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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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アースラットの穴 東側


 私の名は……ガヴァル……なんだっけな。

 もう少し長い名前だったと思うが……

 まあ、どうでもいいだろう。

 吸血鬼の始祖として頑張っているナイスガイとでも思ってほしい。

 記憶を消したから、本当に頑張っていたかどうかはわからないけどね。


 さて、そんな私だが、血族の者が子供を産んだという奇跡に驚かされた。

 思わず、見に行ってしまったぐらいだ。

 そこで驚かされた数々。

 一番は、創造神様の姿を見ることができたことだ。


 そこから始まった大樹の村との繋がりだが、なかなか刺激的で面白い。

 特に食事と酒が美味いのがいい。

 遊具も多い。

 最近はドース君や当代の魔王とも友好を深める場としてとても居心地がいい。

 本格的にここに住まわせてもらいたいものだ。

 しかし、仕事があるからなぁ。

 別荘ぐらいが限界か。

 幸い、お金には困っていないから村に迷惑を掛ける事もないだろう。

 収穫の手伝いだって自主的にやるぞ。



 そんなある日、村長が温泉調査隊を結成して、北に向かう事になった。

 うん。

 当然、ついていく。

 面白そうだからね。

 そう思って同行したのだけど……

 うーん、アースラットの襲撃はまあいい。

 面倒な敵ではあるが、私を脅かすほどではない。

 村の住人たちも……そう苦戦してない。

 狼の子が一匹、油断して食べられたけどね。

 村長が凄い勢いで救出したから、手を出す暇がなかった。

 その後、アースラットの襲撃に村のドラゴン達が関わっているのが問題だった。

 村長が頭を下げたのだ。

 いやいや、村長。

 それなりの者を率いる立場の者が、そう簡単に頭を下げちゃ駄目だよ。

 巨人族達も困ってるじゃないか。

 それに、きっかけはドラゴン達かもしれないけど、アースラットとはいずれ遭遇していたのかもしれないのだから……

 そこで頭を下げられる村長だからこそ、あの村があるのかもしれない。

 考えてみれば、そういった面子や体面を気にして争いになったことが多かった気もする。

 謝るべきところは素直に謝る。

 これが真の強者かもしれない。

 うんうん。


 その後、巨人族達と宴会。

 見世物が面白い。

 燃えながら小麦粉を作る仕掛けは、最高だ。

 ん?

 いや、待てよ。

 ひょっとして、世の中の労働者達の苦難を訴えているのだろうか?

 そう考えると凄いな。

 ジョークのように思えて、重いテーマを隠すとは……山エルフ、恐るべし。




 翌日、調査隊再出発。

 移動をお手伝い。

 この魔法、そんなに難しくないんだけどなぁ。


 二手に分かれる事になった。 

 温泉の方と、アースラットの出てきた穴の方。

 私としては村長と温泉の方に行きたいけど、ドラゴン達の方が心配だ。

 特にハクレン。

 笑顔の奥の憤怒。

 村長の頭を下げさせた事をかなり気にしているね。

 ラスティや鬼人族メイドの……アンだったかな。

 料理の上手な子だ。

 彼女も気付いている。

 気付くのも凄いけど、これはハクレンの修行不足かな。

 なんにせよ、村長も気にしているようだから私も油断しないでおこう。



 穴に潜るとトンネル。

 アースラットが東から西に向かって進んだと考えると、本命は東かな?

 しかし、アースラットはこんなに真っ直ぐな穴を掘るのか?

 まるで何かに命令されて作ったトンネルのようだが…… 


 班分けがさっくり行われ、私はハクレンの班で東に向かう。

 戦力的に考えるなら、ハクレンとラスティ、もう片方に私がベストなのだろうが……

 ここでの主役はドラゴン達だから仕方がない。

 素直に班分けに従って……

 ドラゴン達が炎を吐いた。

 ダンジョン内で炎って、何をやっているのかな?



 同じ班の鬼人族メイドのアンが、ハクレンに注意している。

 ハクレンは素直に謝っているが……

 駄目だな。

 あれだけ色々な効果を混ぜたブレスを吐いたのに、まだスッキリしてない。

 こうなるとこのトンネルの奥に彼女のストレスの発散先がある事を祈りたくなる。

 頼むから何かいてくれ。



「上と左右は、ザブトンの子供達に任せた。
 私は後方に注意する。
 ハクレンとアンは前方を頼んだ」

 フォーメーションを決め、前進を開始して三日ほど経過。

 途中の食事はアンがいて良かった。

 おいしい。

 ザブトンの子供達も食料の運送、ご苦労。

 村に戻ったら、新しい魔法でも教えてあげよう。


 なんやかんやで、アースラットの巣があったらしき場所に到達。

 やはりおかしい。

 アースラットの巣は右や左に曲がり、直線はめったにない。

 私達が来たトンネルだけが真っ直ぐだ。

 そして、この場で発見できる多数のアースラットの死骸。

 かなり日数が経過している。

 半年、一年?

 死因は斬り傷……剣だな。

 剣?

 こんな地中で?

 誰が?

 考えていたら、答えが来た。

 完全武装の騎士。

 どこの所属だと聞いても、答えは返ってこないだろう。

 騎士は死んでいる。


 死霊騎士。

 アースラット以上に面倒な相手だ。

 通常攻撃が効かず、魔法も効果が薄い。

 その上で、向こうの剣の腕前はかなりのものだ。

 さて、どうしたものか。

 私が答えを出す前に、ハクレンの膝蹴りが死霊騎士に炸裂した。

 いや、通常攻撃は効果が……

 倒れた死霊騎士を踏み付け、それを繰り返す。

 凄い音がしているが、それでも死霊騎士には効果がないだろう。

 だが、死霊騎士は反撃できずに防戦一方だ。

 効果はなくても、死霊騎士の反撃を潰す事には役立っているという事だろうか。

 悪い手ではないが、攻撃が止まった時に反撃が来るぞ。  

 ほら……あ、ブレスで燃やすのね。

 うん、それなら効果があるから大丈夫。

 だったら最初っからそれでやっておけば……無粋な事を言いました。


 さて、死霊騎士か。

 面倒な相手だが、あれがアースラットの移動の原因と考えるのは無理だろう。

 死霊騎士に、アースラットを使役する事などできない。

 真っ直ぐに穴を掘らせる事ができるやつがまだいるのだろう。


 そして私達が来たトンネルはアースラットの巣を越えてまだ東に伸びている。

 私はハクレンをみた。

 行く気満々だ。

 それはわかったが、ちょっと待てと私は鬼人族メイドのアンをみる。

「食料はまだあります」

 戻ることは考えないのね。

 了解。

 進みましょう。

 こうなれば、何が出てくるか楽しみだ。


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