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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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春夏の出来事


「では、すみません。
 少し離れます」

 グランマリアが他の天使族に声を掛けてくると、村から離れた。

「クーデル、コローネは行かなくて良いのか?」

「全員で行くと、見張りがいなくなってしまいますから」

「それはそうだが……グランマリアが帰ってきたら、交代で行っても良いんだぞ」

「いえいえ、村にいる方が色々と楽しめますので」

「ここの食事を知ると、もう他で暮らせません」

「そうか」

 グランマリアが村から離れる時、山のように荷物を持っていたのは食料だろうか?

「お弁当と食料です」




 北のダンジョンに住む巨人族からとある情報を得た。

 なんでも、北のダンジョンを越えてさらに北に行くと、熱い池があるらしい。

 熱い池。

 温泉かな?

 温泉だろう。

 温泉だな。

 ……

 行くしかない。

 温泉調査隊を結成。

 俺がリーダー!

 と思ったが、村人総出で止められた。

 仕方なくハイエルフがリーダーとなり、クロの子供達を含めて二十人ぐらいで向かってもらった。


 温泉調査隊は三十日ぐらいして帰還。

 疲れ切った顔をしていた。

「困難な道で、辿り着くまで大変でした」

「見た事もない魔物と遭遇し、苦労しました」

 クロの子供の一匹が負傷し、ハイエルフに背負われて少し情けなさそうな顔をしている。

「お湯が熱過ぎて、とてもお風呂のようには浸かれません」

 凄く残念そうに報告してくれた。

 ありがとう。

 そして、ご苦労様。

 背負われていないクロの子供達も、なんだかんだと負傷跡があった。

 治癒魔法をルーとティア、フローラに頼む。

 しかし、入浴できない温泉か。

 考えていなかった。

 ふーむ。

 温度だけが問題なら川から水を引いてくれば良いが……成分的にマズイ可能性もあるか。

 考えてみれば、調査隊を行かせたのは不用意だったかな。

 反省。

 次は自分で行くと決意する。




 防災訓練。

 人が増えてきたので、防災を考えた。

 一番怖いのが火事。

 なので、火を使う場所の再点検。

 また、すぐに消す方法があるかをチェック。

 ……

 問題なし。

 防災意識は、俺が思っている以上に高かった。

 一番低いのが俺だったっぽい。

 気をつけます。

 ついでに、消火訓練もしてみる。

「魔法で鎮火」

 情緒がない。

 いや、消火は大事だ。

 魔法、凄い。

 だが、俺は水で消火がしたい。

「魔法で水を運ぶの?」

「違う。
 バケツリレーだ」

「?」

 住民が一列にならび、水源から火元まで水の入った桶を運んでいく。

 そして先頭にいる者が桶の水を放ち、消火する。

 一回二回では消えない。

 何十回、いや何百回と水を放ち、やっと火が姿を消した。

「鎮火……確認!」

 バケツリレーの最初は手間取ったが、全員がやっている事を理解した後は早かった。

 一番大変だったのが水を放って空になった桶を水源にまで運ぶ役だろう。

 あと、体格差というか身長差で列に入れなかったミノタウロスとケンタウロスの駐在員には申し訳なかった。

 バケツリレーは、ある程度は身長が近くないと遅くなってしまうからな。

 二村、三村では大丈夫だろうから、村でこの方法を教えてあげて欲しい。

「村長、もう一回やりますか?」

「ん?
 ああ、そうだな」

「私、先頭やりたいです」

「先頭が一番楽しそう!」

 先頭で水を放つのが人気だった。

 だが、先程まで先頭だったリザードマンはかなり疲労している。

 火に一番近い場所で、水の入った桶を振り回していたのだ。

 一番の重労働だよな。

「よーし、先頭にいるのは十回までだ。
 十回、水を撒いたら交代だぞー」

 途中で交代する必要もある。

 こういった事を学ぶのが防災訓練だ。

 有意義な時間だった。

 ああ、かなり疲労しているリザードマン。

 次は休んでいて良いからな。




 第二回、大樹の村かくれんぼ大会!

「始める前に諸注意だ。
 これは訓練ではなく、レクリエーションです。
 遊びです。
 本気で隠れ過ぎないように。
 特にエルフ、山エルフ。
 捕まっても処刑とかはありません。
 ですので手加減してください。
 あと、魔法を使える人達。
 認識阻害とかはしないように。
 攻撃とみなします。
 死神になった時も、魔法で攻撃するのも無しだからな。
 それとニュニュダフネ。
 木の姿になる場合は、一メートル以上の大きさになるように。
 物陰に一センチの木とか、見つけられるかっ!
 失礼。
 見つけられません。
 遊びだという事を理解した上で隠れてください。
 では、始めましょう。
 鬼……じゃなくて死神は俺だけからスタートで……質問?
 どうぞ?」

「えーっと、村長の傍でやる気に満ちたクロさん達がいるのはなんですか?」

「死神のお手伝いです。
 気にしないように」

「ザブトンさん達がウォーミングアップしているのは?」

「死神のお手伝いです。
 気にしないように」

「村長、本気過ぎるっ!」

 大きく盛り上がった。




「酒の種類が増えたな」

「うむ。
 どれも美味い」

 これまで酒を売るのは抵抗されていたが、ドワーフ達から売る事を提案された。

 曰く、美味い酒はみんなで飲むべきだ。

 ここに来た時、村の酒を絶賛してなかったか?

 その後、売るのを渋ってなかったか?

 現状、売ってるのはビーゼルぐらいだぞ。

 マイケルさんが欲しがってたぞ。

 考えが変わった理由はなんだ?

 目を逸らすな。

 問い詰めたら、自白した。

「女?」

 これまで大樹の村の酒を口コミで知ったドワーフ達が集まってきた。

 主な情報元はドライム。

 そうして集まったドワーフは現在、四十一人。

 結構、増えた。

 その中で女性が四人。

 男女比がおかしい。

 おかしいなら正さねば。

 どうやって?

 お酒の噂が広まれば、来るんじゃないかな。

 噂を広げるには?

 お酒、外に売ろう。

「という考えだ」

「……」

「怒ったか?」

「いや、驚いている」

「?」

「酒以外にも興味があったんだなと」

「酒があれば、次を求めるのが自然の摂理」

「酒の次は酒に合う食事だろ」

「それも大事。
 飲んで食べた後。
 家庭的な温もりを求めたい」

「家庭的な温もりね。
 まあ、酒を外に売るのは前々から賛成だから構わないさ」

「感謝する」

「それで、どれを売るんだ?」

「ここから、あの辺りまでを」

「……最初の頃に作ったヤツだな」

「まだまだ未熟だった」

「量が少ない気もするが?」

「いやいや、これぐらいで十分」

「もう少し、あっちまで……」

「駄目。
 それは駄目。
 かなり美味いヤツだから」

 酒の備蓄の極一部を外に売る事になり、マイケルさんがかなり喜んだ。


「贈る分には抵抗しないのに、売るのに抵抗するのは変じゃないか?」

「贈られた者の笑顔は酒に対して。
 買った商人の笑顔はその後の儲けに対してだからな」

「なるほど」

「マイケル殿はここに来て酒を飲み、味を知っているだけマシだ。
 商人によっては飲みもせずに売り歩く者もいる」

「まあ、商人も生活が掛かっているからな」

「それは理解できる。
 が、相容れんだけだ」

 難しいものだ。

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