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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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雪合戦


 まず最初に言っておく。

 雪球をキツく握って、硬くし過ぎるのは駄目だぞ。

 駄目な例を見せよう。

 ハクレン。

「えいっ」

 ハクレンはギュッとした雪球を、木で作った的に投げる。

 あー、狙いが逸れて近くにある雪ダルマを粉砕したな。

 ティアが頑張って作った雪ダルマだったのに……

 あ、ティアが気付いた。

 ……

 全員、作業を中止。

 雪ダルマの修理だ。



 改めて。

 駄目な例を見せよう。

 ハクレン。

 ……そっち方向は止めよう。

 うん、あっちで。

 的に当てる自信は?

 大丈夫だな?

 無理しなくて良いからな。

「えいっ」

 ハクレンの投げた雪球は的の横を通り、森の木に命中。

 大きな音がして木が揺れ、木の上の雪を落とした。

「えーっと……駄目な例の威力はわかってもらえたと思う。
 あれをぶつけ合いたいか?」

 良かった。

 村の住人と俺の考えにそれほど大きな差はなくて。

 一部、やる気満々な方々には申し訳ないが……

 あれが当たれば死ぬぞ。

 盾じゃ無理だって。

 うん、諦めろ。

 雪球は優しく握るように。

 遊びだぞ。

 雪球で獲物を仕留める狩りじゃないからな。



 村で雪合戦をする事になった。

 二つのチームでの対抗戦。

 一回当たれば失格。

 雪球はその場で作ってOK。


 まずは子供達も参加するファミリーの部。

 子供に関係無い大人が参加しても良い事になった。

 ただし、大人は手加減するように。

 熱くなり過ぎるなよ。

 言ったからな。


 ……

 うん、わかってた。

 無駄だって。

 はぁ。

 お風呂、熱めに沸かしてもらおう。

 全員、雪合戦の後は必ずお風呂に入る事。

 濡れたままでいるんじゃないぞ。





 少量の雪は融けるが、大量の雪は融けない。

 村の南側に出来た雪山はしばらく残るだろう。

 この雪山。

 登ってみたが、思ったよりも高くてビックリした。

 下から見る分には、それほどじゃないと思ったんだけどな。

 しかし、ウルザ、グラル、アルフレートをはじめとした子供達。

 ソリ遊びの為とはいえ、ここまで登っているのか?

 凄いな。

 あ、ティアやグランマリア達に運んでもらう事もある?

 そうか。

 ちゃんとありがとうを言うんだぞ。


 子供達だけで遊んでいるが、放置はしない。

 誰かが見張りをやってくれている。

 今日は鬼人族メイドの一人だ。

 寒い中、ご苦労様。

 俺は持って来た火鉢で餅を焼き、渡す。

 味は砂糖醤油に海苔を巻いて。

 ……

 いつの間にか、火鉢の傍に子供達が待機していた。

 持ってきた餅の数が足りない……


 鬼人族メイドに持って来た火鉢と餅を預け、俺は屋敷に走った。

 うん、クロの子供達。

 嬉しそうに併走へいそうしてくれるが、これは駆けっこじゃないんだ。

 餅を取りに向かっているだけだからな。

 すぐに終わるぞ。

 期待した顔で見ないで欲しい。


 追加の餅を届けた後、雪の積もる村をクロの子供達と走る俺だった。





 晴れたある日、二村のミノタウロス族と、北のダンジョンの巨人族がやってきた。

 偶然じゃない。

 示し合わせたのだ。

 数は互いに十五。

 ミノタウロス達は数時間でこれるが、巨人族達は北のダンジョンからは数日掛けて来ているのだろう。

 でもって、この両者は何をするかというと……

 雪合戦。

 武闘会の時に約束していたらしい。


 場所は貸すが、絶対に雪球は硬く握らないように。

 絶対にだぞ。

 風呂は沸かしておくが、体格的に全員が一斉に入るのは無理だからな。

 では、頑張るように。

 ……

 ちょっと待った。

 もう少し南側でやってくれ。

 流れ弾が危ない。



 俺はミノタウロス族と巨人族の雪合戦を見ながら、火鉢でカツオに似た魚の切り身を炙る。

 室内で炙ると油が凄い事になるからな。

 ふふふ。

 ジックリと炙る。

 カツオに似た魚のタタキだ。

 寒い時期に食べるものじゃないけど、マイケルさんからカツオに似た魚が届けられたのだから仕方が無いじゃないか。

 うん、仕方が無い。

 ポン酢に似たようなものは作って来た。

 ネギも大量に用意。

 ニンニク、タマネギもスライスして待機中だ。

 あー、早く食べた……っ!

 砲弾のような雪球が、俺の火鉢をカツオに似た魚の切り身ごと吹き飛ばした。

 ……

 大丈夫。

 雪にまみれただけ。

 セーフ。

 セーフだよな!


 カツオに似た魚のタタキは、運良く近くにいたクロの子供達に与えられた。

 美味そうに食べている。

 うう……



 カツオに似た魚の切り身はもうない。

 用意した薬味、どうしよう。

 別の魚を炙ってみようか。

 今度は……そうだ。

 わらに包んで焼くのはどうだろう。

 いいねぇ。

 おっと、俺も馬鹿じゃない。

 まずは雪で壁を築く。

 先ほどまでは流れ弾に無防備過ぎた。

 ふふふ。

 これで万全。

 火鉢に炭をいれ、金網を置いてその上に藁に包んだ魚を……

 上空から大量の雪球が落ちてきた。



「すみませーん」

 天使族による誤爆撃のようだ。

 ははは。

 いつの間に参加していたのやら。

 手の空いている者、集まれ。

 対空戦をやるぞ。

 盾を持て。

 雪山の頂上を確保しろ。

 相手に雪球を補充させるな。

 なに?

 もう雪球が当たって失格した?

 気にするな。

 今から再スタートだ。





 雪遊び後のお風呂は気持ちが良い。

 まったりできる。

 ミノタウロス族や巨人族達がゆったりと入れるお風呂を作った方が良いかな。

 数人なら大丈夫だが、合わせて三十人は厳しい。

 風邪を引いていなければ良いが。


 夕食に、魚の炙りが出てきた。

 ちょっと嬉しかった。

 あ、使い損ねた薬味を使おう。



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