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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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信仰とアンデッド


 二村に農神、三村に戦神とその他諸々の神様の像を飾った。

 マイケルさんに頼んで、既存の像を手に入れても良かったが……俺の手作りで落ち着いた。


 この世界の宗教というか神様は、実際にいるかどうかは横に置いておいて、多数存在する。

 地域の信仰の数だけ神様がいる感じだ。

 そんな中、コーリン教と呼ばれる宗派が多数の信仰を統合し、一大勢力を誇っている。

 コーリン教の理念は一つ。

 自分と他者の信仰を大事に。

 要は信仰の自由だ。

 何を信仰してもいいけど、他者の信仰を邪魔しないようにという理念。

 なので同じコーリン教徒でも、違う神様を崇めていたりする。

 とは言っても、人数が集まれば派閥が出来、派閥があれば人事に影響する。

 コーリン教の中で最大派閥が、創造神を崇める一派。

 次に光神、戦神、農神、魔神、薬神、楽神の派閥が頑張っているらしい。

 ちなみに楽神は音楽関係の神様。

 芸能神みたいな感じらしい。


 でもって、ルーのお爺ちゃん、始祖さんがそのコーリン教のお偉いさんらしい。

「へー」

「へーって、もう少し驚いてくれても」

 始祖さんが俺のリアクションに不満を漏らす。

「いや、そう言われても……そういったお仕事だったんだーぐらいで」

「そう言われるとそうかー。
 隠してたけど、隠す必要とかないかなー」

 始祖さんが考えると、ルーがお茶を持って来た。

「始祖様。
 隠しておいた方が何かと良いと思います」

「そう?」

「ええ。
 吸血鬼は、色々と誤解を受けますから」

「確かに」

 ルーが持って来たお茶を飲む。

 俺は緑茶、始祖さんはコーヒー。

 ルーはお茶を置いたら、部屋から出ていく。

 アルフレートをみなければいけないからだが……

 思えば、ルーが積極的に始祖さんに近付くのは避けているような……

 フローラは近付きもしないから、ひょっとして苦手なのだろうか?

「ところで村長。
 少し前から気になっているんだけど」

「ん?」

「後ろの棚に飾ってあるコップ。
 創造神様が彫られてない?」

「ああ。
 冬の間に作ってみたんだけど……失敗作で飾るぐらいしか出来ない」

「失敗作?
 どの辺りが?」

「実用性が無い点。
 口をつける部分まで彫ってしまったから」

「いやいや、こうやって持って飲むとするでしょ」

 始祖さんが持っているコーヒーの入ったカップを口にする。

「あのデザインだと、下唇の所に創造神様の手が添えられるから……創造神様の手から聖なる水を頂く形に!
 凄い!
 ナイスデザイン!」

「ははは」

 偶然だ。

 まるっきり、そんな事を考えてなかった。

 だが、そこまで褒められたら悪い気はしない。

 始祖さんの思惑に乗ろう。

「なんだったら、持って帰るかい?」

「最重要儀式で使わせてもらうよ」

「いやいや、普段使いに……いや、好きに使ってくれ」

 飾ってるだけよりは良いだろう。

 始祖さんはコップを持って、喜んで帰っていった。


 始祖さんが帰ったので、ルーやフローラに会いに行く。

 先程の疑問の解消。

「始祖さんが苦手なのか?」

「苦手というか、恐れ多いというか……」

「吸血鬼の神様みたいな方ですから」

 吸血鬼の始祖。

 あー、なるほど。

 そう言われるとそうなのか。

「始祖って一人なのか?」

「他の人の話は聞かないかな」

「私も知りません」

 そっか。

 何人かいるのかと思っていたが、一人なら神様扱いされるか。

 その辺りが転じて、コーリン教のお偉いさんになってしまったとか?

 まさかな。

「それで、始祖様の御用はなんだったの?」

「なんでも、大規模なアンデッドが出たから一応は注意して欲しいってさ」

「大規模なアンデッド?
 どこに?」

「ここから北東かな。
 森を越え、山を越えてかなり向こうだって言ってたけど」

「山越えか。
 なら大丈夫かな」

「始祖さんも、一応だと言ってたしね。
 まあ、その辺りに向かう用事もないだろうし、大丈夫だろう」

「そうね。
 でも、他のみんなにも伝えておくわよ」

「当然だ。
 あと、ビーゼルやマイケルさんにも教えよう。
 ハウリン村だな」

 位置的に、もっとも近いのがハウリン村だ。

 まあ、それでもかなり距離があるのだが……

 ラスティに言って、小型ワイバーン通信で伝えてもらった。



 アンデッド。

 俺のイメージでは、ゾンビや動く骸骨スケルトン。

 少し変わった所でゴースト?

 この世に未練のある者が、蠢いているといった感じなのだが、実は違うらしい。

 実体を持たない魔物が死体に取り付いて動くのがゾンビ。

 実体を持たない魔物が実体を持とうとしたのがスケルトン。

 実体を持たない魔物が集まり力を蓄えたのがゴースト。

 アンデッドの正体は実体を持たない魔物であって、この世に未練があるとかは関係なかった。

 死体が動くので、そういったイメージを持ち、間違った認識が広まっただけらしい。

 それでこのアンデッドだが……

「放置しても大丈夫なのか?」

「基本は放置で良いんじゃないかな。
 数年で消えるし」

「そうなのか?」

「ええ、いくつか問題はあるけど」

「問題を詳しく」

「えーっと……ゾンビが一番問題があるわね。
 人に限らず死体って病の元なのよ。
 それがウロウロするのは困るし、水源なんかに落ちたりしたらそれはもう」

「それは迷惑だな」

「次の問題は、アンデッドって魔物や魔獣のエサになるのよ」

「エサ?」

「ええ。
 だから、アンデッドがいる場所に強力な魔物や魔獣が集まったりするの」

「なるほど。
 それは確かに問題だな」

「だけど、アンデッドから襲って来る事は無いし、そうそう移動する事もないから放置すればいつの間にか食べられてるのよ」

「消えるってのはそういう事か」

「そう。
 大規模に発生したって理由はわからないけど、そのエサを目当てに強力な魔物や魔獣が動くから注意って事よ」

 むう。

 そうだったのか。

 勘違いしていた。

 てっきり、アンデッドが大量発生したからそれに注意って事だと思っていた。

 俺が考えているとハクレンが話に入ってきた。

「アンデッドなら、私が行ってブレスで消せるけど?」

「アンデッドだけ消せるのか?
 他に影響は無いのか?」

「んー……周囲の地形が少し変わるかな」

「それって、アンデッドの被害よりも、そっちの被害の方が大きくないか?」

「かもしれない」

「却下」

「えー」

「当然の判断」

 当面、放置となった。

 一番近いであろうハウリン村から要請があったらハクレンに頑張ってもらおう。


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