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月と太陽 -金環日食の楽しみ方-

作者: 土方隼人

金環日食観察の解説書きではありません。月と太陽のお話です。

 月-☽  太陽-☀  


☀「よう、月よ。地球の周りでうろつくのは止めてくれないか。お前が、オレと地球の間に入り込むと地球に影が出来てしまうじゃないか」

☽「何を言うんだ、太陽さん。地球では、貴方あなたの出す光線をボクが遮ることを日食と言って喜んでいるんだ」

☀「なにぃ。いい加減な事を言うな。オレの出す光線が地球に十分に行き届かず、迷惑しているさ」

☽「はぁはぁはぁ! どうやら貴方は知らないようだね。地球では普段、貴方のことを眩しすぎて誰も見ようとはしない。だけど、ボクが日食を作ってあげるから貴方に注目するのさ」

☀「ばかな。生意気なことを言うな。大体、お前が光って見えるのはオレの光線を反射しているからじゃないか。お前は自分で光を出すことはできない」


  挿絵(By みてみん)

 

☽「そうさ、そうだよ。だけど、地球ではボクの方が人気者さ。地球ではお月見と言って、満月の日にボクの前にお団子を供えてみんなで見てくれるんだ。恋人同士がボクの下で愛を語ることだってあるよ」

☀「ふん。だけど、お前の出す光では暗すぎだよ」

☽「そんなこと言うけど、貴方あなたが休んでいる夜の間、ボクが地球を照らすから真っ暗闇にならなくて済むんだ」

☽「それだけじゃないよ、太陽さん。ボクは地球の海を引っ張っているんだ。潮の満ち干きを操っているんだ」

☀「何を言うか、月よ。オレはお前も含め、地球や水星、金星も、火星も、木星も、土星も太陽系の惑星達を全部引っ張っているんだぞ」

☽「だけど、地球ではそれはわからない。貴方が引っ張っているということは実感できないからね」

☽「それに、太陽さん。貴方は自己主張が強すぎて嫌われる事もあるよ。出過ぎれば暑くなり、引っ込めば寒くなる。ボクはその点、姿が見えなくて残念がられる事はあっても嫌われる事はないんだ」

☀「だけど、お前は……」


 月も太陽も地球にとっては無くてはならない存在だ。どちらか一方が欠けても困るのだ。この宇宙で不必要なものなど何もない、必ず何かの役割を負っている。そして、全てが互いに協力し合い、足りないところを補っているのだ。

 今度の5月21日、月と太陽がタッグを組み、とても難しい金環日食に挑戦する。彼らがぴったりと重なり、天空に光り輝くリングを浮き上がらせる。東京で見ることが出来るのは実に173年ぶりとなるそうだ。

 この神秘的な天体ショーを見ながら、私も自分自身の役割と言うものをじっくりと考えてみることにしよう。


※注意 金環日食を見るのには専用メガネが必要です。裸眼で見ると目を損傷する恐れがありますので、必ず専用メガネを着用して下さい。ちなみに、黒い下敷きやフィルムでは役に立ちません。あしからず。


※挿絵について

この小説に挿入されている挿絵「月夜」は挿絵作者(プラスイオン様)の許可を得て使用させていただいております。挿絵著作権は挿絵作者に帰属しており、小説作者である私には一切の著作権はございません。

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