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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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お祭りの準備



 新しい村作りは順調に進んでいるらしい。

 順調でないのは、お祭り実行委員会だ。

「とりあえず、どこかのお祭りをそのままするのが一番かと」

「変に混ぜても、誰も喜ばないと思います」

 お祭り実行委員会内で、時には武力を持って長く話し合われた結論だ。

 素直に各地のお祭りの名前を書き、クジで決める。

 もっと早く思いつけば良かった。

 俺はこういうの多いなぁ。

「武闘会?」

 引いたクジには、そう書かれていた。

 ……

 武闘会ってお祭りなのか?

 誰が書いたんだ?

 よりにもよって、なぜこれを?

 やり直しって出来るかな?

 色々な思いがあるが、クジは高い紙を使って作った。

 一発勝負、文句無しの決意表明の為にだ。

 だから、お祭りの内容は決まった。

 武闘会だ。


 武闘会をすると村中に知らせた直後から、村の雰囲気が変わった気がする。

 いや、多分、本当に変わった。

 外で武術の練習をする者の数が増え、活気が出てきた。

 同時に、ルーやティア、フローラが治癒魔法を使う回数が増えた。

 フラウや文官娘衆が早朝に集まって、ランニングっぽい事を始めた。

 リザードマンの何人かが、森に入って狩りの手伝いをしている。

 グランマリア達の飛行速度が、いつもより二割ぐらい速い気がする。

 ドワーフ達は水を入れた酒樽を持ち運びし、身体を鍛え始めている。

 ここまでは良い。

 ここまではまだ許容範囲だ。

 だが……

「ちょっと実家で鍛えてくるね」

 ハクレンがそう言ったので、思いっきり止めた。

 参加する気か?

 そう聞く勇気が無かったので、審判役を押し付けた。

 不満そうだったが、俺は武術系はさっぱりだし、強い者が審判をしてくれたら助かるとの説得に応じてくれた。

 次の問題が……

「ちょっと実家で鍛えてくる」

 ハクレンと同じ事を言うラスティだ。

 参加する気なのだろう。

 審判役はハクレンに任せた。

 ラスティには……

 何も思いつかない。

 …………!

 審判が二人居ちゃ駄目って事は無いだろう。

「私も戦いたい」

 駄目だった。

 考えろ。

 考えるんだ。

 ……………………………………!!

「ラスティって、ハクレンと戦った事はあるのか?」

「もちろん。
 でも、勝った事はないけど」

「その時はドラゴンの姿か?」

「そうだけど」

「人間の姿で戦った事は?」

「ないかな?」

「そうか。
 じゃあ、お前とハクレンに、人間の姿での模範試合を頼みたい。
 ハクレンも構わないか?」

「模範試合?」

「ああ、戦いの見本だな。
 流石に模範試合をした達人は、本戦には遠慮して貰うけど」

 達人と露骨に煽てて見た。

「達人……私は良いわよー。
 でも、ラスティちゃんが嫌がるんじゃないかなー」

「達人……私も構わないわ。
 ハクレンお姉様が相手なら、受け止めてくれるだろうし」

 二人共、ありがとう。

「よし。
 じゃあ、ラスティとハクレンで模範試合を頼む。
 ああ、審判の方もしっかり頼むぞ」

「はーい」

「わかったわ」

 よし。

 心の中でガッツポーズをしながら、難題をクリアした達成感に浸る。

 さて……

「久しぶりに貴女を殴れるのね。
 腕がなるわ」

「久しぶり過ぎて、その腕が腐ってないと良いですね」

 ルーとティアが口での前哨戦を始めている。

 武闘会に向けて気合を入れるのは構わないが、アルフレートやティゼルを抱きながらは止めて欲しい。

 武闘会前に暴発しないように、注意しよう。



 武闘会は、一般の部、戦士の部、騎士の部の三部門で実行される事になった。

 一般の部は、そのまま一般の部門。

 戦いを生業にしない者として、フラウ、文官娘衆、獣人族が参加する。

 戦士の部も、そのまま戦士の部。

 戦いではないが、狩りで森に入る者達が参加する。

 主な参加者はハイエルフ、鬼人族、リザードマン、ドワーフ、山エルフ。

 騎士の部は、戦士の部の上位部門。

 村長権限で選ばれた者達だけが参加資格があるとした。

 参加者はルー、ティア、グランマリア、クーデル、コローネ、ハイエルフのリア、鬼人族のアン、リザードマンのダガ、悪魔族のブルガとスティファノ。

 悪魔族の二人の強さは知らなかったが、ドラゴンのお世話係が弱いわけがないらしく、自薦他薦が揃ってこちらの部門になった。

 騎士の部門に参加するのがあと二名。

 クロ達の中で予選が行われ、勝ち抜いたウノ。

 雌は妊娠している者が多く、予選は雄のみで行われたらしい。

 ウノが雄最強なのか?

