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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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商談?



「昨日の食事は凄かった。
 門番竜の所で出して頂いた食事も素晴らしかったが、ここはその上を行きます。
 さらにあのワイン。
 ああ、これまで飲んだどんなワインよりも美味しかった」

「そうですか。
 ですが飲みすぎは駄目ですよ」

 マイケルさんの勢いを受け止めながら、話を続ける。

 時は昼前、宿の広い場所に俺とマイケルさん、そしてルー、ティア、フラウが居る。

 ラスティも参加すると思っていたが、どうやら昨日の慰労会で夜更かししたらしく、まだ寝ている。

 ラスティはキッチリした生徒会長や風紀委員長のようだが、意外と寝起きにはルーズだ。

 ドラゴンの大半はそうらしく、また無理に起こして寝ぼけられても困るので放置するのが良いと学習している。

「とりあえず取引の件ですが……」

「そうでしたね。
 まず、私がここに来た目的をお話します」

 マイケルさんが、姿勢を正す。

「先日、フラウレムお嬢様が店に来られ取引を行いました。
 受け取った作物はどれも素晴らしく、今後とも取引を続けて頂きたくご挨拶に参ったのが一つ目の目的。
 取引できる作物がもっと無いのかとお伺いしたいのが目的の二つ目。
 さらに、他に商売になる物が無いかと探しに来たのが目的の三つ目。
 最後に、あわよくばこの村の御用商人の地位を手に入れられたらと考えています」

 マイケルさんが何も恥ずべき所はないと言わんばかりに胸を張る。

「正直な事だ」

「虚飾を施して、意図が曲がって伝わるのはよろしくありませんからね」

「確かに。
 まあ、その方が話は早いか」

 ティアとルーが返事をする。

「それで、まずは村の余剰作物に関してなのですが……全て引き取らせて頂きたい。
 高値を付けますよ」

「ははは。
 まあ、そう慌てるな」

 ティアとルーが目配せした後、ルーが相手をする事になったようだ。

「村と取引をしたがっている相手は多い。
 すでに他の村との取引も定期的に行われている。
 お主の商会だけに全てを卸すのは厳しい」

「村の作物を見れば、それも当然。
 無理を言いました。
 ですが、出来る限りの取引をお願いしたい」

「現状、そちらの商会に卸せる作物はこのような感じだ」

 ……一応、この話し合いの前に調整しておいた。

 まあ、俺は最後の承認だけだが。

「いえいえ、これでも十分な量です。
 感謝します」

「そうか。
 では、代金の話をしようか」

「そうですね。
 ああ、その前に一点、確認を」

「なにかな?」

「商品の輸送に関しては、行きと同じようにドラゴンで運んで頂けるとのお話ですが、間違いは無いですか?」

 マイケルさんこちらに来る前に、帰りの足と仕入れた商品の運送をフラウを通してラスティが請け負っている。

 もちろん、無償ではなく何か対価を求めただろうが。

「うむ。
 こちらの耳にも届いておるが、それはラスティとお主が約束した事で、村は関与せん。
 関与せんというか、関与できん」

「関与できないのですか?」

「誰がドラゴンに指示を出せるのだ?」

「出せないのですか?」

「出せん。
 ラスティが村の作物を運んでくれたのは善意の協力だ」

 甘味というご褒美が必要だったが。

「なるほど……えっと……では、村とドラゴンの関係は……」

「共存だな。
 変な事は考えん方が良いぞ」

「……承知しました」

 変な会話だ。

 何か裏があるのだろうか?

「ともかく、商品の輸送をして貰えるという事で……
 金額はこれぐらいで如何でしょう」

 0が沢山並んでいたが、どれぐらいの価値か判らないので口を出さない。

「ずいぶんと奮発してくれたようだな」

「ははは。
 毎回、この金額とはいきませんが、初めての取引ですので頑張らせて頂きますよ」

「うむ。
 額に問題は無い。
 書面を作るか?」

「是非。
 紙はこちらで用意しましょう。
 それと、こちらは我が商会で取り扱っている商品の目録です」

「預かっておこう。
 評判が良い物があれば、買わせて貰おう。
 ああ、幾つか仕入れて貰いたい物があるのだが……」

 話がドンドンと進む。

 俺が聞きたかった魚介類に関しても、しっかり聞いて貰えた。

 特に毒は無いが、寄生虫は警戒して生で食べないのが一般的らしい。

 寿司は難しそうだ。

「お酒は卸して頂けませんか?」

「……少量なら友誼で卸せるが、商売になるレベルの量になると厳しい。
 村の酒のファンは多くてな」

「そうですか。
 残念ですが、個人で楽しむとしましょう。
 少量でも構いませんのでお願いします」

「うむ」

 話し合いは昼を越えて行われた。



 成果的には、シャシャートの街との取引用に置いておいた作物が全て現金化され、その他にハチミツやザブトンの布、砂糖、塩、油などが売れた。

 塩が売れたのは驚きだった。

 シャシャートの街は海が近いのだから塩に困る事は無いと思うのだが、味が違うらしい。

 前々から、死の森の塩は有名で貴重品だそうだ。


 今回、こちらは何も買っていないが、要望した物がいくつか。

 メインは山羊、あと馬。

 一般的には、牛よりも山羊の方が多く飼育されており、手に入りやすいらしい。

 牛は俺が牛のミルクに拘ったからで、ミルクといえば山羊のミルクと考えるのが普通らしい。

 なので山羊を用意して貰う。

 馬は俺の移動用との事で、ルーやティアが望んだ。

 俺、馬なんて乗った事が無いのだが……まあ、来た時に考えれば良いか。

 後、今回は手に入らなかった魚介類を頼んでおいた。

 特に昆布。

 話を聞くと昆布は海の雑草扱いで、漁の邪魔になると嫌われているらしい。

 勿体無い。

 干して持って来るようにお願いした。



 その他、ハウリン村の鉱物を大樹の村が中継して、ゴロウン商会に卸す事になった。

 転売、中抜きなどの言葉が頭に浮かんだが、ハウリン村とシャシャートの街に交流はなく、また交流を始めても距離が遠すぎて値段がとんでもない事になるらしい。

 ドライムやラスティによる輸送が出来るウチの村が特殊だと再確認。

 森を歩いて村に来ようとしたら一ヶ月ぐらい掛かるんだったか。



 マイケルさんはもう一泊する事になり、予定通りに歓迎会が行われた。

 二日続けての宴会。

 マイケルさんには悪いが、シャシャートの街で仕入れた魚介類を使った料理がメインだった。

「油で揚げるのですか?」

「炙り? それはどういった技法で……」

 鬼人族やハイエルフ達に料理方法を教えながら、色々な料理を作り上げていく。

 俺が食べたいから。

 後は普通に煮付けなどを作る。

 醤油は無いが、シャシャートの街の調味料で代用。

 俺は満足ではないが、他の村人の評判は良かった。

 早く昆布が欲しい。



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