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代官と娯楽



 魔王の城


「魔王様。

 お呼びですか?」


「よく来たビーゼル。

 少し聞きたいことがあってな」


「なんでしょう?」


「お前、娘を大樹の村に行かせたと聞いたが、本当か?」


「はい。

 事実です」


「それはどういった意図だ?」


「代官としてです」


「代官?」


「はい。

 あの村に関しての管理は、この私に一任されております。

 代官を送るのは普通のことかと」


「そうかもしれんが……他に人材は居なかったのか?

 私の娘が寂しがっておってな」


「申し訳ありません。

 あの村の扱いを間違えますと、魔王国領に大きな影響があります。

 また、最悪の場合に責任を取れる者として私の娘を選びました」


「……わかった。

 お前の娘がこちらに戻った時は、私の娘に会いに行くように伝えてもらえるか」


「承知しました」





 大樹の村


「ということで、お前はこの村の代官になったから」


「お父様とは言え、ふざけたことを言うなら絞めますよ」


「絞めるってお前」


「ふざけていないなら、私がこの村の代官なんて言えません」


「慌てるな。

 それは魔王国領に関してのポーズだ。

 実際にこの村で代官として振舞えとは言わない」


「……つまり?」


「フリをするだけだ。

 別にこの村を支配したいわけじゃない。

 できればいいが、無理だろ?

 わかってる。

 とりあえず、村長に話をしておこう。

 変な誤解を受けたら困るからな」




「フラウがこの村の代官?」


「ええ。

 魔王国として将来有望な娘を遊ばせるワケにはいかないと……もちろん、ここで遊んでいるワケじゃないのはわかっているのですが。

 ともかく、魔王国側へのポーズとしてフラウを代官として認めてもらえませんか」


「認めるぐらいなら構わないが……」


「この村にもメリットがあります」


「メリット?」


「はい。

 これまで納めていた税金ですが、代官にお渡しいただければ構いません。

 代官は、集めた税金を管理地のために使います」


「……つまり?」


「ここで集めた税金をどう使おうが代官の自由ということです」


 しかし、その代官は魔王国側へのポーズ。


 つまり、税金をなくすということだが……


「いいのか?

 国に納める分とか?」


「大領地なら国に納める義務が出てきますが、村一つ二つの領地ならそんな義務はありません。

 土地で得た物をその土地を富ませるために使う。

 それだけです」


「なるほど」


 良い話だが、良い話過ぎる。


 認めるだけなら別に構わなかったが……よく考えよう。


 罠だろうか?


 何か落とし穴があるのだろうか?


 ……


「この村の代官の任命権は誰にあるんだ?」


「私です」


「一度、任命した者を変更することは?」


「可能ですが……

 っ!

 娘で代官を置く実績を作ってから別の者を派遣してくるとお考えで?」


「可能性として」


「私は大丈夫ですよ。

 私は大丈夫ですが……将来的に私のポジションに誰がなるかはわかりませんし、村のことを考えればそういった不安が出るのも理解できます。

 わかりました。

 では、この村の代官の任命権を村長にお渡ししましょう」


「え?」


「この村の村長が代官を任命する権利があることにしましょう。

 これで任命も罷免も可能です」


「いや、そんな簡単に」


「大丈夫です。

 契約書も作りましょう。

 今後、他の者が来ても魔王国が続く限り効果のある契約書を。

 これで代官の上に村長が来ます」


 押し切られた。




「フラウ、代官就任おめでとう」


「おめでとう」


「やったわね」


「止めてください。

 イジメですか!

 村長、私を罷免して下さい。

 私が代官なんて、力不足です」


「いや、別に失敗してないし……頑張れ」


「いやぁぁぁぁっ」


 まあ、実質は名前だけだ。


 ビーゼルが税金を取りに来なくていいのが、ビーゼル側のメリットなのかもしれない。


 取りに来いとか言っちゃったからなぁ。


 ……


 ビーゼルは月一ぐらいでここに来て作物を買って帰っている気がするが、手間だったのかな?




