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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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二つめの穴


 温泉を堪能した後、俺達は黒い大きな岩のある穴の場所に移動した。

 ハクレンが燃やした跡が痛々しいが、場所がわかりやすくていい。

 穴に入るのは、まず始祖さんが先行。

 大丈夫だとは思うけど……

 始祖さんが全力で出てきた。

 その後ろに続く、黒い手……

 その正体は、三十センチぐらいの虫の集団だった。

 ハクレンが燃やした。

 穴の中も念入りに。

「び、びっくりした……」

 始祖さんが、心を落ち着かせていた。

 苦手ではなくても、不意打ちで大量の虫には驚かされるらしい。


 穴に再侵入。

 今度は全員で。

 一応、俺とウルザに空気の毒を防ぐ魔法を掛けてもらう。


 俺は始祖さんに。

 ウルザはハクレンに抱えられて穴の中に降りた。

 ハクレンの炎は凄い火力だったようだ。

 熱を感じる。

 ……

 下は真っ白な灰の山だった。

 本当に大量に居たんだな。

「念の為、横穴に向かって炎を」

 始祖さんの指示に従い、ハクレンが炎を吐く。

 東側、西側……ん?

 もう一つあるな。

「こっちはどこに?」

「そっちはすぐに行き止まりだよ」

 すぐにとは言っても、行き止まりまで一日ぐらい歩くらしい。

 そっちにもハクレンは炎を吐いておいた。


 目当ての黒い大きな岩は、灰の中に隠れていた。

 灰を始祖さんの魔法で操り、東側のトンネルに送り込んで塞ぐ。

 灰だからどんなものかと思ったけど、かなり圧縮したらしく硬い。

 水をかけるとどうなるのかなとか思ったが、後回し。

 本命は黒い大きな岩。

 うん。

 本当に黒い。

 真っ黒。

 始祖さんの魔法で周囲を照らしてもらっているが、光が届いていないような感じだ。

 俺は【万能農具】をクワの形で手にする。

 すると……

 やはり嫌な雰囲気。

 岩の下から黒いモヤが出て、ウネウネとしている。

 ……

 気持ち悪いので、耕す。

 黒いモヤがなくなった段階で、黒い大きな岩を彫る。

 創造神の姿ではなく、光神の姿で。

 始祖さんとの話し合いの結果で、こうなった。

 創造神でも構わないが、同じのが何箇所もあるのはどうだろうとなったのだ。

 では、別の神様という事でなり、サイコロで決めた。

 俺としては農業神にしたかったが、この黒いモヤに対抗するには不安があった。

 農業神が駄目なんじゃない。

 黒いモヤに対抗するイメージが出来なかっただけだ。

 光神のモデルは、コーリン教にある御神体の一つ。

 始祖さんが資料を持って来てくれたので問題はないが、完成形がイメージと違っても許して欲しい。



 半日ほどで完成。

 完成すると、黒い光神像が徐々に白くなっていく。

 創造神像の時と同じだ。

 うん、これで黒いモヤは解決だな。

 ……

 よーく見ると、光神像の下から黒いモヤの糸が頭上の穴に向かって何本か伸びている。

 ……

 …………

【万能農具】で全部、切っておいた。

 創造神像の方は大丈夫だろうか?

 村に帰る前に寄って確認。

 問題なさそうだ。


 こっちも神殿にしたいだろうけど……

 今年の冬は勘弁して欲しい。

 すでに本格的な寒さになってきている。

 たぶん、あと少しで雪が降るだろう。

 地上の穴を近くで切った丸太を並べて塞ぐ。

 これで大丈夫だろう。

 ……

 俺は始祖さんに抱えてもらい、空に浮かぶ。

「創造神様の像は……こっちか?」

「正確にはもう少し……そこだ」

 俺を抱えている始祖さんが、身体を動かして俺の指先を操作する。

「………………………………………………」

「どうした?」

「んー……気のせいかもしれないけど…………」

「そういった時は大切な時の方が多いぞ」

「そうか?」

「そうだとも。
 言ってみるがいい」

「光神の像を造った場所なんだが、行き止まりのトンネルがあっただろ」

「ああ」

「それなんだが……掘っている最中だったんじゃないか?」

「……」

「で、あの黒い大きな岩に意味があるなら……行き止まりのトンネルを掘り進めば、またあるんじゃないか?」

「考えられるが……私でも早々に掘れるものではない。
 確かめようがない」

 俺は始祖さんに言って、地面に降ろしてもらう。

 そして地面に【万能農具】で図を描く。

 一辺の長さを、創造神像と光神像として……行き止まりのトンネルのあった角度は……これぐらい?

