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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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ダンジョンイモ


 ダンジョンイモ。

 室内でも育つ優れた食べ物。

 成長も早く、収穫量も悪く無い。

 問題は味。

 美味しくないのだけが弱点。

 まあ、植物だって食べられる為に育っているわけじゃないからな。

 不味い食べ物もあるだろう。

 とりあえず、ダンジョンイモの改良計画第一弾として、太陽の下での生育を試している。

 環境が変われば、味も変わるかもしれない。

 そう思って太陽城の畑でダンジョンイモを育てていた。

 ちなみに、改良計画第二弾は検討中。


 そのダンジョンイモ。

 爆発的に育っていた。

 畑を埋め尽くし、他の畑にまで侵食を開始。

 ベルからの連絡で太陽城に来た俺は、畑の外に出ている分を伐採。

 柵を作ったが……

 すぐにツタが絡みつき、柵を乗り越えた。

 こういった植物なのだろうか?

 しかし、このままでは太陽城がダンジョンイモに支配されてしまう。

 どうしたものか……

「村長。
 この成長速度の速いダンジョンイモ、イモがありません」

 畑作業をしている悪魔族の言葉で、成敗が決定。

 すまぬ。





「まさか、また目にする機会があるとは……」

 ダンジョンイモに関して、知識があったのは魔王。

 ダンジョンイモは日光に当てると激しく成長し、その成長に栄養を使うのでイモをつけない。

 災害植物と言われる植物らしい。

「災害と言っても、日光下だと一ヶ月もすれば勝手に枯れる。
 早めに処分したければ、夜にやれば良い。
 日光には反応するが、松明や魔法の光には反応しないからな」

 なるほど。

「ただ、日陰で育てても実るイモが美味くない」

 確かに。

 つまり作物としては駄目なのか?

