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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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パルアネン


 私の名はパルアネン。

 魔王国四天王を勤めていた事もある男。

 闘将パルアネンの名は、遠くまで響いた事も……ないよな。

 闘将って、書類相手に戦いまくったからだし。

 裏方一直線だったからなぁ。



 さてとだ。

 私の友であり、四天王時代を共に過ごした男が少しおかしくなった。

 とある村を尋ねている最中に、その村の村長を魔神と崇めだしたのだ。

 まったく、なにを考えているのか。

 確かにあの村長は只者ではないだろう。

 だが、ちょっと冷静になれと言いたい。

 魔神は魔族の神であり、魔物や魔獣を従える。

 だが、それよりも大事な点が一つある。

 それは魔法の神であるという事だ。

 聞けば、彼は魔法がまるっきり駄目らしい。

 それなのに魔神?

 ない。

 それはない。

 どんな姿になっても、魔神が魔神の本質を失う事などないだろう。

 それこそが我等が魔族の神である。

 む……猫か。

 よーしよし、なかなか懐っこいではないか。


 ごほん。

 つまりだ、簡単に言えば神である証明が欲しい。

 無礼な事を言っている自覚はあるが、お願いできないだろうか!

「え?
 俺が神?
 違う違う、普通の人だよ」

 ……

 普通の人は死の森のど真ん中に村を作らないし、インフェルノウルフやデーモンスパイダーに囲まれて平然と暮らしたりしない。

 貴方の隣で頭を下げているの、我が国の魔王様ですよ。

 いや、力の一端で構わないので見せて頂ければと……

 ん?

 なんだ?

 見覚えがある顔だな。

 ああ、嫁に行った私の娘の娘か。

 つまり、孫だな。

 久しい。

 お前もここにいたのか?

 なに?

 村長の戦歴を教える?

 聞かせてもらおうじゃないか。



 鉄の森のワイバーンを撃破。

 グラップラーベアとブラッディバイパーを瞬殺?

 暴れ竜のラスティスムーンを撃退。

 数百年前に暴れてた竜も撃退?

 他、死の森の魔物や魔獣をほぼ瞬殺?

 ……

 話を盛るにしても酷すぎないか?

 え?

 暴れ竜のラスティスムーンは彼女で、今は妊娠中?

 数百年前に暴れてた竜は彼女で、子供は……あ、あの闘気が凄い女性に抱かれている子ね。

 利発そうな子だなー。



 現実逃避は良くないな。

 えーっと……

 うん、諦めた。

 彼は神だ。

 魔神ではないだろうが、何かの神だ。

 そうに違いない。

 でなければ、インフェルノウルフとデーモンスパイダーが入り乱れる争いに割って入ったり、ドラゴン同士の戦いを物理で収めたりはできないだろう。

 武闘会?

 サブタイトルは世界最強決定戦だよな。

 とりあえず、この村の村長に逆らわない事を心に誓う。

 あー、スライムに癒される。





 村から帰った後、私は村にいる孫娘からの要望に応える為に奮闘した。

 なんでも神は教師が出来る人材を求めているらしい。

 子供の教育係かな?

 幸いな事に、そういった人材には心当たりがある。

 ただ、それぞれが仕事を持っているので、今すぐにというのは厳しい。

 あ、そんなに急がなくて良いのね。

 ……

 その人材の中に、側室候補とか混ぜるのはマズイかな?

 能力は高いよ。

 ちょっと性格に難があるけど、竜族を娶るぐらいだし気にしないだろう。

 場合によってはご子息の……

 駄目?

 絶対に?

 残念。

 わかった、余計な事を考えずに人材を集めよう。



 おかしい。

 狙っていた人材と連絡が取れない。

 誰かの陰謀か?

 それとも……ああ、同じ事を頼まれた者が先を行ったのか。

 ぐぬぬっ。

 負けるものか。

 神の為に頑張らねば。





 転移門に関しての話を聞いた。

 稼動する転移門があったのか?

 ああ、神の村なら持っていてもおかしくはないか。

 設置場所の候補はシャシャートの街。

 うむ。

 悪くない。

 悪くないが……問題がある。

 シャシャートの街のどこに設置するのだ?

 それを誰が管理するのだ?

 今は神の村の事をほとんどの者が知らないから問題ないが、神の村であると知られるとその転移門を巡って争いが起こるのではないか?

 最悪、勇者にバレると神に迷惑を掛ける事に。

 それは駄目だ。

 では、どうする?

 転移門の存在を隠すのは前提として、どこに設置する?

 転移門の設置目的は、神の村の作物を売りに行く為との事……

 まあ、死の森のど真ん中では売りに行くのも買いに行くのも大変か。

 神の村の作物を得る為なら、それぐらいの苦労をしなければならないと思うが……

 普通に考えれば、死ぬよな。

 死の森だもんな。

 マグマの上を歩けと言われる方が、まだ生存率は高い。

 だが、あの村の食べ物は美味かった。

 衝撃と感動だった。

 即座に移住を希望したいところだったが、ぐっと我慢した。

 私があの村で役立てる事があるのかと考えてしまったからだ。

 書類仕事には自信はあるが……あの村にそんな仕事があるのだろうか?

 神ならば軽く全てを処理するだろう。

 くっ。

 武や魔法に特化していない自分の才が恨めしい。

 だが、諦めん。


 転移門に関して、シャシャートの街から少し離れた場所に設置し、そこに村を作る事を提案。

 村長候補に、私の名前を出しておく。

 補佐も領地から連れて行こう。

 若い頃から私と一緒に仕事をしている者達なのでそれなりの歳だが、まだまだ働いてもらうぞ。

 ははは。

 領主である息子も、涙を流して賛同してくれている。

「違います。
 父さんと彼らがいなくなったら領地経営がヤバいですから。
 考え直して、お願いだから考え直して!」

 賛同してくれている。

 いい息子を持った。



 名前の長い友も、同じ事を考えていたらしい。

 ぐぬぬぬぬっ。

 村長の地位は譲らんぞ。

「いや、別にシャシャートの街に作った方が便利じゃないか?」

 魔王様がヌルい事を言うので、資料を揃えて説得した。


 基本は勇者対策だ。

 だが、神にその事を伝える必要はない。

 勇者は我等が対処すべき問題……正確には今の魔王と今の四天王が対処すべき問題だ。

 神をわずらわせてはいかん。

 心安らかにいてもらう為にも、シャシャートの街から少し離れた場所に新たな村を作る。

 神は転移門の設置だけで、後は全てこちらでやるつもりだ。

 そして、私が身命を賭して転移門を守る。



 ……

 神は自分で村を作りたい派かぁ。

 いや、なにか。

 なにか出来る事がある筈だ!

 頑張るぞ。




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