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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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慶事とフーシュのお礼


 昔のルーは中学生ぐらいのサイズで日中を過ごし、夜は大人サイズだった。

 子供を産んで以降は、常に大人サイズ。

 理由を聞くと……シンプルに子供に顔を覚えてもらう為。

 そうだな。

 会う度にサイズが変わると、子供が混乱するよな。


 なんだかんだで子供の事を考えてくれるルー。

 色々と不安もあったが子育ても出来ている。

 本人が言うにはまだまだで、アン達の助けがないと無理との事。

 俺もそうだ。

 十分に父親をやれているか自信がない。

 一応、子供のいる先達に話を聞いたが……

「妻に任せている」

「妻の意見を聞く事だ」

「妻に逆らうな」

 ドライム、ビーゼル、ガルフの意見。

 参考にならない。

 村に夫婦でいる獣人族のガットは……最近まで別居、子供が産まれた事すら知らなかったからな。

 俺と同じで悩んだり、苦労したりしているのだろうか。

 今度、一緒に飲んで話を聞こう。



 その前に夫婦の話し合いだな。

 いやいや、二人目とかそういう話ではなく、アルフレートの教育に関して。

 ……はい。

 お任せします。



 子供を前にすると、女ではなく母という事だろう。

 ……

 諦めたりはしない。

 俺はお父さん。

 ティア、ちょっと相談が……いや、二人目とかそういう話ではなく、ティゼルの……



 先達の意見は正しいのかなと思う。





 父親として悩み始めたのは、最近のウルザを見ているからだ。

 大人しいアルフレートやティゼルも、あんな感じに暴れだすのだろうかと不安になる。

 獣人族の男の子達が村に来た時は大人しかったが、最近はウルザと一緒に怒られている事が多い。

 流石に与えられた仕事をサボったりはしていないが……

 前よりは笑顔が増えたと喜ぶところなのだろうか。

 ……

 現在、ウルザはザブトンの上に乗っている。

 ガット夫妻の娘、ナートも一緒だ。

 どうやら、クロの子供達のように移動しろと言っているようだ。

 ザブトンは賢いし、暴れているところを見ないが……

 ん?

 ザブトンが器用に足を使って上に乗っていたウルザとナートを降ろし、自分の前に立たせた。

 怒るのかなと思ったら違った。

 ザブトンは前足四本を凄い速さで動かした。

 同時にウルザとナートの服が消え、下着姿になったと思ったら綺麗なドレスを着ていた。

 フリルいっぱい、リボンいっぱいの可愛い系。

 二人は自分の姿に驚いている。

 ザブトンは服の出来に頷き、片足を上げて挨拶した後、去っていった。

 その場に残るウルザとナート。


 二人を探していたのだろう鬼人族メイドが近づいたが、二人は大人しい。

 なるほど。

 女の子だもんな。

 綺麗な服を着れば、それに合わせて大人しくなる。

 ザブトン、頼りになる。

 そう思っていたら、鬼人族メイドが鈍い悲鳴を上げた。

 見ると鬼人族メイドが地面にうつ伏している。

 え?

 なにがあった?

 俺は駆け寄る。

 ウルザもナートもオロオロしている。

 うつ伏せになっている鬼人族メイドは……気を失っているわけじゃないな。

 苦痛に耐えているようだ。

 大丈夫か?

「だ、だい、大丈夫……ですが……フローラ様の治療魔法が欲しいです」

 一体何がと思ったが、すぐにわかった。

 ナートは普通に歩いている。

 ウルザはゆっくり、大人しく歩いている。

 鬼人族メイドは、気付かずにウルザを抱かかえようとしたのだろうな。

 ウルザは鬼人族メイドでも抱えられないレベルで重かった。

 いや、ウルザが重いのではなくウルザの新しい服が重いのだろう。

 なるほど。

 ウルザが素直に大人しくなったのは、これが理由か。

 だよな。

 服が綺麗になっただけでウルザが大人しくなるわけがないよな。


 驚く所は二点。

 見た目はフワフワな感じなのに重い服。

 そして、その服を着て平気なウルザ。

 流石に走るのは無理っぽいが……

 俺の頭の中では、某漫画の修行シーンが出てくる。

 この服で生活をすると……脱いだ時に凄い事にならないか?