「いや、味は悪いが収穫量の面で優れているからな。
 昔の領主達は、魔物対策や飢饉対策に育てていた」

「魔物対策?」

「魔物が好むからな。
 誘い出す時の罠や、万が一襲われた時の時間稼ぎとして使われたのだ」

 だが、今から二百年ぐらい前、ダンジョンイモだけが掛かる疫病が大流行。

 ダンジョンイモは全滅した。

 太陽城は隔離状態だったから、その疫病に掛からなかったのかな。

「エサを無くした魔物が各地で暴れ、苦労した。
 特に人間の国からのクレームが酷くてな。
 我らが魔物を操っているのではないかと……思い出しただけで腹が立つ」

 ちなみにその時、魔王は一地方の貴族だったらしい。


 その後、魔王国でダンジョンイモの代わりに育てられたのがフェアリー小麦。

 ダンジョンイモと同じように日陰で育てられていたのだが、こちらは日光下でも普通に育つ事が判明。

 荒地でもそれなりに育ち、味も良いので人気に。

 ただ、収穫量が少ないという欠点があった。

 このフェアリー小麦。

 魔王国よりも、人間の国で流行った。

 育てやすくて味も良いのだ。

 そりゃ流行る。

 収穫量の少なさをカバーする為に広い土地が必要とされたが、人間の国はガンガンと育てた。

 最終的には、育ててない地域は無いぐらいにまでになった。

 魔王国側では広い畑の確保が難しく、ダンジョンイモを育てていた場所での生産ぐらいだった。

 それが良かったのだろう。

 今から十五年ほど前。

 フェアリー小麦だけがかかる疫病が流行し、人間の国は大飢饉状態になった。

 魔王国でも飢饉になったが、人間の国ほどではない。

 でもって定番の「魔王国の所為だ」と言われて戦争勃発。

 今も続いていると……


「戦争よりも農業をやれよな」

「まったくだ。
 しかし、フェアリー小麦を育てていた畑は他の作物が育ち難くなっていてな」

「え?」

「人間の国では、今も大半の畑が使い物にならないままになっている。
 戦争に目を向けるのも仕方が無い事かなと」

「人間の国、食料はどうしているんだ?」

「無事な畑と、新しく作った畑でなんとかだな。
 後はエルフの国やドワーフの国からの購入。
 おおやけにはできないが魔王国からも買っている」

「戦争相手から食料を買ってるのか?」

「一応、禁止の通達は出しているのだがな。
 難しいところで、本気で取り締まれん」

 食料の取引目的で、魔王国との戦いを抑えようとする勢力があるそうだ。

 ガッチリと取り締まると、そういった勢力が力を失い、最悪は殲滅戦が展開されるかもしれないと。

「魔王国も食料が潤沢というワケではないのだがな」

 そうなのか。

 しかし、村の生産力を上げたところで、どうしようもない。

 無力だ。

 ……

「魔王国では、フェアリー小麦は日陰だけだったのか?」

「いや、多少は普通の畑でも作っていたぞ」

「その畑は、何も育たないのか?」

「そうだな。
 大半は今でも荒地のままだ」

「そこでダンジョンイモ、育ててみないか?」

「どういう事だ?」

「ダンジョンイモは日光を当てれば、育つだろ。
 その畑でも育つんじゃないかと思ってな」

「そうかもしれないが、日光で育てたダンジョンイモは実を付けんぞ」

「実が目的じゃない」

「?」

 原因が何かわからないが、フェアリー小麦の畑だった場所は他の作物が育ち難い。

 だったら、フェアリー小麦の畑じゃなくしてしまえば良い。

「あ」

「上手くいくとは限らないが、実験してみたらどうだ?」

「そ、そうだな。
 やってみよう」

 連作障害なら、特定の栄養素の不足が原因。

 ダンジョンイモが枯れたら、そのまま肥料になるかもしれない。

 失敗しても、放置されている畑なら問題ないだろう。

「普通に日陰で育てるのも、やっていいだろうか?」

「もちろんだ」

 健闘を祈りつつ、俺は魔王にダンジョンイモの種イモを渡した。





 ダンジョンイモ。

 魔物が好むとの事だったが、村では……

 クロ達は駄目。

 ザブトン達は喜んで食べている。

 スライム達は無視。

 ……

 温泉地のライオン一家は、渋々食べるといった感じだろうか。

 いや、無理しなくて良いぞ。

 死霊騎士は?

 目線を合わせない。

 駄目なんだろうな。


 ラミア族、巨人族は食べてみて、普通に村のイモの方が良いと言ってくれた。

 ありがとう。

 ただ、両者共に育ててみるらしい。

 ラミア族のところは、飼っている蛇達が気に入ったようなので。

 巨人族のところは、ブラッディバイパーのエサ用として。

 イモで腹いっぱいになってくれるなら、巨人族の安全度が高くなるからな。

 魔物が喜ぶ事と、日光の下で育てない事を注意して、種イモを渡す。



 実験。

 ダンジョンイモを大量に網袋に入れ、森に放置してみた。

 もちろん、村からかなり離れた場所だ。

 数時間後、虫系の魔物が群がっていた。

 討伐も考えたが、数が多過ぎたので放置。

 ダンジョンイモがダンジョンで育てられていた時には群がらなかったのかな?


 今度はダンジョンイモを大量に網袋に入れ、地中に埋めてみた。

 数日放置しても無事だった。

 掘り返されたりもしていない。

 なるほど。

 ダンジョンイモは地中にある間は魔物に狙われないと。

 ……

 ダンジョンには、ダンジョンイモを掘り起こす役目の魔物や魔獣がいたのかな?

 謎が多い。



 ダンジョンイモを酒にする実験。

【万能農具】で手伝ったので、早々に酒にはなったが味がイマイチ。

 サツマイモなどで作った酒には敵わないと、ドワーフ達が残念がっている。

 一部を残して蒸留を重ね、アルコール摘出用にする予定。



 ダンジョンイモを料理する実験。

 鬼人族メイド達が粉にしたり蒸したりした結果、味は無味系、弾力ある食感が面白いコンニャクのような物が出来た。

 加工食品なのでそのままでも食べられるが、茹でると美味しい。

 あのイマイチだった味が……驚くほど美味い。

 ダンジョンイモはコンニャクイモだったのか?

 いや、コンニャクイモはもっとこう大きな球根みたいなヤツだった。

 ……

 細かい事は気にしない。

 美味い食べ方が見つかって満足だ。

 褒賞メダルを鬼人族メイドに贈呈。


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