第3話
裸の王様はいつでも元気。
毎日のように人々にその鍛え上げられた肉体を見せてまわっています。
そして今日は王様主催の肉体コンテストの日。
肉自慢たちが集まって、その肉の美しさを競うコンテストです。
そこで王様は、全ての賞を独占しました。
ちなみに、参加者は一人だけでした。
その様子を水晶球を通して見ている人物がいました。
「ふ……今のうちに笑っておくがいい」
城の近くを流れる川を支配する川の魔王でした。
川の魔王は、以前から王様の肉体の事を邪魔だと思っていました。
「ふん、奴さえいなくなれば私がNO.1だ」
川の魔王は一計を案じました。
毒入りのプロテインを摂取させて、王様を亡き者にしようというのです。
「ふふふ、森の魔王の轍は踏まぬ……」
川の魔王は、その鍛え上げられた肉体を、大きめのフードとマントですっぽり覆ってしまいました。
「ふん、最後に笑うためにこの程度は我慢せねばな」
不敵に笑う川の魔王は毒入りプロテインを持つと、王様の城へむかいました。
城下町を歩く川の魔王。
夏真っ盛りの焼け付くような日差しの中、呼吸も荒く全身を黒い布で覆った姿は街ゆく人々の不安を無駄に煽ります。
川の魔王が城下町を歩き出してしばらくの後、市民の知らせを受けた衛兵がやってきました。
「そこの君! ちょっと待ちたまえ!」
衛兵が川の魔王のマントを掴みます。
「何をする! 私を誰だと思っているんだ!」
「いいからこっちに来なさい」
川の魔王は威厳を込めた声で威嚇しますが、衛兵は特に動揺する事無く連行しようとします。
魔王としてのプライドを傷つけられた川の魔王は、マントを脱ぎ捨ててその肉体をあらわにしました。
「この私の肉体に許可無く触れることは許さん!」
「分かったからちょっとこっちに来なさい」
剥き出しになった魔王の肉体にすら動じない衛兵の様子に、川の魔王は怒りを覚えました。
「おのれ……ならば私の本当の肉体を見せてやろう! プロテインを摂取した後、ベンチプレス100回とスクワット200回行う事により発現する我が肉体の真なる威力におののくがいい!」
そう言うと川の魔王は持っていたプロテインの缶を開けて、手づかみで摂取し始めました。
死にました。 |