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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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冬の間のトラブル



 のんびりしたいが、問題は向こうからやってくる。

 冬の間の大きな問題は三つ。

 そのうちの一つはクロの子達による食料問題だったが、これはハクレンとラスティによって解決した。

 もう二つは来客関係だった。



 それは冬なのに温かく、天気の良い日だった。

「頼もう!」

 三メートル超えの大きな男。

 フルフェイスの兜に分厚そうな全身鎧を着込み、大きな棍棒を持って立っていた。

 堂々とした姿だ。

 その横にビーゼルが困った顔をして立っていたので、呼んで聞いた。

「誰?」

「魔王軍四天王が一人、グラッツです」

「四天王?」

「魔王国の大臣職みたいなものです」

「その大臣が何をしに来たんだ?」

「魔王様がこの村を褒めたので、腕試しに」

「魔王……腕試し……武闘会の件か?」

「はい。
 村一番の相手と戦わせろと」

「迷惑だ。
 と言っても帰ってくれないよな」

「多分」

「むう。
 しかし、戦わせたいと思っても優勝者のマクラは冬眠中だぞ」

「適当な者と手合わせさせて頂ければ、満足して帰ると思いますので」

「じゃあ、クロ達で……」

「すみません。
 この村に来る前にボコられたので、違う方で」

「じゃあ、グランマリア」

「同じく、この村に来る前にボコられたので」

「グランマリア、一回戦負けだぞ?
 四天王なんだろ?」

「彼は軍務担当ですが、本人が前線で暴れるタイプではなく後方で指揮するのを得意としていまして……」

「それがなぜ、腕試しに来るんだ?」

「本人は前線で暴れたいんです」

「いいのか、そんなのが四天王の一人で」

「後方で指揮する分には天才的なんです」

「……苦労してるんだな」

「はい」

 しかし、対戦相手に困る。

 手加減が出来そうなリアやアンは、妊娠中だ。

 本人が希望しても、絶対に戦わせない。

 となるとリザードマンのダガか、ドワーフのドノバン、山エルフのヤー。

 ダガは一回戦負けだが、騎士の部に出場する程度には強い。

 ヤーは戦士の部の優勝者。

 ドノバンが無難か?

 ただ、手加減とか遠慮とかしないタイプに思える。

 とか考えていたら、獣人族のセナが相手をしてボコっていた。

「えーっと……」

「うちの娘より弱い方をお願いできませんか?」

 難しい注文だった。


 まあ、冬の間の暇潰し的なイベントとして盛り上がった。

 しかし、これが来客の問題ではない。

 問題はこの後だった。

「是非、私の妻になって貰えませんか!」

 魔王軍四天王グラッツは、一人の女性にプロポーズしていた。

 相手はロナーナ。

 ゴードンの村から派遣された駐在員、ミノタウロスの娘だ。

 ミノタウロス族としては小柄な部類で、身長はギリ二メートル手前。

 ふんわりとした雰囲気を纏い、一言で表現するなら優しい隣の家のお姉さん。

 ただ、胸の圧迫感が凄い。

 そんな女性だ。

 グラッツが惚れた理由は、見た感じシンプルだろう。

 戦って怪我をする度、ロナーナが治療を行っていた。

 それが理由だろう。


 グラッツはフルフェイスの兜を脱ぎ、顔を晒した。

 イケメンだ。

 そして、その頭には小さな牛の角があった。

 自身もミノタウロスだと言い、さらなるアピールをする。

 しかし……

「すみません。
 この身は村に捧げています。
 お気持ちにお応えする事はできません」

 ロナーナの即断。

 このまま残念会かと思ったら、グラッツは諦めなかった。

「村に捧げている。
 つまり未婚ですね。
 よかった。
 話は貴女の父に持っていけば良いでしょうか?
 それとも、他に誰か?」

 ロナーナは断り続けたが、グラッツは戦い方とは違って恋愛は粘り強かった。

「村長の許可がなければ駄目です」

 結果、ロナーナから俺の名が出てしまった。

「村長?」

 睨まれた。

 いや、俺は手を出してないぞ。

 駐在員として村に住んでもらっているだけだ。

 言っても無駄なんだろうなぁ。

 はい、無駄でした。

「条件を言ってください」

「え?」

「ロナーナを妻に娶る条件を言ってください」

 少しタイムを貰い、近くにいた者と相談する。

「嫁取りってこんな感じなの?」

「物語とかではこんな感じです」

「素敵」

「ああ、村長によって切り裂かれる恋」

 ……相談にならなかった。

 わかったのは、俺が何か条件を言わないとこの場が収まらないという事だ。

 相応しくないと思うなら、無理難題を言えば良いというビーゼルの助言を素直に聞く。

「個人的には応援したい気持ちはあるが、俺は当人の気持ちを重視したい。
 ロナーナがお前と結婚したいと言わない限り、許可できない」

「つまり、ロナーナが結婚したいと言えば許可してもらえると?」

「無理矢理は駄目だぞ。
 暴力、権力で脅すのも無しだ」

 そうグラッツにそう伝えた後、ロナーナを呼ぶ。

「返事は急がなくて良い。
 村の事は考えず、自分の相手に相応しいかじっくり考え、答えてやれ。
 お前があの男と結婚したいと言うなら応援する。
 あー……俺がお前を気に入っていないとか、そんなんじゃないからな」

「わかっています。
 ありがとうございます」

 こうして、グラッツとロナーナは少し様子を見るという事で落ち着いた。

 問題は無いように思える。

 しかし、問題はあった。

「俺、ここに住みます」

 グラッツが大樹の村に住むと言い出した。

「何を言ってるんですか。
 貴方、四天王でしょう。
 侯爵でしょう。
 ついでに今、西方軍総司令じゃないですか!
 仕事や領地はどうするんですか?」

 抵抗するビーゼル。

「そっちもなんとかする」

「なんとかなりません。
 いいから帰りますよ」

「じゃあ辞職する。
 あと、侯爵家も捨てる。
 妹か弟に後は任せた」

「思い付きで行動しない!」

「私は愛に生きるのだ!」

 凄く揉めた。

 グラッツの言い分としては、なるべくロナーナの傍にいて自分の事を知ってもらいたい。

 あと、他の男(主に俺)が近付かないように見張りたい。

 気持ちはわかるが、ビーゼルが泣いているから妥協点を見つけて欲しい。


 妥協点。

 ビーゼルがこの村に来る時、グラッツに出来るだけ連絡する。

 グラッツが希望したら村に送る。


 ビーゼルがかなり頑張った成果か、それとも妥協点を探している時にロナーナが「お仕事、頑張ってください」と言ったのが効いたのか……

 帰る時、ロナーナの前で一時間ぐらいの愛を語られた時はどうしようかと思ったけど、悪い男ではないようだ。

 その後、グラッツとロナーナはビーゼルに送る小型ワイバーン通信に便乗して、文通らしき事をしているらしい。


 これが二つ目の問題と現状。

 まあ、俺は見守るだけだ。

 無理に進めないし、妨害もしない。

 他の者にも、できるだけ見守るように推奨する。

 いや、命令した。

 だから余計な事はしないように。

 いつの時代も、他人の色恋は良い娯楽である。



 三つ目の問題。

 ドライムの弟、ドマイムが逃亡して来た。


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