 そう言えば、始祖さんにウルザを紹介された時、色々と技を持ってるとか言ってたような……

 考えないようにしよう。

 ナートの服は普通のようだ。

 良かった。


「二人とも良い服だな。
 美人だぞ」

 子供に可愛いは禁句。

 知ってる。

 俺は鬼人族メイドを背負い、フローラの所に向かった。




 後日。

 俺はあの重い服を着て普通に走るウルザに戦慄した。

 えーっと……その服を着てクロ達に乗らないように。

 馬も駄目。

 ザブトンに頼み、普通の重さの服にしてもらった。

 周囲の被害が大き過ぎる。





 慶事。

 ハクレンの妊娠が発覚した。

 やる事をしているので、当然といえば当然。

 祝う。

 祝うが、疑問が一つ。

 ドラゴンはどんな感じで子供を産むのかな?

 ドラゴンって卵生のイメージがあるが……

 ドライムに聞くと、ドラゴンの姿で妊娠したら卵生。

 人間の姿で妊娠したら人間と同じように出産する。

 なるほど。

 ただ、妊娠すると出産まで姿が固定されるので注意との事。

 実際、ハクレンがドラゴンの姿になろうとしてなれず、ラスティに相談。

 ラスティでも解らず、ドライムに来てもらって妊娠が発覚した流れだ。

「姉上。
 改めて、おめでとうございます」

「ありがとう。
 まさか、私がねー」

「ははは。
 では、さっそく父上に連絡を……」

「それをすると、出産までここで宴会を続けるんじゃないかな?」

「……ありえそうですね」

「連絡はお母様に先にお願いね。
 お父様には数日、遅らせてから。
 それ以外には知らせないように」

「承知しました。
 妻には?」

「そこは構わないわよ。
 ただ、言い触らさないようにちゃんと言ってね」

「はい。
 護衛に誰か寄越しましょうか?」

「この村から出ないから大丈夫。
 ラスティもいるしね」

「わかりました。
 何かありましたら」

「そうね。
 頼りにするわ」



 それから数日間、ドラゴンの来訪が多かった。

 ライメイレン、ドマイム、クォン、スイレン、マークスベルガーク、ヘルゼルナーク、セキレン、クォルン。

「ドースが来ないな?」

「お父様はお母様にここに来ないように厳命されましたから」

 セキレンがそう教えてくれる。

「それはまた……暴走するのか?」

 ラスティやヘルゼが産まれる時、やらかしたらしい。

 なるほど。

 ありがとうライメイレン。

 しかし、来るドラゴン、来るドラゴンが護衛を置かなくて良いかと心配する。

 妊娠中のドラゴンを狙う連中でもいるのだろうかと思っていたら、妊娠中のドラゴンは気が荒くなっているから周囲を守る為に必要との事。

 ……

 ちょっと護衛リスト、見せてもらえるかな?

 万が一に備えて。

 ほら、ラスティも賛成してるし。

 護衛リストは二名。

 ライメイレンとグラッファルーン。

 ドースの妻と、ドライムの妻。

 ドラゴンを押さえ込めるのはドラゴンね。

 なるほど。

 ハクレンが断っているし、気が荒くなっている予兆を確認してからにしよう。




 そんな感じに賑やかな中、フーシュのお礼が届いた。

 男女のカップルが十組で、合計二十人。

 一村の移住者だ。

 フーシュの引率で、十一人の身形の良い者達が護衛役で同行していた。

 総出で出迎えたいが……

 移住するのは普通の一般人との事なので、クロ達やザブトン達は自主的に控える。

 遠慮する事はないのにと思うが、怖がられるのは悲しいからな。

 ああ、ライメイレン達はハクレンの傍で……

 ハクレンも無理しなくて良いんだぞ。


 なぜだろう。

 挨拶をする前に護衛の半数が気を失っていた。

 疲れていたのだろうか?

 ハイエルフのリアや、リザードマンのダガを見て驚いていたしな。

 一人はウルザに追われて飛び出した猫にビックリして気を失っていたが……

 彼らを宿に運んで寝かせ……

 フーシュが一団を代表して頭を下げる。

「移住の受け入れ、ありがとうございます」

 薬のお礼での移住だが、一応はそういう事になっている。

 色々と面倒な事情があるらしい。

 移住者の代表がフーシュの横に来て頭を下げる。

「よ、よろしくお願いします」

 極めて一般人的な男性。

 妻だろう人物も、どう見ても一般人の女性。

 どういった理由で移住をする事になったかは、おいおい聞くとして……

「こちらこそ。
 よろしくお願いする」

 一村に案内する前に、宿で休んでもらおう。

 護衛の人達も疲れているみたいだしな。

 うん。

 賑やかになるな。

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