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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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アラクネと地竜


 アラクネの名前が決まった。

 アラコ。

 ……

 わかってる。

 そんな目で俺を見るな。

 候補を出したのは俺だが、決めたのはアラコだ。

 でも、アラクネのアラコ。

 わかりやすいだろ?

 駄目か?

 いや、諦めたような目で俺を見るな。

 ラスティ、そこで生まれて来る子の名前は自分でつけると決意しなくてもいいんじゃないか。

 そりゃ、自信はないけど。

 候補は聞いてほしいなぁ。



 アラコはダンジョン内での活動を中心にやっている。

 ラミア族や巨人族達とも友好的。

 なにも問題はない。

 なに?

 新しい魔物を育てたい?

 ダンジョン内で?

 危なくないか?

 大丈夫?

 ほんとうに?

 んー、でもなぁ。

 ラミア族や巨人族が許可を出したらOKとしよう。

 それでいいか?

 わかった。

 ああ、実行する前に報告してくれよ。

 頼んだぞ。

 本当に頼んだからな。

 ……

 しかし、新しい魔物を育てるか。

 アラクネにはそんな性質があるのかな?

 そう言えば、蜂を連れて来てくれたのはザブトンの子だったな。

 種族的に面倒見がいいのかもしれない。




 蜂で思い出したが、今年の春にも新しい巣をいくつか作った。

 結構、密集しているけど縄張りとか大丈夫なのかと心配したけど、大丈夫だった。

 それより、もっと花が欲しいとさらに要望を受けた。

 なので果実エリアの北側に二百×二百ぐらいの花畑エリアを作った。

 花の種類は気にせず、ともかく綺麗な花と考えながら【万能農具】に任せた。

 それが春先のこと。

 今、花畑には多種多様な花が綺麗に咲き誇っている。

 ……

 ヒマワリの横に、アザミ、アジサイ、アサガオ、バラ、ナノハナ……

 名前がわかるヤツだけみても、季節感は欠片もないな。

 まあ、働き蜂達には関係ないようで蜜を求めて飛び回っていたけどな。

 花畑にいるクロの子供達は、平和な感じがしてよかった。





 文官娘衆達が忙しくなってきた。

 祭りが近いのを感じる。

 だが、俺はシャシャートの街のマイケルさんと文通。

 塾や宿の形が整いつつあるので、細かく希望を伝えておかないと。

 オープン前には何日か現場で指示したい。

 宿に関しては一ヶ月前から従業員教育を……

 おっと、考え過ぎ。

 そういった事は俺がやるより、マイケルさんや現場の人間でわかっている人がやった方がいい。

 この世界の宿のスタンダードを、俺は知らないからな。

 ……

 従業員教育とかしているのかな?

 いや、してるだろうが……


 この世界のお店と従業員の関係は、徒弟制度が採用されている。

 俺の知っている単語だと『丁稚でっち奉公』。

 従業員はお店に住み込みや通いで入り、働きながら仕事を覚えていくのだ。

“仕事を覚えられる環境が財産”という考え方なので、新人時代は賃金がほとんど支払われない。

 賃金が払われるのは、一人前と認められるようになってから。

 ただ、従業員の生活はお店の主人が責任を持つので、飢える事はない。

 そんな感じのお店がほとんど。

 マイケルさんのお店も、そう。

 つまり従業員教育はしているが、とても時間を掛けてやっているということ。


 そこまでして鍛えた従業員を放出するお店などない。

 従業員の方も、やっとやり方を覚えて給金をもらえるようになったのに、新しい職場に移動しようとはしない。

 なので、現在、宿の従業員はほぼ素人。

 ……

 不安だ。

 マルコスとポーラが教育係になってくれるなら少しは安心できるのだが……お店が忙しそうだしな。

 やっぱり、一週間だけでも俺が向こうに行って教えよう。

 よし、決定。

 ビーゼルか始祖さんに送ってもらおう。

 祭りの季節も近いし、その時にタイミングの相談をしよう。

 おっと、その前にルー達にも伝えないとな。


 クロと目があった。

 出かけるの?

 そんな顔で俺を見ないでほしい。

 仕事だ。

 クロの横に子猫達が並ぶ。

 同じような顔で俺をみる。

 おいおい。

 普段、そんな風に並んだことはないだろう?

 なぜ、急にそんな可愛いことができるんだ。

 ……

 わかった。

 出かけるのは中止。

 従業員を大樹の村に呼び寄せよう。

 マルコスとポーラを鍛えた時のように、特訓だ。

 その旨を手紙に書いた。



 後日。

 マイケルさんからの返事に、そんな残酷な真似はやめてくださいと書かれていた。

 ……

 なぜだ?


 さらに後日、宿泊関係に携わっていた者を数名確保したので安心してくださいと連絡をうけた。

 いや、教えられる人がいるならいいけど……

 どうやって確保したんだろう?

 無理してなかったらいいけど。

 今度、シャシャートの街に行った時に聞かせてもらおう。




 アラコが、ダンジョンに魔物の子供を持ち込んだ。

 持ち込む前に許可を取ってるので文句はない。

 トカゲのような魔物で、ダンジョンウォーカーと呼ばれている。

 全長が一メートルぐらいあるけど、子供?

 大人になったらどれぐらいのサイズになるんだ?

 詳しくは知らないけど、二十メートルぐらいのを見た覚えがあるとリアが。

 ……

 返してらっしゃいと言いかけたが、アラコがジッとこっちを見ているので言えなかった。

 ちゃんと育てるんだぞ。

 大きくなったからって、捨てちゃダメだからな。

 でもって、そのダンジョンウォーカー?

 背中にもう一匹、隠しているよな。

 一匹じゃない?

 あと、十匹?

 ああ、サイズがちょっと小さいのか。

 十センチぐらいね。

 ……

 その一メートルぐらいの、親じゃないの?

 違う、子供?

 そうか。

 まあ、了解。

 ダンジョンが手狭になったら拡張していいから。

 あと、仲良くするように。

 喧嘩とか駄目だからな。




 ダンジョンウォーカー。

 夜目が利き、ダンジョンの床だけでなく壁や天井をって侵入者に接近してくるトカゲ型の魔物。

 優れた個体は魔法を使いこなし、冒険者達からはダンジョンの死神と呼ばれることもあるそうだ。

 死神?

 こんなに可愛いのに?

「特定の地域では、地竜と呼ぶ事もありますよ」

 リアが補足してくれる。

「竜族なのか?」

「いえ、竜族とは関係ないです」

 だよな。

 でも、ダンジョンウォーカーよりは地竜の方が呼びやすい。

 そう呼びたいけど、ドラゴン達は……気にしないのね。

 よかった。

 じゃあ、地竜で。

 ああ、こら子猫達、地竜をイジめるんじゃない。

 体のサイズが大きくなった時のことを考えろ。


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