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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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犬達との生活


 朝。

 倉の中には新しい生命が四つ、生まれていた。

 オスの犬やメスの犬と同じような真っ黒の子犬が四匹。

 メスの犬は苦労したのだろうが、あっさりした出産に感じてしまう。

 TVとかの影響を受け過ぎだろうか。

 仕方が無いじゃないか。
 病室で寝ている時、TVを見るぐらいしか出来なかったんだから。

 ともかく、メスの犬も無事そうだし、良かった良かった。

 さて、朝食だ。

 とりあえず、出産祝いだ。

 昨日確保した猪肉の良い部分を犬にやろう。

 オスの犬を呼んで肉を渡すと、メスの犬の所に持って行く。

 まさか、尻に敷かれているのではなかろうな。

 いやいや、女性を気遣うのは男性としては普通だ。

 ましてや出産を終えた女性となれば、当然の行為だろう。

 倉の中のバケツに飲み水を補充し、倉の中の焚き火に木を追加する。

 消火すべきか悩んだが、火が邪魔なら犬達が何かアクションを起こすだろう。

 朝の段階で何もされていなかったから、問題無しと判断する。

 が、生まれたての子犬がヤケドをしても申し訳ない。

 火を囲うよう土で囲い作る。

 さらに囲炉裏感が増した。

 そして、自分の分の朝食。

 トイレ。

 ……そう言えば、二匹の身体が傷だらけだったと思うが大丈夫なのだろうか?

 オスの犬の身体を見ると、確かに傷だらけだが、治り掛けている。

 昨日の段階では遠目にもわかったのだが、治癒力が高いのだろうか?

 ともかく、問題が無いなら構わないか。

「俺は食料を探しに行く。
 ここは任せたぞ」

 俺はオスの犬にそう言って、森に向かう事にした。

 あの二匹に猪肉を分けたので、食料予定が変わった。

 兎肉がまだあるが、保存方法が焼くだけなので備蓄も心もとない。

 俺は【万能農具】でなんとかなっても、二匹は困るだろう。

 まあ、俺の所に来るまで生きてきたのだから、なんとかするのかもしれないが……

 待て。

 俺はあの二匹……生まれた子犬を含めて六匹を完全に飼うつもりで考えているが、向こうはどう思っているのだろうか。

 出産の為だけに俺の元に来ただけで、子犬が育ったら出て行くつもりだろうか?

 そうなら少し寂しい。

 子犬、かわいかったので一匹は置いていって欲しいなぁ。

 無理だろうなぁ。

 いやいや、待て待て。

 出て行くと決まったワケじゃない。

 とりあえず、あの場所が良い場所だと思わせよう。

 そして、出来れば俺の畑を守る手伝いをしてもらえると助かる。

 その為には……食料を確保して、主人としての甲斐性を見せるとしようじゃないか。


 子犬が産まれてから、十日経過した。

 犬二匹と子犬達は、俺の心配を余所に完全に俺の世話になる気満々だった。

 それなりに世話をした結果だと思いたい。


 驚いた事、その一。

 親犬の二匹は、俺の作った丸太柵や掘を軽く飛び越えられる。

 合わせて三メートルぐらいの距離どころか、五、六メートルぐらいジャンプしている。

 最初に来た時に飛び越えて来なかったのは、怪我の所為か、身重のメスの犬に配慮していたからなのか……
 まあ、親犬達は勝手に動き回り、森に入って兎などを狩って来る。

 そのまま食べず、俺の前に持ってくるのは、一応は主人として認めてくれたのだろうか。

 それとも毛皮を剥げと命令されているのだろうか。

 まあ、食料確保をしてくれるのは助かる。

 あと、少し不安になったので掘の幅と深さを広げておいた。

 それでも親犬達は気にせずに飛び越えているけど……


 驚いた事、その二。

 子犬達の成長速度。

 子犬達の身体は凄く大きくなっている。

 最初の頃は小さくて可愛らしかったが、七日ほどで乳から離れ、親犬と同じように肉を食べるようになった。

 よく見れば、歯が生え始めており、牙のような犬歯も姿を見せていた。

 だが、まだ可愛い感じを維持している。


 驚いた事、その三。

 犬達は親も子も、俺の畑を守ってくれた。

 正確には、畑に近付いた鳥を追い払っていた。
 また、怪しい虫を見つけた時は、吠えて俺を呼んでくれる。

 頼もしい。

 あと、少し心配していた犬達の排泄だが、場所を指定すればそこでするようになったのでありがたかった。

 この犬達、知能が高いのかもしれない。


 さて、俺は子犬達が産まれてからの十日は、食料確保と、新しい倉の建設に従事していた。

 食料確保は食い扶持が増えたからで、倉に関しては最初の倉を犬達が完全にマイホーム扱いしているので、犬小屋に転職させる事にしたからだ。

 食料確保は【万能農具】のお陰で苦労はしなかった。

 倉作り二回目は、経験を積んでいるので、さらにしっかりした物になったと胸を張りたい。

 ……

 こっちの方が生活しやすいかな?

