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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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息子誕生と襲来



 息子の名前はアルフレート。

 命名はルー。

 俺の提案した名前は却下されたようだ。


 気になるのは、前の世界で病気になった俺の子と言う事だ。

 神様から【健康な肉体】を貰ったが、息子にその加護があるのだろうか?

 調べようが無いので、祈るしかない。

 健康に育って欲しい。

 あと、人間の俺と吸血鬼のルーとの間の子なので、種族的にどうなるのだろう?

 ハーフヴァンパイアになるのかな?

 ルーに聞いても、子供を産んだのは初めてだし、周囲に産んだ経験のある吸血鬼も居ないので判らないらしい。

 なるほど。

 見た感じ、今の所は人間の子供と変わらない。

 鬼人族の意見では、子供に種族特徴が出るのはある程度大きくなってからだそうだ。

 鬼人族で言うなら角。

 幼少の時は無く、子供を産めるようになるまでにゆっくりと大きくなっていくらしい。

 確かに産まれる時に角があったら出産に困るか。

 俺の息子もそうなのだろうか。

 うーむ。

 心配ではあるが、どうしようもない。

 種族が人間だろうが、吸血鬼だろうが俺とルーの子なのは確かだ。

 頑張って、育てよう。


 出産後のルーは、特に問題は無い。

 流石に出産前と同じではないが、性格が丸くなった気がする。

 これが母親だろうか。

 ともかく、母子共に健康なので嬉しい。


 子育てに関しては、鬼人族が率先して行っているので人手が足りないという事はない。

 いや、人手が多過ぎて俺やルーがまるっきり面倒を見れないのはどうなのだろう。

 もう少し、お父さんをさせて欲しい。



 心機一転。

 クロの子供達三十頭のお出かけ理由が判明。

 三十頭+ザブトンの子供達で森の南にあるダンジョンを攻略していた。

 なんて危険な事をするんだ。

 判明したのは、グランマリアが偶然にダンジョンの入り口を発見したから。

 場所は村の南で、距離があるがダンジョンを放置すると時々凶暴な魔物が溢れ出す事があるらしく、内情を確認する必要があるとの事でハイエルフを中心に攻略組が編成された。

 俺も参加希望を訴えたが、村人総出で却下された。

 むう、ダンジョン探索。

 冒険心がくすぐられるのに。

 攻略組がダンジョンの入り口で装備の確認作業をしていると、ダンジョンからザブトンの子供を背負ったクロの子供達が出てきたらしい。

 その後、クロの子供達とダンジョン内を探索し、クロの子供達が何をやっていたかが判明した流れになる。

 うーむ。

 自主的にダンジョンを探索していたのか。

 クロ達には、そういった習性でもあるのだろうか。

 ちなみに、ザブトンの子供達は四足のクロ達では移動できない場所への移動、物の操作などをしていたらしい。

 ともかく、クロ達が倒したであろうダンジョンの魔物の骨をハイエルフ達が回収してきたので、倉庫に放り込んでおく。

 骨なんてと思ったが、それなりに利用法があって価値があるそうだ。

 ハイエルフ達は帰還したが、クロの子供達は今もダンジョン探索を続けているらしい。

 時々は帰ってきて欲しいものだ。



 事件は突然起こる。

 昼過ぎ。

 ザブトンの警報が鳴り響いた。

 方向は南。

 空を見れば飛行物があった。

 またワイバーンか。

 あの時を思い出し、怒りを覚える。

 飛行物はこちらに向かって一直線。

 目標がここであると直感した。

 同時に、その速度から友好的ではないと判断する。

 俺は【万能農具】を槍に変化させ、投擲体勢に入る。

 貫き落す。

 俺が【万能農具】を持つ手に力を込めた時、その飛行物に別の飛行物が体当たりをした。

 別の飛行物はドライムだ。

 これまで何度も見ている竜の姿を見間違えない。

 ドライムに比べると、こちらに向かっていた飛行物は二回りほど小柄だ。

 しかし、ワイバーンではなく、ドライムと色が違う竜だと判った。

 体当たりされた方の竜は、ドライムの体当たりに面を喰らったようだが空中に留まっている。

 そして、そのままドライムとの戦闘に突入した。

 一瞬、このままドライムに任せようかと思ったが、なんだかドライムの方が負けているように見える。

 助太刀すべきか。

 中断した槍の投擲を考えた時、不意に後方から強い殺気を感じた。

 北側?

