術に没頭するのだった。
 一方で、ドワーフのギートは筋力を(きた)えていた。
トゥセ「はぁ・・・・・・これから-どうなるんだろうな。俺達」
アーゼ「まぁ、なるようにしか、ならないさ。なんなら、
    引き返すか?」
トゥセ「冗談。ここまで来て、それはねーぜ」
アーゼ「なら、俺達も鍛錬(たんれん)するか?」
トゥセ「しゃあない。確かに、このまま(なま)けてて体が
    (にぶ)ったら、上陸してから面倒だしな。おーい、
    ギート。俺達も混ぜてくれ」
 とのトゥセの言葉にギートは二カッと顔をほころばせ、
口を開いた。
ギート「うむ。なら、今回は特別鍛錬(たんれん)とするかの」
 そして、トゥセとアーゼもギートの横で筋トレを始める
のだった。
 それを茶猫のケシャは、ぼうっと(なが)めていた。
ケシャ「・・・・・・ムサい・・・・・・です」
 と、ボソッと(つぶや)くのだった。

 ・・・・・・・・・・
 一方で、()しくも剣聖シオンの一行も、船に乗り、大河を
下っていった。
 映り変わる風景をシオンは甲板から(なが)めていた。
 すると、ダーク・エルフのフォウンが後ろから近づいて来た。
シオン「フォウン、どうした?」
フォウン「剣聖様は何を見ているのかと思ってね」
シオン「はは。別に、何も見ては居ないさ。()いて言うなら、
    この国を見ていた。かつて、騎士達が命を懸けて-
守った-この国を・・・・・・」
フォウン「大戦の面影(おもかげ)は残ってないわね・・・・・・」
シオン「それが嬉しいのさ」
フォウン「そうね・・・・・・」
 そして、二人は黙って景色を(なが)()っていた。
シオン「ところで、娘のフィナちゃんに手紙を書いておかなくて
    平気かい?それと-お母さんにも」
フォウン「私達は人間と違って、割り切って居る所が-あるから。
    旅に出たら、基本、戻って来れないモノと考えて
    いるのよ」
シオン「そうか・・・・・・」
フォウン「シオンこそ、手紙を書かないの?騎士って出撃前
     に遺書を残すモノでしょ。もっとも、シオンには
     そんなモノ必要ないでしょうけど」
シオン「昔、遠縁の親戚(しんせき)に向けて、書いた事が-ある。でも、
もう必要ないかな。
俺にとり、このギルドが家族だから」
フォウン「フフ、なんか嬉しいわね」
 そう言って、フォウンはシオンの腕に手を(から)ませた。
シオン「フォウン?」
フォウン「ねぇ・・・・・・シオン。本当の家族に私達-なれない
     かしら?つまり、シオンと私の子供を・・・・・・」
シオン「・・・・・・フォウン、悪いけど俺は」
 との言葉に、フォウンは手を放した。
フォウン「まぁ、いいわ。あんまし、(あせ)っても-しょうがないし。
     でも、私、最低でも子供は二人-欲しかったのよね。
     フィナも弟が欲しいって言ってた事あったしね」
 と、フォウンは-おどけたように言った。
シオン「そ・・・・・・そうなんだ・・・・・・」
 と、シオンは-どぎまぎしながら答えるのだった。
 すると、他のパーティ・メンバー達が甲板に出てきた。
細身「おーい、お前ら、飯やぞー」
 と、細身の男は手を振って言った。
シオン「だってさ」
フォウン「残念。行きましょう」
 そして、二人は船内へと入っていくのだった。

 ・・・・・・・・・・
 その頃、街道を一人のダーク・エルフの少女が歩いていた。
 そこは、片面が(がけ)となっており、道は狭く、少し前まで
落石により通行止めとなっていた場所だった。
少女「さぁって、剣聖シオンさん-のギルドは、この先の街
   に居るって話だし。あと、ちょっと、あと、ちょっと。
   ふふっ。フォウン-お母さん、驚くかなぁ」
 と(つぶや)き、ダーク・エルフの少女フィナは歩みを早めるの
だった。

 ・・・・・・・・・・

+注意+
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