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059 三人

■三人■




「和人かぁ・・・」

じーーー。


ぽっ・・・。

アンニフィルドに、しげしげながめられて、和人は赤くなった。


「な、なんだよぉ?」


にこ。

「あは。あなた、けっこう可愛いなぁって思ったの」


「アンニフィルド!」

「そういう、うろたえぶりがなんともいえないのよねぇ」


「まーた、始まっちゃった」

クリステアが両手を振った。


「うふ。よかった。和人さん、お二人にすっかり気に入られましたわね」

「ユティス・・・」


「そう。合格ね」


「で、あなたどこの住人だって?」

アンニフィルドがプラチナブロンドをなびかせながら、濃いピンク色の瞳で和人を見つめ微笑んだ。


「地球だよ」

「地球?ぜんぜん聞いたことないわ。あんまりぱっとしない名前だわね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そりゃ、そうよ。エルフィア銀河ですらないかもしれないもの」

クリステアがゆっくり眉を上げて和人に言った。


「わたくしも存じあげていませんわ」

ユティスも少し残念そうに微笑んだ。


「あ、あの、地球がどこって聞かれてもさぁ、オレ、天文知識からっきしないから・・・」


「今はいいわ。で、あなたなにやってるの?」

アンニフィルドは興味津々で和人を見つめた。


「仕事のことかい?」

「リーエス」


「Webマーケター」

「ん・・・?だれが負けたって?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「負けたじゃなくて、マーケター」

「なに、それ?」


「インターネット上のWebサイトのアクセスを分析してだね、どのページにどのくらいの人が、どれくらい滞在して、なにをコンバージョンまでいったかをだね・・・」


「インターネット?」

「Web?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わたし、ぜんぜんわかんない」

アンニフィルドは両手を広げて天を仰いだ。


「うふふ。アンニフィルド。和人さんは、コンピュータのネットワーク上の架空のお店でどうすれば商品やサービスが人々にお役立てできるか、を考える人なんです」


「そ、そう。その通り」


「架空の店じゃ架空のものを売ってるの?」

「詐欺師?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「よく、人が集まるわねぇ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「んもう、きみたち!とにかく、そういう人のお店のお手伝いするの!」


「ふーーーん。要するにビジネス・コーディネーターってわけね」

「そうそう。そういうこと」


「ちっとも面白くなさそう・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんだよ、失礼な」

「本当は、それ、面白くもなんともないんじゃないの?」


じーーー。

クリステアが目を細めて和人を見つめた。


「きみにわかるのかい?」

「ナナン。あなたの顔を見てたら、なーんとなくそんな感じがしただけ」


「ま、当たらずとも遠からずだけど、どうしようもないじゃないか・・・」


「文明促進支援のコンタクティー徹した方が、良くなくて?」

クリステアは和人を見て、次にユティスを見た。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そんなんじゃ食べていけないよ」

「あら、どうして・・・?ユティスと一緒にいれるのよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


クリステアは真面目な顔で言った。


「ユティスがお料理してくれるわ」


「料理ったって、だれが材料を買ってくれるって言うんだよぉ?お金がかかるんだよ。お金が・・・」


「お金?」


「和人、遅れてるぅーーーっ」

アンニフィルドが陽気に言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「オレが遅れてるのかぁ・・・?」

「そんなもの、超時空転送システムで送れるじゃない」


「だれが?」

「エルドよ」


「エルド?エルフィアの最高理事からかい?」

「リーエス。地球のお店で買うより遥かに新鮮だわよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうそう、妙な化学物質も入ってないし」

「なるほど・・・」


「で、その送り先の地球ってどこにあるのよ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「その件ですけど、地球の座標はまだわからないんです。わたくし早く知りたいのですけど・・・」

「早く知りたいねぇ・・・」


にたにた・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


クリステアはユティスと和人を交互に眺めた。


「もう!」


「わぁお。赤くなった和人!」


「ここはどうかは知らないけど、地球じゃ仕事やってお金稼がなきゃ、パン一つだって手に入らないんだよ」

和人は地球人の労働の正当性をSSたちに説こうとした。


「へぇーーー。それは、びっくりだわ」

「奴隷社会なの?可哀想・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「当たり前のことじゃないか。なにがびっくりだよ?」

「貨幣制度をまだ続けてるってこと」

クリステアが真顔で言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「だって、しょうがないだろう。そういう仕組みなんだから」

「ま、カテゴリー2に成り立てじゃあ、そんなものよ・・・」


「あ、バカにしてるな?」

「褒める気なんてしないもの」

にこりともしないで、クリステアは続けた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんで、そんなもの欲しがるのかしらねぇ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんでも手に入るからじゃないか」


--- ^_^ わっはっは! ---


「だから、なんでもするんでしょ?それを手に入れるために、法や常識を破ってまで」

クリステアの批判は厳しかった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そういう輩もいるにはいるさ・・・」

