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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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ご都合主義と出会い


 目が覚めた。

 普通に顔を洗って朝食に焼いた兎を食べ、出す物を出して気合を入れる。

 当面の目標は、畑で育てる植物を手に入れる事。

 俺は【万能農具】を持って、意気揚々と掘を越えた。

 そして畑を見て驚いた。

 畝から小さな芽が出ていた。

 しかも、綺麗な等間隔で。

 ……………………

 誰かが種を蒔いてくれた?

 誰が?

 それに蒔いてくれたとしても成長が早過ぎる。

 神様?

 俺は手にある【万能農具】を見た。

 ………………

 俺は森に走って大きめの木を木材にし、ここに来る前に出会った神様の姿を彫った。

 思い返してみれば、老人と言えば老人、若者と言えば若者。

 不思議な感じの神様だった。

 自分の腕では完璧ではないだろうが、似た感じの像が出来た。


 そう言えば、【万能農具】を手配してくれた方は担当が違うとか言ってた。

 そちらの姿はわからないので想像で彫る。

 農業担当なのだから、ふくよかだろうか?

 農業をするなら、スマートじゃないと厳しいか?

 色々と考えた結果、花咲か爺さんみたいな像が出来た。


 そして寝床にしている木の一部を削って粗末ながらも社を作り、そこに二体の木彫りの神様を祭る。

「神様、ありがとう!」

 長く祈った後、俺の目標が変更になった。

 畑を守る。

 とりあえず、現状を確認する。

 寝床である大きな木。

 井戸、火、トイレ、それらを囲う丸太の柵と掘。

 その周囲にある畑、五十メートル四方を一面として、十二面。

 四×四の真ん中四つが居住スペースで、周囲が畑な感じだ。

   畑畑畑畑
   畑◇◇畑
   畑◇◇畑
   畑畑畑畑

 そして、全ての畑で小さな芽が出ている。

 この畑を守るのは俺だ。

 まず、現状の畑の周囲に柵を用意する。

 誰も近寄らせん。

 獣?

 この【万能農具】で肥料にしてくれよう。

 ふふふふふっ。

 俺はハイテンションな状態で畑を囲うように丸太で柵を作った。

 掘も作った。

 さらに森が近い場所はその森を耕して潰した。

 木材の入手が手間になるが、木の上から侵入される事を考えれば、仕方が無い。

 一応、四方に出入り口とする場所と、掘を越える為の板を用意した。

 それらの作業に五日ほど掛かった。

 その間、小さな芽はスクスクと成長し、畑に侵入した牙の生えた兎が六羽と、子犬サイズのネズミが一匹、畑の肥料になった。

 食料にするとか考えなかった。

 食料には、巨大な猪があったからだ。

 正面から見て高さが二メートルぐらい、幅も同じような感じ、全長が四メートルぐらいある猪。

 かなりビビッたが、畑に近付いたので俺の覚悟が決まった。

【万能農具】のクワで、猪の首を切断。

 身体は美味しく頂く事にした。

 ふふふ。

 今の俺、充実している。

 幸せだ。

 とりあえず、獣対策は万全だろう。

 だが畑の敵は獣だけではない。

 鳥や虫がいる。

 兎やネズミ、猪と違ってサイズが大きいヤツはまだ見ていないが、鳥や虫は確実に居る。

 まだ俺の畑に手を出してこないのは、奴らにとってまだ俺の畑はその価値が無いからだろう。

 しかし、実を付け始めたら奴らは襲ってくる。

 なんとか対策を考えねば……

 あれ?

 そう言えば、あの芽は何が出来るんだ?

 一つの畑内では同じ種類で、畑毎に種類が違う。

 食べれる物だよな。

 食べれる物であって欲しい。

 これで観賞用の植物とかだったら、膝から崩れ落ちる自信がある。

 そして、添え木などのサポートが必要だったりしないのだろうか?

 くっ。

 イメージで農業やりたいだけの俺では、知識が不足し過ぎている。

 病院で寝ている時、もっと勉強していれば……

 悔やんでも仕方が無い。

 出来る事からやろう。

 とりあえずは鳥対策として、案山子だろうか。

 などと考えていると、畑の方から獣の声が聞こえた。

 犬っぽい。

 犬が一生懸命、虚勢を張っているような感じだ。

 俺は【万能農具】のクワを持ちながら、その声の方に近付いた。

 畑を囲む丸太柵と掘の向こう側に、大きな犬がいた。

 真っ黒な犬だ。

 サイズは確実に大型犬だな。

 頭が俺の胸ぐらいの高さまであるし、立ち上がれば、確実に俺を越えるだろう。

 その大きくて黒い犬がこっちに向かって吠えている。

 なんだ?

 不思議と敵意は感じない。

 真っ黒な犬の後ろにさらにもう一匹、同じようなサイズの真っ黒な犬がいた。

 よく見れば、二匹が怪我だらけなのがわかる。

 ……

 俺は近くの出入り口を開き、掘の上に板を渡した。

 吠えていた犬が、黙り、俺を睨む。

 ちょっと怖い。

 俺は【万能農具】のクワを構える。

 自然と心が落ち着いて来る。

 落ち着いて二匹の犬を見て、発見した。

 後ろに居る犬、メスだ。

 だってお腹が大きいんだもの。

 となると手前がオスか。

 で、様子から察するに夫婦と。

 えっと……

 これ、追い払うのは駄目だよな。

 てか、メスの犬の足元がフラフラしている。

 オスの犬が時々、後ろを心配そうに見ながら、俺を睨む。

 ……

 犬は農家の味方。

 子供の頃、犬を飼いたいと思ったけど、それが叶う事はなかったなぁ。

 犬に味方する理由を考え、俺は【万能農具】のクワの構えを解いた。

 犬の方も理解したのか、睨むのを止めた。

 言葉を理解するかはわからないが、とりあえずジェスチャーで二匹を柵の内側へ招いた。
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