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061 学生

■学生■




ユティスは事務所の岡本の席に着いて話しを続けた。


「地球の方には、わたくしを慣れていただかないとと思いまして、まずは和人さんの事務所の方から・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あははは・・・。タイミング悪過ぎるよぉ・・・」

和人は喜ぶと同時にうなだれた。


なんと席についていたのはユティスだった。ところが、新人候補生たちにはユティスが見えなかったのだ。


「二宮さん・・・?」

イザベルが声を出した。


「あ、はい・・・」

「その席、どなたもいらっしゃいませんが・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


学生4人は、二宮がだれもいない席を見つめて一人驚いているのが、まったく理解できなかった。周りの社員たちもたちまち気づいた。


ざわざわ・・・。


「なにやってんのかしら、二宮ったら・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「また、おかしくなったんじゃない?」

「ここんとこ、やたらと変な言動してるからねぇ」


「ホント、誰もいない席見てなにをびっくりしてんのかしら?」


どたどた・・・。


「あわわ・・・」


ずりずり・・・

二宮はすっかり動転して後退りした。


あたふた・・・。


(まいったなぁ・・・)

和人は大慌てで二宮に囁いた。


「先輩、しっかりしてください。新人候補生たちにユティスは見えてないんですから・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「んなこと、わ、わかってる・・・。とにかく、和人、バトンタッチ」


ぱちーーーん!


「すまん。みんな、ちょっと失礼する。後は宇都宮が引き受けるから」

「先輩!」


--- ^_^ わっはっは! ---


(また、やっちまったぜ。イザベルちゃんが目の前だっていうのに・・・)

二宮は落ち込んだ。


「和人さん、こんにちわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


にこっ。

ユティスは意に介さず、普段のように直接和人の頭に語りかけてきた。


「ま、まずいよ、これ・・・」


「では、みなさんに見えるようにいたしますわ。ここにいらっしゃるみなさんの固有波動数は、すべて把握しましたもの。んふ?」

ユティスは微笑んだ。


「そ、それは、もっとまずい・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


しかし遅れだった。


ぱっ。


4人は、席にいきなり岡本さんが現れたの見て、おっかなびっくり仰天した。


「うわっ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なに?」

「ひゃぁ!」

「あっ!」


しかし、学生たちはユティスの美しさにさらにびっくりした。


すくっ。

にっこり。


ユティスはイスから立ち上がると、微笑んで丁寧に4人に会釈した。

ぺこり・・・。


「はあーっ・・・」

4人はユティスに夢見心地で見とれた。


ぽかーーーん・・・。

男子学生二人は口を開けてその場に立ちつくした。


じーーー。

イザベルともう一人の女子学生も目を大きく見開いてその場に固まった。


「んふ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ユティスは4人の頭に直接語りかけたが、彼らはそれが耳に聞こえているように感じていた。


「はじめまして、学生さん。是非、セレアムにいらしてね?」


「は、はい・・・」

4人はやっとのことで答えた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人さん、後でまたご連絡しますわ・・・」

ユティスは顔を寄せ、和人の耳元でそっとささやいた。


「きゃ・・・」

女子学生2人は、ユティスがあたかも和人の頬にキスしたように見えた。


「お、オフィス・ラブだわ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




ざわざわ・・・。

その騒ぎに、当然事務所の女性社員たちも気づいて注目した。


「ちょっと、なによ、あれ?」

「は、はい」


ぺこり。

ぺこ。

ぺこ。


4人の学生たちは誰もいない席に向かって、あたかも誰かいるように会釈して、なんだか礼を述べているようだった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ちょっと、手違いがあって・・・。ね、ユティス?」

「リーエス」


和人もなにやら、見えない人物としゃべってるような様子だ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「なに、やってんのかしら?」

「さぁ・・・」


「岡本の席、だれもいないのに・・・」

「みんなで、見つめて、なにを話してんのかしら?」


「あなた、なにか見える?」

「いいえ、なにも」


--- ^_^ わっはっは! ----


「演技してるわけでもないし、第一そんなことする必要があるわけもないし。ミステリーね・・・」


「あのぉ、霊とか天使とか・・・」

石橋が自信なさそうに言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「じょ、冗談はやめてよ、石橋・・・」


