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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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転移門の秘密


 転移門を大樹のダンジョンに運び、ゴウとベルが設置を開始してくれた。


 転移門は、門と名が付いているが装置だ。

 実際にどういったものかというと……

 ストーンサークル?

 大小の石を置いて、輪を形成するだけ?

 あ、石をよく見れば何か文字が彫られている。

 それを規則正しく配置し、最後に起動用の石をセットすればと……なるほど。

 ……

 ルーはこれのどこをどう解体したいと思ったんだ?

 それぞれの石は……普通の石だよな。

 最後の起動用の石が人工物っぽい。

 これか。

 なるほどなるほど。

 ……

 一応、横で設置を見学しているルーに尋ねる。

「解体したいのは、あの最後の石で良いのかな?」

「そうよ。
 あれが転移門の秘密が全て詰まっていると言われる装置なの!
 ああ、調べたい。
 色々とやってみたい……でも、これまで誰も成功した事がないし」

 妻が少しマッドだ。

 知ってたけど。


「村長。
 言われた通り、稼動直前までセットしました」

「ご苦労様」

 転移門は二つで一つの装置。

 片側はこういったストーンサークルを設置しなければいけないが、もう片方はシンプルなもの。

 最後の起動用の石に似た石があり、それを置いた場所に転移できるのだそうだ。

 つまり、今起動してしまうと転移門の右五メートルぐらいの場所に移動する事になる。

 再設置は、かなり手間っぽいので、無駄な事はしない。

「設置は一つだけでよかったのですか?」

 一応、三組とも持って来ているが、設置してもらったのは一つだけ。

 何があるかわからないからな。

 残りは厳重に屋敷の地下の倉庫に収納している。

 あそこなら、ウルザや子猫達でもいたずらできないと自負している。

「とりあえず、今日はここまで。
 面倒を掛けたな」

「いえ、では稼動させる時や、残りを設置する時にお呼びください」

 ゴウとベルが揃って頭を下げ……ここがダンジョンだと思い出したようでその場で待機した。

「罠は起動させていないから、大丈夫だぞ」

「慢心はしません。
 すみませんが……」

「わかった。
 ルー、夕食までには戻ってくるように」

「はーい」

 転移門を調べる為に残るルーを置いて、俺はザブトンの子供に案内されながら大樹のダンジョンをゴウとベルと共に出た。

 ゴウはそのまま屋敷で、ホリーとお茶。

 子育ての話題で盛り上がっている。

 どうでもいいが、ホリーの外見が若くなってないか?

 化粧?

 女って凄いなぁ。

 でもって、寂しそうなベルの相手は……子猫達がやっている。

「うわぁ~」

 ベルは子猫達が動く度に声を上げている。

 気持ちはわかる。

 邪魔はしないようにベルと子猫達を残し、俺は部屋に戻った。




 俺の部屋で仰向けで寝ていたクロが、慌てて起き上がって俺のところに来る。

 いや、そのまま寝てて良いんだぞ。

 俺が座椅子に座ると、クロはその膝の上にアゴを乗せてきた。

 その頭を撫でながら、俺は考える。

 転移門。

 ルーは起動用の人工物っぽい石が重要そうに言っていたが、あれは座標確定用の石だ。

 大事なのは下に配置された大小の石。

 石が個々にあっても役に立たないが、ゴウとベルが配置したようにする事によって意味ができる。

 簡単に言えば、石一個一個は単語であって、配置によって文章になる感じ。

 肝心なのは、下のストーンサークルと、座標確定用の石に同じナンバーが彫られている事。

 ゴウやベルの話では、万が一の際はその座標確定用の石を外す事で、転移門の使用を不可能にするそうだ。

 そうやって使用不能となった転移門は多いらしい。

 それなんだが……再起動させれば、また動くんじゃないか?

 再起動の方法も書いてあったし。

 でもって、ストーンサークルと座標確定用の石さえあれば、ナンバーを彫り直して再利用するとか……

 いや、自作できるんじゃないか?

 ……

 そんな簡単なものじゃないか。


 クロが膝から頭を上げ、俺から少し離れた場所で仰向けに寝だした。

 ん?

 どうした?

 あ、次はユキの番ね。

 よしよし。



 転移門をスムーズに設置していたゴウやベルはその辺りを知っているかと思っていたけど、以前あった転移門の形を精密に再現しているだけらしい。

 なのでストーンサークルの石に彫られている文字とかの意味はわからない。

 それをなぜか俺は読めた。

 だから転移門に関して、色々と考える事ができた。

 なぜ、俺が読めるのか?

 思い当たる節は一つ。

 神様にもらった初心者パック。

 これまで、会話とか文字の読み書きには苦労していない。

 だから、それのお陰なんだろう。

 しかし、暗号で書かれている文字まで読めるのはどうなんだろう。

 便利過ぎないかというか……頑張って暗号を考えた人に申し訳ない。


 そして考えるべき事が一点。

 ルーにこの事を教えるかどうかだ。

 俺が教える事によって、転移門が普及したりしないだろうか?

 転移門は扱いが難しいと、魔王やビーゼル、始祖さんなどから指摘されている。

 大袈裟かもしれないが、転移門が普及する事で、世界が大きく変化してしまうかもしれない。

 俺が教える事で?

 そんな責任を、俺は取れない。

 いや、取りたくない。

 俺はこの村とこの村の住人。

 あとは関わった人達が極端な不幸にさえならなければ、それで十分だ。

 世界を変えようなんて、欠片も考えていない。

 転移門の文字に関しては、俺の心に秘めておくべきだろう。



 ん?

 ユキは頭の次は腹か?

 構わないが、順番待ちをしているクロイチに譲らなくて良いのか?

 ちょっとだけだぞ。





 夕食の時間になっても帰ってこないルー。

 嬉しそうに調べるルー。

 色々と仮説を立てては解体したいと悩むルー。

 無理だ。

 全然、見当違いの方向に努力しているルーをそのまま放置できなかった。

 転移門の文字の事を教えた。

「これ、古代文字なんだけど?
 読めるの?」

「なぜか読める」

「……え、ちょっと待って」

 ルーは自室に戻り、石版やクリスタル、宝石を持ってきた。

「これも?」

 同じような文字が書かれている。

「えーっと……石版は不倫に関しての反省文。
 クリスタルは、人名が次々と出てくるな。
 ああ、名簿だな。
 グライブル学園卒業者だって。
 宝石は……文字と数字だな。
 お小遣い帳っぽい」

 俺の返事を聞いて、ルーがその場で崩れた。

「私が長年大事にしていたものが……」

 すまない。

 本当にすまない。

 いや、わかるよ。

 文字を気にしなければ、石版は厳かだし、クリスタルや宝石は次々に模様が変わる不思議アイテム。

 何か重要そうに見えるもんな。

 うん、ごめん。

 え、これを解読しようとして失敗した過去がある?

 ほぼ人名だもんな。

 解読は厳しいよな。

 ほら、暗号になっているし、ちょっと法則もややこしいから。

 なんで俺は読めるんだろうな。

 不思議だな。


 その後、転移門の場所でストーンサークルに彫られた石の文字を一つ一つ説明。

 ルーの研究に付き合った。


 ルーとしては、転移門を再現したくはあるが、普及させるつもりはないようだ。

 よかった。




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