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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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ラスティ


 ドライムの娘、ラスティスムーン。

 皆からはラスティと呼ばれている。

 ドラゴンの姿の時は十五メートルぐらいの大きさだが、人間の姿の時は中学生のような格好。

 金髪ロングで、キリッとした感じのイメージ。

 生徒会長とか風紀委員長とかやっていそうだ。

 父親の浮気を疑って行動した辺りなんかが、そのイメージを強くしているのだろうか。

 最初にみた時はパーティーにでも出るのかというドレス姿だったが、村に住むようになってからは村娘ファッションに徹している。

 形から入るタイプなのかもしれない。

 まあ、どんな格好をしても頭の角と尻尾で竜である事を主張しているのだが。


「ラスティは早く馴染んだな」

「食事と娯楽、それに遣り甲斐を与えれば、あんなものでしょう。
 竜族は基本、暇ですから」

「ドライムが良く来るのもそれか」

「はい」


 ラスティは、食事はなんでも食べた。

 かなり気に入ってもらえているようだ。

 初めての物を食べる時は、「お父様、ズルイ」を連呼していた。

 果実系は酸味よりも甘味を好んだ。

 干柿が特に気に入っているようだ。

「残りがもうあとこれだけ……」

 倉庫の入り口で、軽く絶望している姿を見掛ける。

 干柿は冬に多く消費しているので、元々少なかったが一応はそれ、村人全員分なんだけどなぁ。


 ラスティはチェスにリバーシ、ミニボウリングを楽しんでいる。

 腕はほどほどだ。

 獣人族の男の子達と良い勝負。

 勝敗に一喜一憂している。

 後、外に居る時はクロの子供達に交じって、時々、フライングディスクを追いかけている。

 流石に人間の姿で四足のクロの子供達には勝てず、ドラゴンの姿になってフライングディスクをキャッチし、勝ち誇っていた。

 ひょっとして、見かけよりも子供なのかもしれない。

 クロの子供達が、あれはズルイと俺に訴えてくる。

 いや、俺に訴えられても……


 最初はラスティをお客様として扱おうと思っていたが、ドライムやその奥さんから働かせて欲しいと言われたのでそうしている。

 とりあえず、何が出来るかわからないので、色々とやらせて見た。

 狩りは幼いながらもドラゴンなので、獲物がビビッて出てこなくなるらしい。

 採掘は、大雑把な採掘は出来ても、細かな採掘は出来ないみたいだ。

 鶏、牛の世話も駄目だった。

 家事は経験が無く、周囲の者の仕事を増やす結果に終わった。

 畑仕事は……作物が大事なので俺が近寄らせなかった。

 結論、彼女は生活能力が無いお嬢様だと判明した。

 戦闘特化種族という事だろうか?

 ドラゴンは賢いイメージなのだが……

 ともかく、村には過剰な戦力だがグランマリアと同じように森を警備して貰うのが一番だと結論が出ようとしていた。


 ラスティの仕事が決まった。

 外交担当。

 彼女はお客の出迎えや交渉が出来た。

 お客は魔王の使者、ビーゼル。

 目的は作物の買い付けだが、前にラスティ達が暴れた件を探りに来たらしい。

「ははは。
 問題がなければ良いのです。
 あ、この前の黄色い果実はまだありますか?
 冬の間に消費してしまって」

「ミカンですね。
 まだ在庫があったと思いますが……季節の初めですから量は期待しないで下さい。
 今の季節ですと、イチゴなんかどうですか?」

「イチゴですか?」

「ええ。
 甘酸っぱい味ですので、砂糖を振ったり、ミルクに浸したりするとさらに美味しくなります。
 もちろん、そのままでも十分美味しいですよ」

「それは良いですね。
 では、それを十箱ほど貰えますか」

「ご一緒に砂糖やミルクは如何ですか?」

「敵いませんね。
 わかりました。
 両方共、頂きましょう」

「ありがとうございます。
 お代は……サービスしてこの辺りで」

「サービスというなら、このぐらいでは……」

「では、この辺りで」

 いきなり村を燃やそうとした短気さはどこにやったのかと驚く。

 あれは父親のドライムが絡んだからかな?


 また、彼女が支配下に置いている一メートルぐらいの小型のワイバーンを複数使い、通信も行っている。

 これにより魔王の城、ハウリン村、ドライムとの連絡が密になった。

 まあ、小型ワイバーンの飼育はリザードマンに放り投げられているのだが……

「二十頭も居るのか」

「一頭も二十頭も一緒です。
 お任せ下さい」

「そうか」

 小型のワイバーンの飼育で苦労したのは、鶏や牛を襲わせない事と、ザブトンの子供達に襲われない事だった。

「新入りイジメ?」

「いえ、これまでは獲物にしていたらしいですから」

「そうなのか?」

「飛んでますしね。
 とりあえず、ワイバーンに首輪を付けて襲わないようにお願いはしています」

 頑張って貰おう。




「娘よ。
 元気でやっているか?
 何か必要な物があったら言ってくるのだぞ」

「元気だけど、頻繁に来るのはどうなのです?
 十日前にも来ましたよね」

「向こうはグッチがいるから大丈夫だ。
 おーい、いつものを頼む」

 ドライムの声を合図に、ラスティの家で働く鬼人族が食事と酒の用意を始める。

「そうそう、風呂に入ったらしいがどうだった?
 あれは最高であろう」

「確かに。
 ですが、利用者が多いのが難点です」

「あー……女湯はそうだな。
 男湯は広々として良いぞ。
 グッチですら、ここに来たら入っていく」

「お父様、ズルイです」

「ははは。
 俺がここに家を建てたのもわかるだろう」

「はい。
 そう言えば、使用人を呼んでは頂けないのですか?
 鬼人族の方々にお世話して貰っていますが、借用では気を使います」

「グッチに命じて人選させている。
 ただ、少し揉めておってな」

「私の元で働くのは不満と?」

「逆だ。
 この村の食事の良さを知っているから希望者が殺到してな。
 一時はグッチが行くとか言い出していた」

「気持ちはわかりますが、グッチに抜けられるとお父様が困りますよね」

「うむ。
 なんにせよ、早く決めさせる」

「よろしくお願いします」




 魔王の城

「ビーゼルはどこだ?
 帰って来たのだろう?」

「ええ、ですがすぐにご実家の方に戻られました」

「寝室にではなく?」

「はい。
 急ぎの用があるとかで。
 ああ、お土産は預かっていますよ」

「うむ。
 それは重畳。
 しかし、ビーゼルの急ぎの用?
 問題が無ければ良いのだが……」



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