和人はなんか悲しくなってきた。


「甘いわよ、和人」

アンニフィルドも和人に伝えたがった。


「金融制度ってのはどんどんエスカレートしていくわ。だれも止められないくらいに・・・」

クリステアは容赦しなかった。


「どんな風に?」

「お金が自動的にお金を生むように、システム化されるってことよ」


「だとしたら?」

「だれよりも早くシステムに精通することね」


「システムに精通って、一朝一夕でできることじゃないよ」

「でも、するしかないでしょ?」


「なんで?」


「だって、将来その方が楽じゃない?」

「クリステア、きみは資本主義の申し子みたいだね?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「システムに精通して、システムを扱える人間だけが恩恵を受けることになるのよ。わからない?」

「オレには、きみの言ってることはカジノのようなギャンブルのように思えるけど・・・」


「リーエス。実際ギャンブルと変んないわ。参加者がいなけりゃ成り立たないもの。けど、それに参加するだけじゃ取られっぱなしよ。勝つには方法は一つ・・・」


クリステアは瞬き一つせずに和人を見つめた。

じーーーっ。


「ど・・・、どうすれば、いいんだよぉ・・・?」


「それはねぇ・・・」

アンニフィルドがそれに答えた。


「他人のシステムには参加しないことよ。わかんない?」

「それじゃ、まるっきり答えになってないじゃないか。もう、システムにどっぷり浸かってるんだからさぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「要は、自分だけの別のルールに基づくシステムを作ることね。それに他人を巻き込む」


「そ。自分が一番知ってるでしょ、それなら」

アンニフィルドが続けた。


「だれもついて来ないよ、そんなもの」


「あら、諦めるの?お金って作ろうと思えば作れるのよ?」

「はぁ?それって、通貨偽造じゃないのか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ちっち、ナナン。仮想通貨ってもの知らないの?」

「信用を基にして、特定条件下でしか通用しないやつ?」


「リーエス。お金の正体って、結局、信用が成せる技よ。それを合法的に売りつけるの」

「表現がえぐいぞ、クリステア」


「あは。儲かるわよーーーぉ。失敗しなきゃ」

アンニフィルドが和人を覗くように前のめりになって言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「要は、参加者を募ることができればいいわけよ」

クリステアは静かに続けた。


「それ、ねずみ講じゃないか!」


「あら。カテゴリー2の資本主義ってそういうことよ。参加者が増えることだけが成立する条件ね。株式市場だって、そう言う意味じゃ同じ。和人は、そういうの模索をしてるんじゃない?合法的にぎりぎりのことろで・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「げげ・・・。オレより詳しいじゃないか・・・」

「大宇宙の常識よ。カテゴリー1の制限付だけど」


--- ^_^ わっはっは! ---


「だから、どうしろっていうんだよオレに?」

「まずは、あなたが考えてみたら?」


「なにを?どんな風に?」

「あーあ。カテゴリー2に成り立てじゃ、わかんないわよねぇ・・・」


「どうせ、オレはカテゴリー2の猿ですよーーーだ!」

「カテゴリー0の、いじけ虫の間違いじゃない?」


文明を築ける生物のいない世界は『カテゴリー0』である。当然、エルフィアの支援対象ではない。


「ひどぉーい、人間以下じゃない、それ。あははは」


--- ^_^ わっはっは! ---


「もういい!きみたちは、そんな状況から脱出してカテゴリー3に行けるように、地球人を案内してくれるんじゃないのか?」


「生徒の潜在能力とモチベーション次第ね。浮き輪をあげるから、当分、カテゴリー2の大海原で溺れないようにあがいていたら?」

クリステアは平気な顔をした。


「オレは泳げます!」


「うふふふ。お二人とも、和人さんへのお勉強はそのくらいにしてくださいな」

ユティスがにこにこしながら二人に微笑んだ。


「じゃ、オレそろそろ地球に戻らなくちゃ。昼休み時間が終わってるかもしれないし」

「そうですか・・・」

ユティスは少し残念そうな顔になった。


「ねぇ、今度は、ユティスが来てくれないかな・・・?」

「リーエス」

にこっ。


「あは。オレ、地球のいろんなとこを案内するよ。日本のほんの一部だけどさ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうはいっても、面白そうなところが、まだまだ、いっぱいあるんだからね・・・」

「リーエス。是非そうしていただきますか?」


「うん。もちろんだよ」


にっこり・・・。

「和人さん・・・」


「あーあ、ユティスも数とも、二人で見つめ合って赤くなっちゃって。相性99.99%てのは間違いないわね?」


「おー、暑いこと、暑いこと・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱたぱた。

アンニフィルドが掌で自分の顔を扇いだ。


「暑いことはいいことじゃない」

クリステアが付け加えた。


「和人ってばさぁ・・・」

アンニフィルドが、和人に近づいて耳元で囁いた。


「ん?」


「あのね・・・」

「なんだい?」


「あなた、ユティスのこと大好きなんでしょう?」

「こ、こら、なにを言うのかと思ったら、やぶからぼうに・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いいこと?ちゃんと自分の言葉ではっきりと告げなさいよ。ユティスは、待ってんだからあなたのこと・・・」