 クロは負けたのか? それとも最初っから不参加なのかな?

 もう一名は、ザブトンの子供達の中で選考会が行われ、選出された畳半畳ぐらいの蜘蛛。

 成長して大きくなったが、ラミア達の居るダンジョンに潜った猛者の一匹だそうだ。

 名前無しだと武闘会の時に困るかなと名付ける。

「ザブトンに比べ、丸みがあるから……マクラだ」

 俺にネーミングセンスは無い。

 本人が喜んでいるから良いじゃないか。


 審判にハクレン、ラスティ。

 表立って不参加なのは、フローラぐらいだろうか。

「いいのか?」

「一人ぐらい治癒魔法に専念しないと、マズいと思わない?」

「……悪いな」

「別の機会に返して貰うから気にしないで。
 それより、村長は参加しないの?」

「出ると、周りが気を使いそうだから」

「あはは。
 確かに」

 俺は村長として、武闘会の運営に全力を傾けるつもりだ。


 その全力が今。

 俺は居住エリアの南側の森を削って広げている。

 武闘会の会場を作る為だ。

 最初は居住エリアの中でやるつもりだったが、みんなの気合の入り方で少し怖くなったので急遽の新設だ。

 戦いの場は、二十メートル四方の四角い舞台。

 周囲より五十センチほど高くし、舞台は硬すぎず、柔らか過ぎずに固めたり、耕したりして調整する。

 出来るだけ怪我はないようにしたい。

 舞台から出た時を考え、舞台の周囲は極端に柔らかくしておく。

 舞台の一方向を、出場者の待機場所にし、残り三方向を観客席で取り囲もうと考える。

 観客席は地面に直座りで良いかと思ったが、遠くに座ると見難くなってしまう。

 さらに武闘会は一日掛ける予定なので食事が出る。

 食事しやすいように、それなりの観客席が必要だと思い、作る。

 作るが椅子を一脚一脚作るのは手間が掛かり過ぎるので、手を抜く。

 それなりの大きなの木を横に倒し、上面の皮を削ってそのまま長椅子にした。

 舞台傍から奥に向けて木の直径を大きくする事で、段差も出来る。

 通路スペースを忘れずに取ると、それっぽくなった。

 うん、会場。

 後は少し離れた場所に、調理スペース。

 さらに飲食スペースも必要か。

 むう。

 丸太を輪切りにした簡単テーブルと、簡単椅子で許して貰おう。

 ああ、トイレも必要だな。

 多めに作るぞ。

 スライムの確保を忘れないようにしないとな。

 なんだかんだでそれっぽい感じの会場が出来上がった。


 さあ、祭りが始まる。



 予定外。

 ドライム、ドライムの奥さん、ドース、ライメイレンが観戦に来た。

 娘の発表会を楽しみにしている親という感じだった。

 ビーゼル、ユーリが見知らぬイケメン中年を連れて観戦に来た。

 フラウや文官娘衆の応援だろうか。

 ルーのお爺ちゃんである始祖さんが、いつの間にか観戦席に居た。

 ドースと見知らぬイケメン中年、始祖さんが和やかに会話している。

 知り合いだろうか。

 見た感じ、見知らぬイケメン中年が少し立場が弱いみたいだ。

 南のダンジョンからラミア族が六名、参加にし来た。

 戦士の部と騎士の部を希望したので受け入れた。

 ハウリン村から、いつの間にかドライムと相談して運んできてもらったガルフと他三名が参加しに来た。

 ドラゴンにビックリしていたとか聞いたのに、慣れたね君達。

 ……まあ、作物を運ぶドラゴンを見ていれば慣れるか。

 こちらは全員が戦士の部を希望したので受け入れた。

 武闘会の事は極秘にしていないから、何かの連絡の際に洩れたのだろう。

 極秘にするべきだったか?

 いや、祭りは賑やかな方が良い。



 予定外はあったが、祭りの始まりだ。

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