「でも。なにか感じませんか。確かにだれかいます、あそこに・・・」

「うそぉー!」


「わたしにはわかるんです。若くてとてもキレイな女の子・・・」

「若い女の子の幽霊・・・?」


「ぎゃあ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


女性たちはお互いを見合った。


「昼日中の会社の事務所に、まっさか・・・」

「見えないけど、わかるんです、わたし」


「石橋。あなた霊能者なの?」

「いえ。でも、確かにいるんです・・・」

石橋は静かに答えた。


--- ^_^ わっはっは! ---




「えー、今のがWeb開発部署でして・・・」


和人が二宮の後を引き継ぎ、学生4人をシステム室に連れて行こうとした。

「あれは・・・?」


イザベルの声に一同、岡本の席を振り返った。


「あ・・・」


そこには、美しくはあったが、さっきの美女とは似ても似つかぬ別人が座っていた。


にっこり。

「ようこそ、セレアムへ」


ぺこ・・・。

客先から戻ってきた本物の岡本は、席から立ち上がってイザベルに会釈した。


「あ、はい。こんにちわ・・・」


ぺこり。

イザベルも会釈を返した。


「わたしは開発部マネージャー、チーフの岡本よ」

確かに美人ではあったが、彼女は確かにあのポニーテールとは別人だった。


(違う・・・)


髪だって栗色のセミロングだった。


「岡本さんって、あんな人だったっけ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「岡本さんですよね・・・?」


「ええ、そうよ、学生さん。どうかした?」

岡本は困った顔になった。


「夢でも見てたのかぁ?」

学生たちはざわついた。


(げげっ、ユティスったら、いつのまにか消えちゃった。ど、どう誤魔化そう・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


和人はユティスが消えたので大いに慌てた。


「じゃあ、システム室を見学したら、休憩にしようか?」

とりあえず作戦時間が必要だった。


「はい・・・」

学生たちは答えた。


つかつか・・・。


「どう、ちゃんとやってる?」

そこに和人に真紀が尋ねた。


「あっ、真紀社長。これからシステム室に行きます」


「いいわよ。入退室のセキュリティ認証、簡易版にしたから学生さんたちにも入れるようになってるわよ」

「リーエス」


「はあ?」


(しまった。エルフィア語を使っちゃった)


--- ^_^ わっはっは! ---


真紀は和人の返事に変な顔をした。


「なんて言ったの?」

「いや、了解です・・・」


「あ、そう・・・)


(エルフィアに召還されてた時のくせで、ついエルフィア語が・・・)


「システム室は普段はセキュリティレベルを高くしてるけど、今日はみなさんにも入れるように、見学時間だけ特別に低くしています」


ぴっ。

「隣の客はよく柿食う客だ。開けぇ、ゴマ!」


しーーーん。

「あれ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「違うでしょ。簡易版に変更したって言わなかった?」

真紀が和人を見つめた。


「そ、そうでした」


「やり直し」

「はい」


ぴっ。


「うちの社長はとっても美人だ」


しゃぁーーーっ。


和人がもう一度マイクにしゃべるとドアが開いた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「それでいいわ、和人」

ぱちっ。


「はい」

真紀は学生には見えないようにして和人にウィンクした。


「え・・・」

「あ・・・」


学生たちは真紀を見つめた。

「確かに美人だ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「システム室はバイオメトリクス認証の一種で、声紋による最高レベルのセキュリティを確保しているの。パスワードは随時変更できるのよ。ほほほ・・・」


真紀は気分よく笑った。


「じゃ、和人、ご案内を続けて」

「はい」


さらにドアがあり、和人はそこでも認証をした。


ぴっ。


「うちの常務は、ナイスガイだ」


しゃぁーーーっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


システム室にはサーバを収納したラックがズラリと並んでいた。


ざーーー。


そして、その外れにサーバに似た黒いマシンが1台あった。


「基本はすべてLinuxサーバです。1Uがフロント側、2UがDBをはじめとするバック側です。サーバーも、ストレージも、そしてネットワークも、効率化のために、全て仮想化してあります」


すぅ・・・。

男子学生の一人が奥のマシンを指した。


「あれはなんですか?」

「ああ。あれはハイパートランスポンダーです」


「なんなんですか、それ?」

イザベルもきいてきた。


「あー、それは・・・」


(ま、いいか。本当のことを言っちゃって・・・)

一瞬、和人は迷ったが真実を言うことにした。


「まあ、大宇宙の知性体と交信するための超高性能通信機の一種です。3億光年先までカバーする超銀河団通信仕様とでもいいましょうか」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あははは」

「ふふふふ」


4人は和人が冗談を飛ばしたと思った。


「アンドロメダ大星雲とリアルタイム通信ができるってわけですね?」

男子学生の一人が和人の言葉にのってきた。


「そうそう。ちょろい、ちょろい。アンドロメダなんて能力の1%以下だね。動いているの見たことないけど」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あははは」

「ふふふ」


5人は笑った。


(和人さん、面白い人)


イザベルもみんなにつられて笑った。


ざーーー。

ざーーー。


システム室はサーバーやストレージの冷却ファンと空調設備の音で、相当な騒音がしていた。


「空調がんがん効かせてるけど、寒くない?」

和人は学生たちに気を遣った。


「大丈夫です」

「わたしは少し寒いです」


「じゃあ、そろそろ出ようか?」

「はい」

「ありがとうございました」


5人はシステム室を出た。


(よし。なんとか誤魔化し通したぞ)