ぱち。

アンニフィルドは和人にウインクした。


「えーーーえっ?」


「ほら、時間なんじゃないの?お別れのご挨拶は?」

アンニフィルドが和人に顎を上げた。


「じゃ、そろそろ行くよ」

和人はユティスに言った。


「違う、違う!キッスでしょ?」

「キ、キッスぅ・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「早くしなさいよ」

クリステアも催促した。


「第一、精神体だよ、オレ。どうやってしろっていうんだよぉ?」

和人は両手を広げた。


「ふふふ。お二人とも、そのくらいで和人さんを勘弁差しあげてくださいな」


「リーエス」

しかし、アンニフィルドは不満そうだった。


「あーあ。和人、情けないヤツねぇ。お別れの挨拶ったら、最低でも抱き合って、ほっぺにちゅっ、でしょうがぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ど、どこがぁ?」

和人はユティスの手前大いにうろたえていた。


「まあ、アンニフィルドったら・・・」

ユティスも恥らった。


「精神体じゃ無理ってものよ」

クリステアが冷静に続けた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そりゃ、そうだけど・・・」


ぱちっ。

「で、ユティス。和人けっこう可愛いじゃないの」

アンニフィルドはユティスにウィンクをした。


「アンニフィルド・・・」


「ユティス。だれも、あなたのおもちゃを取りあげよう、なんて言ってないわ」

「和人さんがわたくしのおもちゃですか・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「だーーー!そんな言い方するな。誤解されるだろぉーが」


--- ^_^ わっはっは! ---


「へへ。言いま違えっちゃった・・・」


「彼氏よ、彼氏・・・」

クリステアがアンニフィルドを訂正した。


「地球語って難しいわねぇ」

「リーエス・・・」


「んなもん間違うなって・・・」


「それでさぁ・・・。どのくらい好きなの?和人のこと・・・」

クリステアが真顔のままユティスにきいた。


「たくさんです。とにかく・・・。たくさん・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「へぇ。どれくらい好きかわからないくらい、和人が好きってことね・・・」

「クリステア!」


「あーあ、システムが最高の相性値を出したからといって、実体同士で会ったこともないのに、恋に落ちちゃうなんて・・・」

アンニフィルドは可笑しそうに言った。


「あなたたち、なんなの?」

「超プラトニック・ラブね」

クリステアは真面目な顔で言った。


「あは。まっさか、魂の伴侶とか・・・」

アンニフィルドは面白がった。


「任地に正式赴任した途端結婚式ってのは、前代未聞だわよぉ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「結婚式・・・?」

和人は大いに慌てた。


「クリステア・・・」

ユティスは目を伏せた。


かぁーーーっ。

ユティスの両頬は完全にピンクだった。


「ふうん。魂の伴侶って・・・、ああ、あれね・・・」

「時空を超えてなんとやら・・・」

「さもありなんだわ」


「わたくし、自分の心を偽ることはできません・・・」


「ユティスにここまで言わせといて、和人、あなたはどうなのよぉ?」

アンニフィルドが和人に迫った。


「オ、オレは・・・」

和人は恥ずかしさのあまり声が出せなくなった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうそう。リーエスかナナンか、はっきりさせなさい」


「え・・・。オレ・・・」

二人に見つめられ和人はたじたじだった。


「お止めください・・・。お二人とも・・・」

ユティスがやっとそれを止めた。


「これでは自白強要と同じですわ・・・」

ユティスは悲しそうに言った。


「わたくし、そういうのは嬉しくありません・・・」


「・・・」

「・・・」


SSの二人も数とも黙りこくった。


「ごめんなさい・・・」

「悪かったわ、ユティス」

ややあって、アンニフィルドとクリステアは素直に謝った。


「ユティス、ごめんよ。オレがこんなだから・・・」


「ナナン、和人さん。和人さんは今のままで十分です。わたくしには・・・十分です。こうしてご一緒できることで・・・十分です・・・」


「ユティス・・・」

二人は見つめ合った。


「ユティス・・・、あなたたち幸せになるわよ。絶対に」

「リーエス・・・」


「リーエス?」

和人がそれの意味するところに考えを巡らせた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは。そっかぁ、リーエスねぇ・・・」

「ふふ。ナナンじゃないってことかぁ・・・」


「ふふふ。和人さん・・・」

和人の一言がようやく4人に笑顔を戻らせた。


「ユティス。わたしたち、あなたのことだけは放っておけないのよ」

「ありがとうございます。お二人とも」


ぎゅ、ぎゅっ。

アンニフィルドとクリステアはユティスを抱きしめた。

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