 リザードマンの子供たちはかなり大きくなり、獣人族の男の子の身長を抜かしていた。


 卵から孵った時から、泳ぎ、動けたので成長の速さはわかっていたが、アルフレートが立つか立たないかぐらいなので少し焦る。


 まだ生まれて一年経っていないのだから、焦る必要は無いと思うのだが……これが親心だろうか。



 ティアが妊娠したことで、ティアとルーの関係がギクシャクするかと思ったが欠片もそんなことはなかった。


 ルーが出産経験者として、色々と世話をしている。


 その様子に、グランマリアたちが変な顔をして見ていた。


 昔の仲を知っていると、今の関係が不思議なようだ。


 そんなに激しくやりあっていたのだろうか。


 ともかく、仲が良いのは良いことだ。


 無事に産んでほしい。



 あと、子供を欲しがる者の攻勢が強くなった気がする。


 俺の身体は一つしかないので大事にしてほしい。




 村の住人は、基本的に休まない。


 獣人族の幼い男の子でさえ、何かしらの仕事をしているし、させている。


 休むのは日が沈んでからと、雨の時、そして冬の間だ。


 さすがに体調が悪い時は休んでいるが、少し働き過ぎな気がする。


 理由を聞いてみると、単純に「働かざる者、食うべからず」の考えだった。


 確かに今の村は共同体だ。


 各自が各分野で働くことで村として成り立っているのだから、身勝手に休むなんてことはできないらしい。


 それに……


「村長がほぼ毎日、何かをしているのに私たちだけ休むなんてできません」


 そう言われて自分の行いを反省する。


 そうか。


 確かに村長と呼ばれる立場だ。


 働く時は当然として、休む時も率先しなければ。


 ボウリングの時も、俺がやっていたから他の者が遠慮なくできたワケだ。


 なのでとりあえず、畑の様子を見た後でのんびりしてみた。


 ……


 落ち着かない。


 なので、休みを兼ねて遊具を作ることにしてみた。


 まずは獣人族の男の子のために……まずはボール。


 駄目だ。


 クロたちが期待した目で見ている。


 お前たちのためのじゃないのだが、あんな目をされたら投げるしかない。


 クロたちと楽しんだ。



 ボールは駄目だな。


 じゃあ……ブーメランとかはどうだろう。


 とりあえず、試作。


【万能農具】をブーメランの形にできたので、それを参考にする。


 運用試験。


 その前に、【万能農具】のブーメランで投げる練習。


 これをしないと、試作ブーメランを投げて失敗した時、ブーメランが悪いのか俺の腕が悪いのか判断できなくなる。


 ……


 なかなか上手く戻ってこなかったが、三十分ほどしたら戻ってきた。


 よし、この感覚を忘れないうちに試作ブーメランを投げてみる。


 ……


 うん、ちゃんと戻ってきた。


 試作ブーメランは成功のようだ。


 後は、これが獣人族の男の子たちにウケるかどうかだが……


 練習風景を見ていた獣人族の男の子たちは、キラキラした目でこっちを見ていた。


 よし。


 それなりに人気が出たが、ブームが去るのは早かった。


 まあ、自分で投げて自分でキャッチするだけだからな。


 それなら他の人と遊べるフライングディスクの方が人気だ。



 ならば、次だ。


 次は一気に大人な感じでゴルフ。


 木を削ってクラブを作ってみる。


 これは問題ない。


 とりあえず、一本で十分だろう。


 次にボール。


 これは木を丸く【万能農具】で加工した。


 転がすと、ボールの重心がズレている所為で真っ直ぐ進まない。


 木の密度が一定じゃないから当然と言えば当然だ。


 しかし、競技をするワケではないのだ。


 極端な曲がり方をするボールを除けば、これで十分。


 次にコースだが……


 獣人族の男の子がターゲットに、まずは短いコースで良いだろう。


 居住エリアの西側に、スタート位置を適当に決め、適当な場所にカップを掘る。


 完成。


 ワイルドだが、これで良いのだろうか?


 一応、スタート位置からカップのコースを【万能農具】で耕し、芝を育ててみた。


 それっぽくなったが、芝が育つまでに時間が掛かりそうだったので、その間にクラブ、ボールを量産した。


 俺が使う大人用、獣人族の男の子が使うための子供用の二種類。


 全部木製なので、アイアンは無いがクラブ角度は色々と用意してみる。


 こうなると、コースが一種では寂しいのでコースも増やす。


 障害物用に木を育てたり、茂みを作ったり……


 カップ位置が判り難くなったので、目立つように旗を作ってカップに立てる。


 畑仕事をしながら、頑張ってみた。


 これでウケなかったらどうしよう。



 心配は杞憂だった。


 ゴルフはウケた。


 主に鬼人族に。


「思い通りに進まないのが良いですね」


「お茶をしながら、のんびりできるのも良いです」


「ふふ。

 次は私の番ですよ。

 三番でいってみようかしら」


「あら、貴女のパワーなら五番で十分では?」


 昼食後にプレイする姿が見られるようになった。



 獣人族の子供たちは、俺の作った物よりも馬や山羊に乗って遊んでいた。


 馬の扱いが俺より上手くなっている。


 俺も練習した方がいいだろうか。






 一文字 50×50メートルぐらいの大きさ。


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□□□□□□□□□□□□□□□□◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆牧場◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□果実果実果実果実◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

□□□□□□□□□□□□畑畑鶏畑○○○○○○○○○○○○

━上水路━━━━━池池□畑◇◇畑○犬○○○○○○○○○○

━下水路━━━━━池池□畑◇◇畑○○○○○○○○○○○○

□□□□□□□□□□□□畑家家寮○○○○○○○○○○○○

□□打球▼風呂▼▼▼▼▼△△△△△△△△△△△△△△△△薬草薬草

□□打球▼▼▼▼▼居住▼△新畑△△△△△△△△△△△△△薬草薬草

□□□□▼▼▼▼▼▼▼▼△△△△△△△△△△△△△△△△薬草薬草

□□□□▼▼▼▼▼▼▼▼△△△△△△△△△△△△△△△△薬草薬草

□□□□▼▼▼▼▼▼▼▼△△△△△△△△△△△△△△△△

□□□□▼▼▼▼▼▼▼▼△△△△△△△△△△△△△△△△

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←五キロぐらい向こうに川。


 打球=ゴルフ場



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― 新着の感想 ―
[一言] 小さい子供は多い方がいい!はず。
[一言] 地図要らないのでは?
本文が短いのをカバーするかのように、毎回変な地図で埋めるのはどうかと思います。
感想一覧
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