挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

231/290

祭りの準備と来客


 始祖さんがさすがに本業で忙しいとの事で、シャシャートの街への通勤? は終わる事になった。

 最後に運べるだけの調味料や食料を運び込んで置いたので、頑張って欲しい。

 困った時はマイケルさんを頼るように。

 ボウリング大会の件は、マーロンに任せているから。

 よろしく。

 あと、始祖さん、ありがとう。

 本当に感謝しているので、始祖さんの為に温泉地の改良を考えておこう。





 村では祭りの準備が始まっていた。

 今年の祭りの内容は、去年やったクイズ大会と体格差別の騎馬戦となった。

 体格差別の騎馬戦は、運動会でやる三人で騎馬を組み、それに騎手が乗って帽子やハチマキを取り合う競技。

 最初は体格差無視だったのだが、ミノタウロス族の組んだ騎馬を見たら凄い迫力だったからな。

 ケンタウロス族のみ、騎馬ではなく単体で参加。

 ただ、ハンデとして騎手はハーピー族か子供達となった。

 さすがにこのハンデで、ケンタウロス族から抗議の声が上がった。

「子供はともかく、ハーピー族は手が無いのですが?」

「そこは足で」

「飛行は禁止ですよね?
 私達に乗った上で、片足で相手の帽子を取らせるのですか?」

「ケンタウロス族ならできるでしょう。
 あれ?
 できないのですか?」

「で、できますよ!」

 対応した文官娘衆の方が上手く転がし……ごほん。

 説得した。

 しかし、なんだかんだいっても祭りだ。

 勝敗に拘り過ぎないように。

 怪我の元だしな。


 シャシャートの街にいるマルコスとポーラは、祭りには不参加。

 俺が街に通っている時に聞いたのだ。

 一時、店を閉めるか従業員に任せて戻って来るかと。

 だが、二人はお店を続けたいと言ってくれた。

 まだ従業員だけに任せるには心もとないのと、お店をやっている事に楽しみを見つけたようだ。

 交代のつもりだったが、本人が望むならこのままシャシャートの街の店を任せるのもありかもしれない。

 まあ、結論を勝手に出すのはよろしくない。

 ちゃんと相談して決めよう。




 祭りの開催日が近づくと、ラミア族四人と巨人族が四人やってきた。

 騎馬が組めるように人数を調整して来たのかな?

 巨人族には同行者が一人と一匹。

 死霊騎士とライオン。

 死霊騎士がライオンを騎馬にしていた。

 あの時のお父さんライオンだ。

 死霊騎士一人だと道に迷うから、連れて来た。

 なるほど。

 そう言えば方向音痴だったな。

 巨人族のいるダンジョンまで送ったけど、その先もフラフラとしそうだったからここまで付き合ったと。

 よくやった。

 魔獣の肉で良いなら出そう。

 すまないが、帰りも頼んだぞ。

 子供達は元気か?

