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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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神殿への道



 始祖さんがやって来た。

 帰って来たというべきか?

 色々と仕事で忙しかったらしい。

 冬場なのにと思ったが、宗教関連は冬場でも忙しいようだ。

 始祖さんはすぐにでもと言っていたが、あまりの疲労具合に行動開始は二日後と説得した。

 風呂と食事を勧め、休んでもらう。

 始祖さんの転移魔法が頼りの面もあるしな。



 同行者は……神殿造りなのでハイエルフ達を中心に、食事当番と護衛を考えて編成。

 ハイエルフ、十名。

 リザードマン、五名。

 山エルフ、五名。

 鬼人族メイド、二名。

 クロの子供達、五十頭。

 夜は始祖さんの魔法で村に帰るので、荷物はそれほど多くない。



 現場に到着。

 温泉調査隊が帰りに宿泊した跡が残っている。

 少し歩いた場所に直径四メートルぐらいの穴。

 この穴の底に創造神像に加工した大きな黒い岩がある。


「まずは作業拠点を作りましょう」

 ハイエルフの提案に従い、宿泊した跡をそのまま使う。

 食事用のテーブル、椅子を設置し、雨避けの布を上に張る。

 調理場は……そのまま残っていたけど、作り直す。

 こんなものだろう。

 次に、資材置き場っぽい場所を穴の傍に用意。

 こっちにも雨避けの布を上に張っておく。

 そんな作業をしている間、クロの子供達がいくつかのグループに別れて周辺をチェック。

 冬だというのに魔物、魔獣がそれなりにいたらしい。

 運ばれてきた魔獣の血抜きを行う。

 神殿を造る前に血で汚して大丈夫かな?

 ……

 やってしまったものは仕方が無い。

 貴重な食料でもあるしな。

 神殿造りの前にはしっかり手を洗おう。



 周辺は燃えているので、少し歩いて無事な森で木材を調達する。

【万能農具】大活躍。

 石材は……地下に行くのだからそこで調達すればいいだろう。


 始祖さんは単独で穴に潜り、内部の安全確認。

 大丈夫だとは思うが、穴に潜って冬眠している魔物や魔獣がいるかもしれないからだ。

 戻って来るのが遅かったけど、中に魔物や魔獣はいなかったようだ。



「とりあえず、計画としては創造神様の像の周辺を飾る方向ですが……
 地上部分はどうします?」

 地上部分。

 当然、穴の事だ。

 塞ごうとは思っていたが、実際にどうやって塞ぐのかが問題だ。

 穴は自然に空いた穴ではなく、アースラットが開けた穴だ。

 直径は四メートルぐらいで大きいと言えば大きいが、深さが直径に似合わないぐらい深い。

 正確にはわからないが、二百メートルぐらいはありそうだ。

 アースラットのトンネルがダンジョンの下にあるのだから、それぐらいあっても不思議じゃないか。

 逆に浅いのかもしれない。

 穴の側面にネジ穴のような溝がある事から、アースラットが真上に向かって掘ったのではなく、上に向かって螺旋を描くように掘ったと推測できる。

 真っ直ぐ上に向かって掘ると、落ちちゃうからな。

 意外と賢い。

 野生の知恵か?

 いやいや、操られてたんだったな。

 ……

 しかし、この穴。

 なぜ存在するのだろうか?

 あの大きな黒い岩が目的だと仮定しよう。

 横から掘って大きな黒い岩を発見。

 その後、黒い岩の真上に掘って地上に……

「始祖さん。
 そう言えば、穴の底にある黒い岩。
 もう一箇所あるんだよな」

「ああ」

「そっちも上に穴が?」

 あったらしい。

 うーん。

 考えても答えがでるわけじゃないからな。

 今はこの穴をどうするか。

 埋めるなら、どうやって埋めるか。

 それが大事。

 二つ目の黒い岩も創造神様の像にするかどうかが大事ではないのだよ、始祖さん。



 穴を埋めるかどうかは保留。

 落下防止の為に木で蓋っぽい物を作って、置いてみる。

 ……

 貧相。

 そして逆に危ない感じがする。

 石で穴の周囲を取り囲み、蓋が動かないようにすべきかな?

 ……

 後回し。

 作業のメインは地下。

 創造神様の像の周囲だ。


 ザブトンの糸を編んで作られたロープを使って地下に木材を運ぼうと考えたが……ロープが短い。

 木の強度を信じて落とす?

