挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

103/325

女王蜂の絶望



 こんにちは、皆さん。

 私、蜂の女王です。

 周りからはグノーシスビーと呼ばれています。

 その女王な私ですが……

 今、困ってます。

 まず、護衛が居ません。

 普通なら巣立ちから新しい巣を作るまでの間、護衛が何匹か居るのですが、でっかい熊と戦って行方不明です。

 まあ、あの熊が相手なら仕方がありません。

 勝ち目がありません。

 だから私は隠れましょうと言ったのに、果敢に突撃していった私の護衛達。

 優先順位を間違ってませんかね。

 でもって今の私は一人。

 超困ってます。

 なぜなら私は今、蜘蛛に睨まれているからです。

 蜘蛛。

 天敵です。

 超天敵です。

 小さい蜘蛛ならともかく、あのサイズは無理です。

 私は護衛達とは違って逃げる知能があります。

 本来なら即逃げです。

 でも逃げません。

 目と目があってるからです。

 この状態で目を逸らして逃げると、死にます。

 だから逸らせません。

 つまり、逃げれません。

 どうしましょう。

 いえ、希望はあります!

 なぜなら蜘蛛も私を見て動かないからです。

 これはひょっとして……強者同士がにらみ合って動けないという状態?

 女王の私は針を持ってないけど、向こうが警戒している?

 私は使えませんけど、護衛達なら魔法を使います。

 蜘蛛の警戒も理解できます。

 おおっ。

 いける。

 いけちゃうんじゃないかな。

 私は気合を入れて相手を見ました。

 ……

 相手の後ろに、同じような蜘蛛が何匹か居ました。

 見間違いかな?

 見間違いですよねー。

 違った。

 はい、私の命、おわったー。

 ここまでー。

 あー、どんな風に食べられちゃうんだろー。

 死ぬ前にもっと花の蜜を舐めたかったなぁ。

 あと、子供も産みたかった。

 ……はい。

 覚悟完了。

 全力で逃げます!


 駄目でした。

 今、首に蜘蛛の糸が巻きつけられています。

 飛べるけど、虜囚状態。

 屈辱です。

 食べるなら甚振らずに一気にやっちゃって欲しい。

 できれば痛くない系で。

 あー……

 この状態から唯一の希望は、護衛達が無事に戻って来て蜘蛛達を蹴散らしてくれる事ですが……

 そんな都合の良い事はありませんよね。

 絶望。

 私はそんな気持ちで一杯でした。

 でも、希望はあったのです。

 人間。

 人間が来たのです!

 おおっ。

 知ってますよ人間。

 私達の集めた蜜を欲しがるんですよね。

 つまり、私達の味方!

 いつもは護衛に蹴散らされていますけど、その護衛もいません。

 蜘蛛を排除し、私を獲得しようとする筈!

 イエス!

 よし、よし、よーし!

 さあ、人間!

 私の為に蜘蛛をなんとかするのです!

 ……

 あれ?

 どうして蜘蛛と仲良くお話をしているのですかー。

 人間って普通、蜘蛛と仲が悪いですよねー。

 違うんですかー。

 ……

 酷い!

 騙したな!

 私に希望を持たせ、そして絶望に叩きつける!

 許せません!


 ……おや?

 人間の言葉を聞いた蜘蛛が、私をどこかに連れて行きます。

 どこに連れて行くのでしょう?

 ……

 良い香りのする場所ですね。

 見た事が無い木に花が咲いています。

 それも一杯。

 ……

 油断しませんよ。

 私に希望を持たせ、また絶望に叩きつけるのですよね!

 蜘蛛と一緒に来た人間が森の木を持って来てサクサクと何かを作っていますね。

 あれ?

 この辺りの木って、人間が簡単に弄れましたっけ?

 護衛達ですら、かなり時間を掛けて木に穴を掘るのが精一杯なのですが……

 何を作っているのでしょう?

 まさか、私の処刑台?

 残酷にその上で私を!

 ……

 違いました。

 どうやら人間は、私の為に巣を作る場所を用意してくれたようです。

 目的はなんでしょうか?

 人間が求めるのは、私達の集めた蜜……

 まさか、ここに巣を作らせて蜜を延々と搾取しようとしているのですか!

 お、お、お、恐ろしい!

 でも、それだと私は生き残る!

 希望!

 超希望!

 で、ですが、適当に作った場所でこの私が満足するとは思わないで欲しいですね。

 ……

 良い場所でした。

 くっ。

 身体が疼く。

 この場所で巣作りしたい!

 しても良いでしょうか?

 私は糸をくっつけている蜘蛛を見ました。

 蜘蛛は少し悩んだ後、そっと糸を解いてくれました。

 あざっす。

 頑張って子供を沢山産み、蜜を集めます!

 なのですみません、蜘蛛さん。

 雄を捕まえてきて貰えますかね。

 ええ、元気そうなのを。

 この時期ならそれなりの数、飛んでいると思いますから。

 はい、よろしくお願いします。

 いえいえ、イケメンとかに拘りません。

 体力重視、性格重視でお願いします。



 こうして私は楽園を手に入れました。

 勝ち組というヤツです。

 やりました。

 人生大逆転です!

 集めた蜜の一部を納めなければなりませんが、その分で蜘蛛さん達が外敵を倒してくれると考えれば問題なし。

 共生。

 そう、これは共生なのです。

 ふふふ。

 まあ、こんな楽園ですが、完全に満足しているワケじゃないんですよ。

 不満を言えば近くに私達が愛する花が無い事ですが……え?

 あ、人間がその花を巣の近くで育ててくれる。

 すみません。

 ありがとうございます。

 これからも頑張ります。

 ……

 ごほんっ。

 か、考え方を変えれば……

 共生ではなく、この私の為に蜘蛛と人間が頑張ってくれている!

 そう言えなくもない!

 そういう事なのです。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