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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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お祭り実行委員会と楽器



 運動会実行委員会は解散し、新たにお祭り実行委員会が設立された。

 メンバーは同じく俺と文官娘衆。

「飾りを持ち上げて、練り歩く? 目的地があるワケではないのですか?」

「トマトをぶつけ合う? 食べ物を粗末にするのはちょっと……村長もそうですよね」

「牛に追いかけられる? 意味がちょっと……」

「坂を転がる食べ物を追いかける? えっと……」

 お祭りを口で説明しても、理解されない事を理解した。

 まあ、そうだよな。

 うん、そうだよね。

 お祭りなんて究極の内輪行事であって、外部の者が見ても変な事をやってるなぁって感じになるよな。

 じゃなかったらTV番組になったりしないよな。

 第一、俺が説明したのは奇祭系。

 やらなきゃいけないのは普通のお祭り。

 前の世界では普通だった盆踊りとか。

 ……

 それは俺の常識だから、文官娘衆が知っているお祭りをするべきだな。

「お祭り……新年を祝うお祭りと、収穫を祝うお祭りがありますね」

「そのお祭りで何かやってるんだ?」

「そうですね……」

 はい、同じ失敗をしました。

 お祭りを口で説明されても、理解できません。

 飲み食いする部分は理解できたけど、お祝いの為の行動が理解不能。

 それがこの世界の標準なら、文官娘衆に完全委任するのだが、どうやら違うらしい。

「私の所じゃ、ピョッピョは街の中心から出て、お金持ちの家を襲撃するよ」

「ピョッピョは穴を掘るだけでしょ。
 襲撃するのはムームー」

「えー、ムームーは食べ物でしょ?
 どうやって襲撃するの?」

「闇討ち」

 お祭りは地方で微妙にというか大きく違うらしい。

 まあ、そういうものだな。

 それよりも問題は……

「統合できる?」

「厳しいかと」

 お祭り実行委員会の未来は暗い。

 一旦、中断。



 村で歌う人は多い。

 食後、仕事中、仕事の合間、結構賑やかだ。

 しかも、上手い。

 かなり上手い。

 俺は歌に関しては欠片も自信が無いので、嫉妬するぐらいに上手い。

 しかし、村に歌はあっても楽器は少ない。

 楽器は生活に余裕がある者が持つ物だからだ。

 だから、村に存在する少ない楽器も、実用的な鐘ぐらいなもの。

 音楽を楽しむ為の物はない。

 その事を知っていたが、運動会やお祭りのBGMの事を考え、再認識してしまった。

 なので、俺は楽器作りを始めた。


 まず、笛。

 ……

 音が鳴らなかった。

 穴を開けただけじゃ駄目か。

 というか、穴の数っていくつだっけ?


 ハープ。

 ……

 弦って何本だっけ?


 木琴。

 ……

 ポコポコとした音がする。

 イメージしたのは、ポーンという音。

 叩く木の種類や長さとかで調整するのかな?


 思い切って、ギター!

 ……触った事もない楽器を作るのって無理じゃないかな。

 形だけ作ると、文官娘衆の一人からリュートと言われた。

 リュートはファンタジー系の物語に出て来るギターみたいな楽器だったと思うが、そっちになってしまったか。

 まあ、どっちにしろ、音は綺麗に出ていない。


 音。

 とりあえず、音が出れば良いと考えて太鼓。

 ……

 良い感じのサイズの丸太の中身を削り、空洞にする。

 両端に布を張って……布じゃイマイチだったので、皮を張る。

 皮はザブトンが木の上に溜め込んでいたコレクションの中から、程良い物を提供して貰った。

 だからか、良い音がした。


 ふふふ。

 やっとまともな音を出す楽器が完成。

 よーしよし。

 この方向で頑張るぞ。

 ……

 俺は【万能農具】を手に、一心不乱に木に向かい合った。

 なぜか木魚が出来た。

 悔しいが、これまでで一番良い音を奏でてくれる。

 ははは。

 才能の限界。

 村の住人に協力を求めよう。

 楽器を知っている者は……聞くまでもなかった。

 俺が楽器作りをしている時、やたらと周囲をうろうろしていたハイエルフ、山エルフ、そして文官娘衆達。

 俺は彼女達に意見を聞きながら、楽器製作に励んだ。

 正確には、彼女達の指示に従いながら、楽器製作に励んだ。


 大小各種の笛。

 縦笛よりも横笛の方が好まれた。

 ハープ、リュート、ギターっぽい物、三味線っぽい物、琴っぽい物。

 楽器の形や弦の数で名称が色々変わるので覚え切れなかった。

 木琴、鉄琴、太鼓にマラカス。

 俺は細かい事を考えず、指示される通りに材料を作る。

 他の者達がそれを組み立て、音階を揃えていく。

 なるほど、普通に壷や樽の片面に皮を張るだけで、音の違う太鼓が出来るのか。

 言われればそうだと思うが、思い付かなかった。

 木琴を考えたのに鉄琴に発想がいかないとは……

 悔しい。

 悔しいので、何かないかとタンバリン、カスタネット、トライアングルっぽい物を作ってみた。

 残念ながら、すでにそれっぽい楽器は存在しているらしいが、新しい楽器の登場に文句を言う者などいなかった。


 詳しく聞けば、ピアノっぽい物も存在するらしいが、ギミックが難しいので製作は断念。

 今度、マイケルさんに相談して手に入れて貰おうか。

 俺は弾けないが、誰か弾けるだろう。

 まあ、それは後の話として、なんだかんだで楽器が出来た。

 楽器が出来たら、次は演奏だ。

 楽器製作に協力してくれたハイエルフ、山エルフ、文官娘衆の演奏は優秀だった。

 ハイエルフは管楽器。

 山エルフは打楽器。

 文官娘衆は弦楽器と、得意なパートが分かれていて良かった。

 楽器を触った事も無い者達への指導も、問題なく出来ている。

 楽器を配ろうかと思ったが、村共有の財産として俺が一括管理し、貸し出す形になった。

 貸し出す形だが、いちいち回収したりしないので問題なし。

 村人は積極的に楽器に触れ、指導を受けた事によって、村では音楽が絶えなくなった。

 良い事だ。

 ……

 三日目ぐらいまでは。

「流石に、夜も音楽を流し続けるのはどうなんだろう?」



 村での楽器演奏は、決められた時間のみ。

 日が暮れてからは基本的に禁止となった。

 全面禁止じゃないのは、晩食の時、宴会の時はOKだからだ。

 何事も、適度に楽しんで欲しい。


 ちなみに、アルフレートとティゼルが居る部屋には防音の魔法が掛けられており、静かだった。

 俺の注意が遅れた原因でもある。


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