 同じ長さ進めて、同じ角度で角を作っていくと……

 正七角形?

「あと五つあると?」

 俺の書いた図を見て、始祖さんが聞いてくるが困る。

「いや、そうじゃないかなぁって思っただけだから……」

「しかし……この図の通りとするなら……ふむ」

 始祖さんは少し考えた後、笑顔でこう言った。

「村に帰ろうか」

 俺もそうしようと思う。

 ウルザが飽きてグズって、ハクレンも困っているから。



 その日はよく眠れた。

 多少の心残りはあるけど、一応はスッキリしたからだろう。



 翌朝。

 笑顔の始祖さんが言った。

「三つ目、見つけたよ」

「え?」

「あの図の場所にあった。
 流石だね」

 話を聞くと、始祖さんはあの後、一人で計測したらしい。

 ガーゴイルを設置する事で方向と距離がわかるので、それを利用したとの事だ。

 目的地で二百メートル掘るのが大変だったけど、なんとかなったらしい。

 始祖さんの横で、疲れているルー、フローラ、ティア、グランマリア達……

 なんとかしたようだ。

 ああ、昨日の晩、俺はよく寝れたわけだ。

 ラスティは不在、ハクレンはウルザがくっついているからな。

 アンは……アルフレートやティゼルの世話ね。

 なるほどなるほど。


「でもって、発見と同時に魔物が集まり出してね」

 その日から、俺、始祖さん、ハクレンで黒い岩を加工する作業が始まった。

 ウルザはお留守番。

 その判断に文句を言ったのはハクレンだったけど、流石に危ないからね。

 アンに任せた。


 忙しかったけど、しばらく夜はぐっすり眠れた。












 落神

 我は神であった。

 だが、忌々しき神々との戦いに敗れ、我が地位と名は奪われた。

 この身は大地の奥底に封じられ、そのまま朽ちるだけだった。

 許さぬ。

 そんな事は許さぬ。

 我は何千年、何万年経とうとも、神を打ち滅ぼす!

 この恨みは忘れぬ!

 忌々しき神々を全て滅ぼすまで、我は世界を呪い続けてやる!

 我を封じたと安心しているがいい。

 我も馬鹿ではない。

 いくつもの復活の為の仕掛けをしている。

 我が復活した時、その時がお前らの最後だ!


 さて、こんな感じで考えていた我だが……

 先に言っておく。

 我は神だ。

 そして、神でも痛いものは痛い。

 想像して欲しい。

 足のスネにデッカイ杭を打ち込まれるのを。

 悶えるよね。

 超悶えるよね。

 封じられた身じゃなかったら、足を抱えてゴロゴロと転がるよね。

 でもって、こっちは復活に備えて寝ていたんだ。

 パニック。

 超パニック。

 なに、なに?

 え?

 どうしたのって感じでパニックになるよね。

 状況を理解した時、愕然としたね。

 我を封じていた岩が憎むべき創造神の姿になって、強固になっていた。

 オリに閉じ込められ、一生懸命削っていたのに半分ぐらいの所で新しいオリに入れなおされた気分。

 しかも、前のオリよりも硬いでやんの。

 神々の仕業かってブチ切れたね。

 でも、封じられてるから何もできない。

 身動きも出来ない。

 でも痛みはある。

 久しぶりに呪いを出したね。

 うん、集まるのは虫ばっかり。

 我の力も衰えたものだ……

 しかし、たった一箇所が強固になっただけだ。

 痛みだってまだ我慢できる。

 前向きにって思っていたら二箇所目、やられました。

 露出していたのが駄目だったか。

 しかも、ドラゴンなんてズルい。

 あいつら、神相手だって喧嘩する凶暴な奴らだぞ。

 ドラゴンは許して俺は許さんって神々め。

 ま、まあ、いい。

 やられたのは露出している二箇所だけだ。

 我が復活する為の仕掛けが上手く作動していたが、神に気付かれたのだろう。

 残念だが……まだまだ仕掛けはある。

 復活が百年ほど遅れるだけだ。

 そう思っていたら三箇所目、やられました。

 やったのは……忌々しい神々ではなく、人間だな。

 うん。

 あいつら、埋まっている箇所を的確に狙ってきました。

 痛いのが限界だったので、身体の一部を切り捨てました。

 力をかなり失ったけど、まだ神性は残っている。

 そして、我は賢いので未来を予想できる。

 ほら、予想通り四箇所目が発見された。

 ……

「助けて、神っ!
 今までの事、色々と謝るからっ!」


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