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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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ロフイーター


 冬直前。

 俺は温泉地に来ていた。

 同行者はハイエルフが三人とクロとユキ、それにドライム。

 温泉に入りたいというのもあるが、目的は温泉地の施設の整備。

 なんだかんだで使えば傷む……あれ?

 あまり傷んでないな。

 始祖さんがこっちに来た時に、魔法でなにかやってた?

 そうか。

 なら、俺は掃除を中心にやっておこうかな。

 死霊騎士が簡単な掃除はやってくれているが、彼らのメインは警備だ。



 死霊騎士は温泉地の周辺を見回ってくれている。

 最近はライオンが同行してくれているので、警戒できる範囲がかなり広がった。

 良い事だ。

 温泉地に近付く魔物や魔獣は、基本的に狩るスタイル。

 ライオンが縄張りを主張しているらしいのだが、近付く魔物や魔獣は一定数いるらしい。

 それによってプライドが傷付いているのか、ライオンの攻撃は容赦がない。

 手加減できる余裕がないだけ?

 そうか。

 無理のない範囲で構わないからな。

 死霊騎士も引き際を間違えないように……は、大丈夫か。

 木製鎧や盾の調子はどうだ?

 問題なし。

 よかった。



 温泉に入った後、身体を冷まし、宿泊施設の広間にあるコタツに足を入れる。

 うん、やはりコタツは良いな。

 テーブルにミカンを置き、少しのんびり。

 温泉から出てきたハイエルフ達やドライムと共に、まったりする。

 クロとユキは交代でコタツに入ってくる。

 同時に入れるほど大きくはないからな。

 死霊騎士は鎧を脱いだ状態でコタツを利用している。

 ライオンは……うん、すまない。

 入れないな。

 今度、お前達専用のコタツを作ってみようかな。



 ん?

 見回りに出ていた死霊騎士が、部屋に飛び込んできた。

 慌てている。

 緊急事態のようだ。

 まったりしていた空気が、一気に引き締まった。

 コタツに入っていた死霊騎士が、魔法を使って鎧を装着する。

 変身ヒーローみたいだな。

 次にクロとユキ、そしてライオンが外にいき、俺とハイエルフ達、ドライムも続いた。


 外には、見回りに出ていた死霊騎士に同行していたライオンの子供がいた。

 改めて、大きくなったな。

 ライオンの子供に怪我をしている様子はなく、一安心。

 死霊騎士は、ライオンの子供がくわえている大きな虫を指差した。

 その虫を見た俺の感想は……でっかい。

 全長一メートルぐらいか?

 形はバッタのようだ。

 ……

 あと、妙な違和感。

 なんだ?

 バッタ?

 今は冬だが、こんな時期に?

 こっちの世界じゃ不思議じゃないのか?

 俺はハイエルフ達を見ると、顔が青ざめていた。

「村長、マズいです。
 緊急事態です」

「?」

 ハイエルフ達が言うには、この虫がこの時期に存在している事が問題。

 こっちの世界でも冬にバッタは変なのか?

 いや、そうじゃない?

「これはロフイーターと呼ばれる魔虫です」

 冬の間に繁殖し、春になると群を作って一斉に飛び立つ。

 その進行方向にある物は、何もかもが食い尽くされる危険な生物。

 イナゴみたいなものか?

 いや、それよりも酷いらしい。

 なにせ食べ物でない物も食べるとの事だ。

「この森でロフイーターを見るのは初めてですが……放置は危険です」

「対策としては、冬の間にロフイーターの巣を見つけ、潰す事です」

 ハイエルフ達は村に戻り、応援を呼びましょうと提案する。

 死霊騎士達も、急いで対策した方が良いとアピールしてくれた。

 なんでしたら部下を召喚しますよ?

 え?

 そんな事、出来るの?

 骨の兵士を召喚できる?

 時間制限はあるけど?

 へー。

 ちょっと見てみたい。

「村長、なにを悠長に」

 ハイエルフの一人に怒られた。

 いや、ハイエルフ達や死霊騎士が慌てているので、俺も慌てた方が良いのかもしれないが……

 クロ、ユキ、そしてドライムが慌てていなかった。

 その慌ててない理由を、ドライムが説明してくれた。

「この森の虫の王が黙ってはいまい。
 問題なかろう」

 ドライムの言葉を補足するように、クロが頭で後方の森の上の方を指した。

 俺はそちらに目を向けると……

 ザブトンの子供達がいた。

 大小混じって、何百匹と。

 俺の視線に気付いたのか、大きいのが足を一本上げて振ってくれる。

 あ、マクラだ。

 そして一斉に移動を開始。

 冬眠前に、ご苦労様です。



 ロフイーターなんていなかった。

 そんな感じになった。

 これまでも、こっそり対処してくれていたのかもしれない。

 感謝。

 俺達は改めて、温泉に入り、またコタツでまったりした。


 ライオンの子供が銜えてきたロフイーターは……あ、もう食べちゃった?

 いまいち美味しくない?

 お肉の方が良い?

 そうか。

 よーし、それじゃあ今晩は焼肉にするか。

 ははは。

「焼肉は構わないが、ここに泊まるのはマズいのではないか?」

 ドライムの注意に、俺は頷く。

 大丈夫。

 わかってる。



 ルー、ティア、リア、ハクレンが始祖さんに同行して不在の今。

 俺の夜に自由はない。

 これまで、なんだかんだで管理してくれていたんだな。

 他に頼りになりそうなセナ、フラウ、ラスティは妊娠中。

 負担は掛けられない。

 残るはアンとフローラとヤーだが……アンはアルフレートやティゼルの面倒で精一杯。

 フローラはそういった方面は一歩引いている。

 そっちよりも魔法や発酵食品の研究の方が楽しそうだ。

 ヤーは……本人が積極的だからなぁ。


 実は温泉地に来たのも、夜のプレッシャーが昼にも影響を出し始めたから逃げて来たという意味があったりする。

 ルー達、早く戻って来てくれないかなぁ。

 いや、戻って来たら戻って来たで困るか。



 温泉地で焼肉をやった後、俺達はできるだけゆっくりと帰った。

 後日、フラウに相談し、ホリーにその辺りの管理をお願いした。

 面倒を掛けます。


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