 木の幹に作った寝床は、本当に穴だしな。

 木の中だから、火を使えないという弱点がある。

 今までの寝床を倉にして、こっちを俺の新しい寝床にすべきか。

 検討……新しい倉の地面に木板を並べて床を作り、こっちに住む事にした。


 後は畑の様子を見ながら、木材の確保と小物の製作に励んだ。

 特に小物……皿とコップを重点的に作った。

 これまでは俺の使っていた皿やコップは、犬達用になったからだ。

 これも最初の頃に比べれば、格段に上手く作れるようになった。

 売れるんじゃないかってレベルだと思う。

 しかし、それで満足せずに今は木を組む事に挑戦中だ。

 これまでは木材を削る加工しか出来なかったが、それで出来た物は少し重いという欠点がある。

 皿やコップはそれでも構わないが、水を保管する為のバケツのような物は重いと使い難い。

【万能農具】で引っ掛ける事で軽くはなるが、なんでもかんでも【万能農具】に頼るのはよろしくない。

 木を組む事が出来れば、軽量化を図れるだろう。

 最終目標は桶として、とりあえず練習としてマスを作っている。

 水漏れしないようにするには、どうしたら良いのだろうか。


 他にしているのは、葉の確保。

 主な利用方法は、トイレのお尻拭き。
 次にベッド。

 トイレのお尻拭きとして最初に集めた草はカブれない事がわかったので、それなりにキープする。

 森に入れば、これでもかと生えているので探す苦労は無い。

 そして藁のベッドならぬ草ベッドの為の葉だが、予想以上に集めなければならない事に驚いた。

 重くは無いが、刈った場所から寝床に運ぶのはかなりの労働だった。

 しかし、その苦労の成果は素晴らしい。

 ちなみに、一番最初にベッドにありついたのは子犬達だ。

 流石に火の傍に草ベッドは怖いので、犬小屋に用意した焚き火は片付けた。

 元々は出産用だったし、今は草ベッドがあるから寒い事は無いだろう。

 後はこの草ベッドがどれだけ持つかだな。

 枯れたら入れ替えないと駄目だろうけど、また集めなければならないと思うと少し憂鬱になってしまう。

 なんとかならないものか。


 畑の芽の成長は良く、早い物ですでに花を咲かせ始めている。

 ちなみに、何が育っているのか予想が出来始めた。

 ニンジン、ジャガイモ、キャベツ、トマト、カボチャ、キュウリ、ナス、ダイコン、ほうれん草、トウモロコシ、スイカ、イチゴ。

 畝を作っている時に想像していた作物だ。

 畝を作っている時に願えば、その作物が育つのだろうか?

 実験してみたいが、とりあえずは目の前の作物が収穫できるまで手は広げない。

 なにせ、今ある作物達を育てた事など無いのだ。

 水をやって良いのか悪いのかすらわからない。

 しかも、俺の知っている作物は、こんなに早く花を咲かせない。

 つまり、この世界独特の植物かもしれないのだ。

 なので、畑の一面をさらに区分し、水をやる、畝の周囲を【万能農具】のクワで耕して肥料を与える、水も肥料も与える、何もしないとやってみた。

 後はそれぞれの収穫具合でどうすれば良いかの予想をつけよう。


 全ての作物に共通でやったのは虫退治。

 農薬の作り方など知らないので、最初は火で炙ろうかと考えたが、作物への影響を考えると実行できなかった。

 色々と考え、虫が嫌がったのは【万能農具】をジョウロに変化させ、それで撒いた水だった。

 最初は作物に水を与えるつもりだったのだが、その際に虫が嫌がるのを発見したのだ。

 以後、害虫っぽい虫を見つけた時は【万能農具】のジョウロで水を与えて排除した。

 ちなみに、犬達は虫を食べようとは一切しなかった。

 獣の肉が良いらしい。
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