 今度、モフらせてくれ。




 魔王がビーゼル、ランダン、ユーリとやってきた。

 グラッツとホウは手が離せない仕事で不参加らしい。

 話題の中心はビッグルーフ・シャシャート。

 ビッグルーフ・シャシャートの噂は広がっていて、各地から視察が向かっているそうだ。

 精力的な所は真似を始めたらしい。

 ただ、上手く行っていない。

 まず、店が集まらない。

 店が集まっても、思ったほど客が来ないらしい。

 そうだろうな。

 飲食店が集まる事で、ある程度の集客は見込めるだろう。

 そこに行けば何か食べられると思うからな。

 ただ、この世界の料理はそれほど進んでいない。

 前々からルーやティアから言われていたが、シャシャートの街を歩いた事で改めて実感した。

 基本、焼くか煮るだけ。

 どこのお店に入っても、似たような料理。

 俺からすれば大差ない。

 そして味が薄い。

 シャシャートの街は港があるので海産物が豊富だし、近くの村から牛や豚、羊や鶏の肉が流通しているので焼いている物、煮ている物の種類で勝負できるが……

 そうじゃない所は厳しい。

 それに、カレー屋マルーラのように客を集められる店が無いのも厳しい。

 そんな状態で飲食店を集めても、お客は近くの食堂に入るだろう。

 システムを真似したからといって、何もかも上手くいくわけではないのだ。

 村興しと一緒だな。

 上手くいった場所の真似をしたからと、上手くいくわけじゃない。

 その場所にあった事をしないと。

 ……

 説教臭くなった。

 反省。

 だけど、他の街を混乱させたくはない。

 逆恨みされるのも嫌だしな。

 魔王達に伝えるのは当然として、マイケルさんにも伝えておこう。

 今回の祭りに来てくれたら良かったのだが、なんだかんだと忙しいようだ。

 まあ、俺が振った仕事もあるのだろうけど……申し訳ない。


 あと、例のアルバトロス家の嫡男。

 教会で真面目に労働しているそうだ。

 最初は不真面目だったが、なんでも彼の友人が教会を訪れ、率先して労働する事で彼も心を入れ換えはじめたと。

 そういった友人がいるなら、あんな真似をしないのではと思ったが、話を聞くと悪友だったらしい。

 ただ、その友人は彼に先立って心を入れ換え、アルバトロス家の嫡男と喧嘩別れしたそうだ。

 もう付き合わんと宣言していたが、アルバトロス家の嫡男が教会に預けられた事を知っていてもたってもいられなくなったと……

 その友人は通いだが、頻繁に教会に行っている。

 と、ランダンが説明してくれた。

「詳しいな?
 調べたのか?」

「その友人は、シャシャートの街の代官の息子なんだ」

 なるほど。

 シャシャートの街の代官は色々な人から優秀と聞いている。

 グレてた息子も更生させたのか。

 凄いな。

 いや、本当に凄ければグレる前に対処しているか。

 だが、それでも大したものだ。

 ……

 アルフレート達はグレないと信じているが、未来の話だからな。

 しっかりしたコミュニケーションを心掛けよう。


 ユーリはフラウや文官娘衆達と再会を喜びつつ、お茶を楽しんでいた。

「シャシャートの件。
 貴女達はどれだけ関わっているのです?」

「食材の管理ぐらいです。
 お店の方はまるっきり……申し訳ありません」

「そうなの?
 困ったわね」

「なにかありましたか?」

「なにかありましたって……ここの村長がシャシャートの街でやった事は知っているわよね?」

「ええ。
 お店を建てたのですよね。
 村長が言うには、考えていたよりも広い店になっててビックリしたと」

「ビックリしたって……それで済ませるの?」

「村長ですから」

「そうかもしれませんが……ともかく、私もある程度の情報が欲しいのです。
 お父様達のように情報源があるわけではありませんから」

「素直に村長に聞けば良いのでは?」

「そうかもしれませんが、対価がありません」

「大丈夫です。
 ちょっと面白い格好をすればすぐに教えてくれます。
 準備を」

「面白い格好?
 え?
 え?
 なにを言っているのです?」

 いや、面白い格好をしなくても教えるぞ。

 どんな格好をするか、ちょっと興味があるから言わないけど。

 ……

 オオカミの着ぐるみパジャマか。

 面白いというより、可愛いだな。

 意外と気に入っているようだが……

 その格好で歩くと、魔獣と間違われるんじゃないか?

 前からはともかく、後ろからは立っているオオカミに見えるからな。

 あ、そのポーズは可愛いぞ。

 はいはい、なんでも聞いて。

 喋るから。




 魔王達に遅れ、ドース、ライメイレン、ドライム、グラッファルーン、それとギラルがやってきた。

「グラルー、元気にやっていたか」

「うん」

 微笑ましいギラルとグラルの抱擁。

 それを見て、ドース。

「ハクレーン、元気にやっていたか」

「……」

「冷たいっ、その目が冷たい」

 なにをやっているんだか。

 その横でドライムとグラッファルーンがラスティを甘やかしていた。


 しかし……

「今回は少ないんだな」

「うむ。
 太陽城の件でな。
 用心した」

 ドースが答えてくれる。

 なるほど。

 太陽城はドラゴン族が集まる事で、移動する事が組み込まれていた。

 他にもあるかもしれないと。

 気を使わせたようだ。

「本当は私もライメイレンも遠慮するつもりだったのだがな」

 ドースの視線が、ヒイチロウを可愛がっているライメイレンに向けられる。

「楽しみにしていたようで、言い出せなかった」

 だろうな。

 俺がその立場でも言いたくない。




 祭り当日。

 徐々に各村からも人が集まってきた。

 今年は四村こと太陽城の悪魔族、夢魔族、それとベルが初参加だ。

 ゴウは留守番らしい。


 祭りは騎馬戦がメインだからというワケではないが、今年の会場は闘技場ではなく競馬場で行われる。

 その競馬場の横にテントが設置され、食事が提供される。

 以前作ったキャンピング馬車も活躍。

 祭りの時に便利だな、これ。

 もう二~三台……いや、年に数回しか使わないしなぁ。

 今後、みんなに相談してみよう。


 ん?

 そろそろ、祭りを始めるから開会の挨拶?

 了解。

 そのままクイズ大会だったな。

 わかった。

 それじゃあ、今年の祭りを始めよう。




+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