 うーん。

 抵抗感。

 でもって、穴の底には創造神様の像。

 止めておこう。

 始祖さんに運んで貰う?

 それも手間だろうな。

 となれば……

 よかろう。

【万能農具】の出番だな。

 穴から少し離れた位置に、新たなに穴を掘る。

 アースラットに出来て、俺に出来ない事はない。

 アースラットの縦穴の周囲を、螺旋を描くように斜め下に向かって掘っていく。

 掘る前に始祖さんに空気の毒から身を守る魔法を掛けてもらっているので、酸欠の心配は不要。

 地下の創造神様の像がある場所も、風の精霊がいるから大丈夫と言ってた。

 遠慮なく掘る。

 掘る。

 掘る。

 水が出てきた。

 うおおっ、溺れる。

 ……

 そうだよな。

 水が出る事、考えてなかった。

 待て待て。

 創造神様の像はもっと深い。

 水が湧くのを防ぐ手があるのだろう。

 ……

 思いつかない。

 俺はアースラットよりも無能なのか。

 いや、アースラットは操られていたのだ。

 ヤツを操っていたのは死霊王。

 やるな死霊王。

 あ、ウルザの姿じゃなくて、なんかこー、怖い感じのヤツで。

 そうそう。

 やるな死霊王。

 よーし。

 みんなと相談だ。

 湧き水対策。

「魔法でなんとかなりますよ」

 魔法、万能過ぎ……

 え?

 木材も魔法で落下させる?

 落下速度がコントロールできるから大丈夫と……

 なるほどなるほど。

 ……

 穴は掘り続ける。

 移動するのに必要だからな。

 決して、意地になったワケじゃないぞ。

 穴堀りで出た土は、始祖さんが生み出した土人形達が運んで外にやってくれる。

 数日掛けて、俺の穴は創造神様の像がある空間に到達した。

 そして、目に飛び込んできたのは運び込まれた大量の木材と測量を始めているハイエルフや山エルフ達。

 ……

 俺と土人形は、それらを見なかった事にして到達を祝うハイタッチをした。




 創造神様の像のある空間は、魔法の光で照らされている。

 上の穴は光を取り込むには狭くて長過ぎるので役に立たないらしい。

 つまり、あの穴はそれ以外の目的と……

 移動用にしてもおかしいしな。

 ……

 魔法の何かで穴が必要とか?

「風の精霊を留まらせる条件としては必要ですね」

「単純に、地上の様子を知る為とか」

「操られていたのですよね。
 到達したら上に向かって掘れとか指示されていただけでは」

 結論、よくわからない。

 だよな。

 放置。

 もう考えない。


 神殿造りを始める。

 俺の考えでは、この空間に神殿を建設するつもりだったのだが、始祖さんやハイエルフ達から却下された。

 この空間を加工し、神殿内部として作り変える方向がベストだとの事。

 降ろした木材は?

 主に壁の加工の為の足場ね。

 計測してたのは?

 灯りを置く場所とかを計算してただけね。

 了解。

 つまり……

【万能農具】の出番ですね。


 ハイエルフ、山エルフ達が灯りや祭具を置く場所を指示し、俺が削って造る。

 後はデザイン面だが……俺にお任せなので、西洋風イメージでやっていく。

 全面を加工せず、要所要所に岩地を残す事でメリハリを付ける。

 俺の作業を見ながら、足場が先回りで用意されているので俺のストレスはフリー。

【万能農具】を使っている時は疲れないしな。

 ……

 時々、地上で気分転換。

 リザードマン達が、穴の周囲に柵っぽい物を作ってくれていた。

 ありがとう。


 クロの子供達と遊ぶ。

 はっはっはっ……待て待てー……

 ん?

 鹿っぽい魔獣がいるな。

 ……

 あの角……

 まさか……

 パニックカリブー?

 蘇る味の記憶。

「待てぇぇぇぇぇっ!!」

 仕留めた。

 村に持ち帰り、英雄扱いされた。

 そして宴会。

 やはり、美味い。

 初めて食べたウルザや獣人族のガルフ、ガット一家が感動していた。

 始祖さん、ビーゼルはどこかで食べた事があるのだろう。

 冷静さを装っていたが、おかわりはキッチリ求めていた。



 神殿造りは順調だ。


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