ほっ。

和人は胸を撫で下ろした。


ぞろぞろ・・・。


「こちらが経理部セクション」


和人は経理担当を紹介して会議室に戻った。中には二宮がいた。


「あー、びっくりした。ユティスがいるならいると先に言ってくれよ」

早速二宮が文句を言った。


「オレもびっくりしたんです」


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人、知らなかったのか?」

「はい」


「心の臓に悪いぜ」


こんこん。


「どうぞ」


かちゃ。


「はい、みんな、アイスコーヒー」

本物の岡本が6人分のアイスコーヒーを入れて持ってきた。


「岡本さん、すいません」


ぺこり。


和人は頭を下げた。


(岡本さん・・・?この人が・・・?)


学生たちは互いに見合って頷いた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あの、岡本さんですよね、開発ご担当の?」

「ええ、そうよ。それが、どうかしたの?」


学生たちは再度顔を見合わせた。


「やっぱり・・・」

「さっき見たのは、だれなんだ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「じゃ、ごゆっくり・・・」

「あ、はい。ありがとうございます」


「・・・」


しーーーん。

会議室に沈黙が流れた。


かたっ。

沈黙を破ったのはイザベルだった。


「あのぉ、こんなこと申しあげていんでしょうか?」

「な、なにをだい?」


じわーーーっ。


イザベルの視線が突き刺さり、和人は冷や汗が吹き出てくるのを感じた。


「岡本さんは・・・、お二人いらっしゃるとか・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


(そ、そうきたか・・・)


「い、いや。一人だよ・・・」

イザベルは3人の学生を見やった。


こっくり。

3人はイザベルに頷いた。


「見ましたよね。ロングヘアのポニーテールの女性?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ついに、もう一人の女子学生が言った。


「そうです」

「確かに、ものすっごくキレイで、可愛い女性だった」


「ボクもそう思います」


「宇都宮さんも、ご覧になられたのじゃないんですか?」

イザベルが不安そうに言った。


「あ、そうだったっけ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


とっさのことに、思わず和人は答えた。



つんっ。


「こら、和人、どういうことだ?」

二宮が和人を小突いて小声で言った。


「ユティスが、悪戯したようなんです」

「悪戯?どこを?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「先輩、変体ですか?」

「うっせい。ちゃんと答えろ」



「それに、岡本さん、いきなり席に現われたように見えたんですが?」

男子学生の一人が続けて言った。


「ははは・・・。思い違いじゃないの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


和人が言った。


「そうそう・・・」

二宮が笑いを引きつらせた。


しらーーー。


--- ^_^ わっはっは! ---


学生たちはまったく納得していなかった。


「和人、どうするんだよぉ?」

「あははは・・・」


しーーーん。

そして、またお互いを見合い、沈黙が訪れた。


「・・・」


「和人。まじいぞ、この雰囲気・・・」

「ええ。どうします?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぽかり。


「バカヤロー、おまえのせいだぞ」

二宮はイザベルを見ないようにした。


こんこん。


6人はドアをノックされたような気がして、ドアに注目した。


「はーい」

和人がドアを開けると、ダークブロンドのポニーテールが顔をのぞかせた。


(ユ、ユティス!)


--- ^_^ わっはっは! ---


4人の学生たちは、息をのんだ。


「やっぱり!」

「いた!」

「誰よ、この人?」


ささっ。


「ユティス、外、外!」


ぱたん。


和人はすぐさまユティスと会議室の外に出て、ドアを閉めた。


「ダメじゃないか。みんな仰天しちゃってるぞ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うふふ。和人さん、お仕事じゃましてごめんなさい。わたくしをご紹介してくださいな、あの方たちに」


「ちょっと、そんなこと言ったって・・・」

「わたくしのお仕事なんです・・・」


「学生の前で、消えたり現われたりするのがかい?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ナナン。これからの地球を負って立つ学生さんの情報をおうかがいするのは、地球の文明支援にとって、とても大切なことです・・・」

「そ、そういうことね。そりゃ、そうかも。それなら・・・」


ばたっ。

どたどたっ・・・。


ドアを勢いよく開けて二宮が飛び出してきた。


「和人、どうするつもりだよ?4人とも気味悪がって、うちに入らなくなっちまうじゃないか。社長と常務に殺されちまうぜ!」


にっこり。

「大丈夫です。わたくし、ちゃんと名乗りますわ」


「ユティス・・・」

ユティスを見つけて、二宮は泣きそうな顔になった。


「きみが名乗ってくれてもさぁ、会議室に入る時ドアをすり抜けるなんてのは、絶対になしだよぉ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


にっこり。

「リーエス。おっしゃるとおりにいたしますわ、二宮さん」


そして3人は部屋の中に入り、学生たちに対峙した。

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