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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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来客ドラゴン


 村に来客があった後、いつもの生活に戻ったと思ったら、また来客だった。

 前回と同じく、村の出入り口付近で手の空いている者が集まった。

「我が名はドライム。
 由緒正しきドラゴンである」

 来客は竜だった。

 ファンタジー漫画やアニメに出て来る西洋竜。

 サイズは前に出会ったワイバーンを遥かに凌ぐ全長三十メートル。

 なかなかの迫力だ。

 ちゃんと立っていれば。

 ドライムと名乗った竜は、頭を下げるような姿勢を向けていた。

「これは手土産です。
 お納め下さい」

 ドライムの従者なのか、執事服を着た男性が恭しく持っていた大きな箱をこちらに差し出す。

「ご丁寧にどうも」

 とりあえず、受け取……ダガが前に出て代わりに受け取り、アンの元に持っていく。

 その後、アンが中身を確認した後、俺の前に箱を持って来た。

 高そうな装飾が施された剣が、鞘と一緒に入っていた。

「け、結構な物を頂きまして」

「いえいえ」

 手土産って、もっとこうフレンドリーな物じゃないのかな?

 食べ物とか。

「ところで、本日はどのようなご用件で?」

「はい。
 我が主、ドライム様はここより南の方、ここからでも見えるあの山に巣を持っております」

「そうなのか」

「距離としてはあるかもしれませんが……近所と言えば近所。
 遅くなりましたがご近所として、挨拶に参った次第です」

「それはご丁寧に……えっと、その主が頭を下げっぱなしなのは?」

「それは失礼しました。
 ご主人様、頭を上げて下さい」

「お、おう」

 話を聞いていなければ、こっちの執事を主人と思ったかもしれない。

「ご主人様は初対面の方とのトークが苦手でして、下手な事を言うぐらいなら私が代理にと。
 ご気分を害されましたら謝罪いたします」

「いや、気にしないでくれ。
 あー……来てもらったのだから歓迎したいが……そのサイズだと困るなぁ」

「まったくですね。
 ご主人様。
 小さくなって下さい」

「うむ」

 ドラゴンが返事をすると、目の前の巨体が煙を上げて小さくなり残ったのは背の高い気弱そうな中年男性。

 貴族みたいな格好をしている。

「失礼しました。
 ご主人様。
 ご挨拶を改めて」

「我が名はドライム。
 由緒正しきドラゴンである」

 ……ひょっとして、失敗しないようにセリフを決めて来たのだろうか。

 ともかく、背が高いとはいえ人間サイズなら問題無い。

 家に招いて宴会になった。



「酒美味い、飯美味い。
 俺、帰らない。
 ここに住むぞ」

「駄目です。
 ちゃんと巣を守らないと、色々な方に怒られますよ」

「ここなら大丈夫。
 迎撃できる」

「出来るでしょうが、ここにご迷惑をお掛けするワケには参りません」

「む、むう……迷惑か」

「迷惑でしょう。
 ここで戦うのはもちろん、ご主人様は基本的に何も出来ませんし」

「失礼な。
 これでも由緒正しきドラゴンだぞ」

「失礼しました。
 言い直します。
 生産的な活動が何も出来ないでしょう」

「むう」

「お客として扱ってくれているうちに帰りましょう。
 お土産に色々と包んでもらいましたから」

「リンゴ。
 リンゴはあるよな」

「安心して下さい。
 たくさん頂きました」

「よしわかった。
 帰ろう」

「はい。
 ああ、ここで元のサイズに戻っちゃ駄目ですよ」

 こうして竜は帰っていった。

 かなりの量の作物を持って帰ってもらったが、剣の代金としては不足していると思う。


 ともかく、色々と反省だな。

 この村は来客を受け入れるようには出来ていない。

 元々の俺がそれを想定していないのだから仕方が無いが、閉鎖的過ぎては駄目だろう。

 駄目だと思う。

 駄目なんじゃないかな。



 まず、来客を待たせるにしろ、時間を稼ぐにしろ、外で立たせっぱなしというワケにはいかない。

 かと言って、この家に招くとこっちの行動が丸見えになってしまう。

 来客用の部屋なんて上等な物は想定されていない。

 なので、いっそ来客用に家を建てよう。


 次に、出迎え体制。

 来客がある度にほぼ全員が揃うのはよろしく無い。

 来客を持て成すのも大事だが、各自はそれぞれに仕事があるのだ。

 現状、グランマリア、クーデル、コローネが来客を発見し、案内する体制にはなっているけど……

 そのまま案内するから、こっちに連絡が来ない。

 村に近付くとザブトンの警報で誰かが来た事を察する現状だ。

 ザブトンの警報があるので、全員が集まるのだ。

 だから、ザブトンに新しい合図を決めてもらった。

 危険を知らせる警報はこれまで通り。

 来客を知らせる新しい合図に、鐘を鳴らすようにしてもらった。

 鐘はリア達の手製だ。

 俺は鉄を叩けばそれなりに良い音がすると思っていたが、そうじゃないらしい。

 なかなか良い音が出ず苦労していたが、少し前に良い出来の鐘が出来たと持って来た。

 それを使う。

 そして、来客の出迎え役として俺とルー、そしてティアの三人を基本とする。

 と提案したら、アンやリア、ダガ達から抵抗された。

 なので三人に加え、ハイエルフや鬼人、リザードマンから数名が出迎える事になった。

 フローラもそこに含めたかったが、フローラは来客が夜まで滞在した時の見張りを頼んだ。

 聞けばルーやティアどころかリアやアン達も数日の徹夜は平気らしいが、夜はちゃんと寝て欲しい。

 なので、夜の見張り要員としてフローラを確保しておいた。

 これで大丈夫だろうか?

 まあ、後は失敗を重ねて良くしていくしかない。

 そうそう来客もあるとは思えないけどな。


 フラグを立てたわけだ。


 来客があった。


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