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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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教会とピアノ



 某国、中央神殿。

「おおっ。
 宗主様。
 お帰りなさいませ」

「久しいな」

「はい。
 五十年ぶりでございます」

「そうか。
 今はお前が神殿長か?」

「はい。
 三十年ほど前に選出されました」

「お前は信心深かったからな。
 まあ、妥当な人選だろう」

「ありがとうございます」

「何か変わった事は?」

「ございません。
 ここはいつも通りでございます」

「そうか。
 それは喜ばしいが、今日は変化がある」

「どういった変化でございましょうか?」

「本殿に、私の持って来た像を祀って欲しい」

「……新しい像ですか?」

「ああ、一番良い場所に祀って欲しい」

「一番良い場所となりますと、ツールークの創造神像を移動させる事になりますが?」

「そこに頼む。
 ……ふふふ。
 そう不満そうな顔をするな」

「失礼しました」

「不満はわかる。
 だが、私の持って来た像を見れば、考えが変わるだろう」

「……それほどですか?」

「でなければ、私がわざわざ来ると思うか?」

「確かに。
 設置の手配を致します」



 数日後、大陸で最も古く権威のある神殿で盛大な祭りが行われた。

 祭りの理由は不明。

 ただ、祭りの規模は最大。

 本殿に入った者全てが涙したという噂だけが流れた。



「彫刻師を聖人指定する事にしましょう」

「悪いが、それはできない。
 本人は目立つ事を嫌っているようだしね。
 私達からの聖人指定など、逆に迷惑になるだろう」

「むう。
 それは残念です」

「だが、影ながら応援する程度なら問題あるまい」

「確かに。
 流石は宗主様」

「だろう。
 各支部に伝えよ。
 そして、決して敵対してはならん」

「ははっ」



「村長、盛大なクシャミをしましたが大丈夫ですか?」

「あ、ああ。
 自分でもビックリした」

 神様から【健康な肉体】を貰ってから、クシャミは初めての経験だ。

 まあ、生理現象だから健康な肉体でもクシャミぐらいはするか。

「それより村長。
 早くピアノを設置しましょうよ」

「そうだな」

 始祖さんが帰った後、ピアノが送られて来た。

 彫刻の代金は、完成した後でと思っていたのだが、神様を売ったような気分になりそうだったので断った。

 払う、受け取らないで少し揉めたが、アルフレートとティゼルの誕生祝いという事で話が落ち着いた。

 その誕生祝いが、ピアノ。

 俺は素直に喜んだが、フラウや文官娘衆は顔を引きつらせていた。

 ピアノは高級品と聞いていたから、それでだろうか?

 ともかく、貰った品なので遠慮なく使わせてもらう。

 設置場所は、色々と話し合った結果、宿の食堂になった。



「あのピアノ。
 グラゾール師のピアノよね。
 世界に三台しかないと言われている……」

「ええ。
 刻印を確認しました。
 本物です」

「大きな教会とか神殿に置かれる系?」

「大きな儀式の時にしか使わない系のヤツです」

「……こ、刻印は見なかった事にして、弾かせてもらう?」

「そ、そうですね。
 滅多にない機会ですし……いや、普通に生きていたら一生無い機会ですから」

「この事、知ってるのは?」

「確定はフラウレムさん。
 後は……ルーさんやティアさん達は知っていてもおかしく無いかと。
 ラスティさんやハクレンさんはどうでしょう?
 意外な所で、山エルフやエルダードワーフ達も知っているかもしれません」

「結構、多いわね」

「ですね。
 となると……」

「弾けるうちに弾かせてもらいましょう」

 新しく来たピアノは人気だった。

 色々な人が弾きたがった。

 まあ、上手いのは一部で、大抵の者は音を鳴らす程度だったが……


「もう一台?」

「れ、練習用にお願いします。
 ボロボロの物で構いませんから」

「私達の精神安定の為に、お願いします。
 あのピアノで練習はちょっと……」

 何人かの有志で集めた褒賞メダルが差し出されたが、ちゃんとした理由があるなら褒賞メダルは不要と返した。

 褒賞メダルで意見が言い易い環境になったとは思うけど、褒賞メダルを出さないと意見が通らないと思われるのは困るなぁ。

 何か手を考えよう。

 ともかく、マイケルさんにお願いしてピアノを一台、購入する事になった。

 中古品だったが、良いお値段がした。

 娯楽品は高いのだろう。


 ちなみに、始祖さんのピアノの輸送はスイレンの旦那のマークスベルガークだった。

 生まれた時に色々とお世話になったらしく、始祖さんに頼まれたら断れないそうだ。

 お土産に作物を渡しておく。



 ラスティとハクレンが、北のダンジョンに向かった。

 ダンジョンに住む大きなヘビ、ブラッディバイパーを倒しその肉を手に入れる為にだ。

 同行者に、前回と同じ規模の調査隊。

 ラスティとハクレンだけでも大丈夫だろうが、現地で協力してくれた巨人族の事を考えると顔見知りが一緒に行かないと危ない気がした。

 不幸な争いは無い方が良い。

 なんだかんだで、ラスティとハクレンは暴れん坊だからな。

 ……

 ブレーキ役に誰かを送り込みたいが、あの二人のブレーキになる者など居ない気がしたので諦めた。

 代わりに、同行するハイエルフに、二人が問題を起こしたら報告するように密命を与えておいた。

 問題は無かった、との報告が聞きたい。


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