 俺は振り返ると同時に殺気の方に槍を投げた。

 その方角には、ドライムと同じくらいか少し大きい真っ白な竜が居た。

 俺の投げた槍が、その真っ白な竜に吸い込まれるように刺さると思ったが、その直前に竜が避けた。

 しかし、無理な避け方だったのか、体勢が崩れている。

 チャンスだ。

 俺は二投目を準備。

 即座に投げようとしたら邪魔された。

「ま、待って下さい!
 敵ではありません!」

 ドライムの従者グッチが、いつの間にか俺の前で両手を広げて立っていた。



 その後、俺の前に三人の男女が居た。

 ドライム、そして金髪の美人さん、その金髪の美人さんを若くした感じの娘。

 ただ、娘の頭には立派な竜の角が二本生えており、さらにスカートの下に大きな竜の尻尾がある。

「妻のグラッファルーンと、娘のラスティスムーンだ」

 ドライムの説明によると、こちらに向かって来た最初の飛行物が娘のラスティスムーンで、後からやってきた真っ白な竜が妻のグラッファルーンとの事だ。

「知らなかったとはいえ、申し訳ない」

 いや、本当に。

 ドライムの奥さんに槍を投げてしまった。

「こ、こちらこそごめんなさい。
 誤解を受けるような事をしてしまって……」

 まず、娘のラスティスムーンさんがドライムの背中に隠れるようにしながら頭を下げる。

 怯えさせてしまったようだ。

 なかなか可愛らしい。

 しかし、隠れているドライムが負傷だらけなのは彼女がやったからじゃないかな。

「私も不用意な接近をしてしまい。
 申し訳ありません。
 ただ、娘と夫を守る一心でした……愚かな女とお笑い下さい」

 もちろん、笑ったりしない。

「今回の件は、お互いにミスがあったとして水に流しましょう」

 トラブルはゴメンだ。

 ドライムの話では、なんでも大樹の村に家を建てた事で浮気していると娘に疑われたのがそもそもの原因らしい。

 しかも、タイミングの悪い事にアルフレートの出産祝いを用意したのが、そのまま浮気相手へのプレゼントと思った。

 ドライムは否定したが、娘は信じずに村に直行。

 そのまま村を燃やそうとしたらしい。

 なるほど。

 俺の心の中に、娘を危険人物としてマークしておく。

「ご、ごめんなさい」

 素直に謝れるのは良い事なのだが……攻撃的過ぎるのは困る。

 村に向かった娘に対し、慌てたドライムは全力で追いかけて阻止する為に体当たりしたと。

 そこで終わる筈だったのだが、娘とドライムの様子を知った奥さんが、さらに全速力でここに向かって来たと。

 その際、かなり強い殺気を飛ばしたのは……

「愛です」

 奥さんも危険人物としてマークしておく。

 奥さんの殺気で、クロ達やザブトンの子供達、ハイエルフやリザードマン、鬼人族の殆どが恐慌状態に陥った。

 なんとか耐えた一部が抑えに回ったが、収まるまでにかなりの時間が掛かってしまった。

 被害は無いが、クロの子供達がドライムの奥さんを見て尻尾を丸めている。

 ザブトンの子供は近付きもしない。

 ドライムが気さくなので忘れがちだが、竜は強い生き物だと再確認。

 それとも、母は強しなのだろうか。


 ちなみに、アルフレートは平然と寝ていたそうだ。

 きっと大物になるに違いない。



「娘よ。
 もう少し、俺を信じて欲しい」

「でも……」

「グラッファルーンが居るのに、俺が浮気をするわけがないだろう。
 万が一、浮気などしようものなら……」

「しようものなら?」

「考えるのも恐ろしい。
 娘よ。
 覚えておけ。
 父にそんな度胸は無い!」

「う、うん」

「あと、俺が前々から言ってた事……この村との敵対は現実的ではない事を理解したか?」

「うん。
 お母様の結界を全て突破する攻撃なんて……
 あれ、最初は私に向けられたのよね」

「そうだ」

「…………危なかった」

「まったくだ。
 無事で良かった」

「お父様」


「仲が良いのは結構ですが、私を忘れてはいませんよね」

「う、うむ。
 流石はグラッファルーンだ。
 あの攻撃が放たれた時は肝を冷やしたぞ」

「親切な蜘蛛が助けてくれただけです。
 まさか、結界、障壁、防壁、耐性を一気に突破してくる攻撃なんて予想していませんでしたから、避けようがありません」

「親切な蜘蛛?」

「古い友人です。
 直撃寸前で私の身体をズラしてくれました。
 そうでなければ、ここに立っていませんね」

「グラッファルーン……」

「ラスティ。
 この村にはドライムの為の家があるそうです。
 貴女はそこに住みなさい」

「お母様?
 何を急に?」

「あの攻撃力。
 放置はできません。
 抑え込めとは言いませんから、あの力が振るわれる時、竜族に向かないように努めなさい」

「え、えっと……」

「返事は?」

「は、はい!
 頑張ります」


 俺の知らない間に、住人が一人、増える事が決まっていた。


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